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絶好調のコンタドールが総合優勝! ティレーノ~アドリアーティコ2014 ハイライト

パリ~ニースより3日遅れて開催したティレーノは、グランツールのようなトップ選手の闘いが繰り広げられた

 

Photo: Graham Watson / LaPresse (RCS Sport)

王者コンタドール、復活!

2つの海をつなぐステージレース、ティレーノ~アドリアーティコ(UCIワールドツアー)で、スペインの王者、アルベルト・コンタドール(ティンコフ・サクソ)がトップシーンに復活した。

彼は2つの山岳ステージを制し、おなじみの “イル・ピストレート(ガンマン)” ポーズも見せてくれた。そして紺碧の海をイメージさせるマリア・アッズーラを着て、ティレーノ~アドリアーティコの勝者の証である、トライデントを掲げたのだ。

 

ティレーノ~アドリアーティコは、ASOが主催するパリ~ニース(UCIワールドツアー)と開催時期がかぶっていたが、厳しい山岳ステージと個人タイムトライアルが設定されたバランスの良いコースレイアウトで、今年もグランツールを競うトップ選手が大勢参加した。

 

序盤のレースを支配したのは、初日のチームタイムトライアルで優勝したベルギーのオメガファルマ・クイックステップだった。ティンコフ・サクソには24秒差を付けていたため、ポーランドチャンピオンのミハウ・クウィアトコウスキー(オメガファルマ・クイックステップ)が第3ステージのアップヒルゴールで区間2位になってマリア・アッズーラを獲得したとき、総合でコンタドールとの差はボーナスタイムと合わせて36秒開いていた。

 

しかし、総合3位で終わった昨年とはちがって、今年のコンタドールは絶好調だった。標高1535メートルのセルバロトンダ峠頂上にゴールした第4ステージでは、アシストであるロマン・クロイツィーゲル(ティンコフ・サクソ)のアタックでバラバラになったメイングループから、ナイロ・キンタナ(モビスター)とともに飛び出し、マリア・アッズーラのクウィアトコウスキーを窮地に陥れた。

 

そして最後はゴール勝負で追いすがるキンタナを寄せ付けず、おなじみのガンマンポーズでゴールへと飛び込んだ。チーム力に支えられて善戦した23歳のクウィアトコウスキーが、たった10秒しか遅れを取らなかったため、この日はマリア・アッズーラを奪えなかったが、コンタドールは総合トップまで16秒差に迫っていた。

 

今年最後の山岳ステージだった第5ステージは、平均勾配22.2%、最大30%という、壁のようなムーロ・ディ・グァルディアグレーレがゴールだったが、この坂はたった610メートルしかなかった。そのためコンタドールが決戦の場に選んだのは、その手前にそびえていた、まだ斜面に残雪を抱いていたランチャーノ峠だった。

 

ランチャーノ峠の頂上まで3km地点で、コンタドールが単独アタックを試みたとき、ゴールまではまだ32km以上あった。総合で最大のライバルであるキンタナが追走を試みたが、軽快なダンシングで峠を走るコンタドールに追い付くことはできなかった。

 

このアタックで加速したメイン集団から、マリア・アッズーラを着たクウィアトコウスキーがついに脱落。あっという間にコンタドールに4分以上の差を付けられてしまった。彼は2月にポルトガルのアルガルベ一周で、コンタドールを押さえて総合優勝していたが、本調子になった王者を前にしては、まだまだ足元にも及ばなかった。

 

メイン集団から1人で抜け出すことに成功したコンタドールは、先行して逃げていた選手たちと合流し、ゴールを目指した。そして最後のグァルディアグレーレの壁では、彼の区間優勝を脅かす存在はいなかった。30%の壁ですら、絶好調のコンタドールには問題にならなかった。この日、総合でキンタナに2分以上のタイム差を付けることができたコンタドールは、最終日の個人TTで逆転されるおそれもなくなっていた。

 

ティレーノ~アドリアーティコでの総合優勝を、初めて戦歴に加えたコンタドールがUCIワールドツアーのレースで優勝したのは、2012年のブエルタ・ア・エスパーニャ以来だった。英国のクリストファー・フルーム(チームスカイ)が、仙腸骨関節の軽度の炎症で今大会を欠場していたのは残念だったが、2人の直接対決はツール・ド・フランスでの楽しみにしよう。

 

■総合優勝したコンタドールのコメント「ボクはこのレースに勝ちたくて来た。アレッツォ(第3ステージ)でクウィアトコウスキーに対して6秒失ったときはうれしくなかった。そのタイム差が決定的なものになるかもしれないと思ったからだ。でも結局は分差で勝てたから、すごく幸せだ」

 

第49回ティレーノ~アドリアーティコ 個人総合最終成績

1 アルベルト・コンタドール(ティンコフ・サクソ/スペイン)25時間28分45秒

2 ナイロ・キンタナ(モビスター/コロンビア)+2分05秒

3 ロマン・クロイツィーゲル(ティンコフ・サクソ/チェコ)+2分14秒

4 ジャンクリストフ・ペロー(AG2R・ラモンディアル/フランス)+2分39秒

5 フリアン・アレドンド(トレック/コロンビア)+2分54秒

6 ドメニコ・ポッゾビーボ(AG2R・ラモンディアル/イタリア)+3分04秒

7 ロベルト・キーゼルロブスキー(トレック/クロアチア)+3分09秒

8 ダニエル・モレノ(カチューシャ/スペイン)+3分16秒

9 ミケーレ・スカルポーニ(アスタナ/イタリア)+3分16秒

10 ミケル・ニエベ(スカイ/スペイン)+3分19秒

[各賞]

■ポイント賞:ペーテル・サガン(キャノンデール/スロバキア)

■山岳賞:マルコ・カノラ(バルディアーニ・CSF/イタリア)

■新人賞:ナイロ・キンタナ(モビスター/コロンビア)

[各ステージの優勝者]

■第1ステージ:オメガファルマ・クイックステップ(ベルギー)

■第2ステージ:マッテーオ・ペルッキ(IAMサイクリング/イタリア)

■第3ステージ:ペーテル・サガン(キャノンデール/スロバキア)

■第4ステージ:アルベルト・コンタドール(ティンコフ・サクソ/スペイン)

■第5ステージ:アルベルト・コンタドール(ティンコフ・サクソ/スペイン)

■第6ステージ:マーク・カヴェンディッシュ(オメガファルマ・クイックステップ/英国)

■第7ステージ:アドリアーノ・マローリ(モビスター/イタリア)