ケルビムのNAHBS出展バイク詳報!
競輪フレームとステンレスレーサーを出展
東京は青山と町田に店舗を構える自転車フレームビルダー「ケルビム」。毎年、意欲的なフレームを発表している同社は、北米ハンドメイドバイシクルショー(通称NAHBS)にも2009年から連続して出展している。
今年は競輪用フレーム「トリプルクラウン」と、ステンレスフレームのディスクブレーキ搭載ロードバイク「レーサーステンレス」を携えて参加。その2台の詳細をお伝えする。
なぜステンレスフレームなのか?
ステンレスのパイプセットで作られたロードフレーム、「レーサーステンレス」。ディスクブレーキを搭載したモデルだ。
使用されるパイプセットは、レイノルズ・921というものだが、このパイプセットはまだ開発中のもの。世界でも限られたビルダーにしか提供されないスペシャルなチューブである。
ステンレスはチューブにすること自体も難しい素材。
フレームに仕上げるときも、素材の融点が低いので、溶接中に穴が開いてしまったり、チューブがひび割れてしまうリスクがクロモリパイプに比べて高い。
また硬い素材なので切ったり削ったりという作業も難易度が上がる。
このフレームに採用されているインテグラルヘッドひとつ作るのにもたかい技術力が必要だ。
ケルビムでは「R-2ステンレス」というステンレスフレームを商品化した経験があり、そのノウハウが生かされているからこそ実現できたフレーム。
これは、スチール素材で新しい提案をしたいというケルビムのチーフビルダー今野氏の挑戦なのだ。
■パーツ構成
リアディレーラー:Shimano RD-9070
フロントディレーラー:Shimano RD-9070
エルゴレバー:Shimano ST-R785
ブレーキキャリパー:Shimano BR-R785
ディスク:Kettle Cycles
クランクセット:Shimano FC-9000
BB:Shimano SM-BB9000
カセットスプロケット:Shimano CS-9000
チェーン:Shimano CN-9000
ワイヤーセット:内蔵バッテリー用
完組ホイール:Rolf Prima 4CX
タイヤ:Tufo Elite Track 27
ピラー:American Classic
サドル:Fizi:K Volta
ハンドル:ENVE Road Bar Standard
ステム:Thomson X2 10°
日本の競輪で使える実戦仕様!
「トリプルクラウン」と名付けられたこのフレームは、ショー用に作られたトラックフレームではなくて、競輪で勝利をつかむために作られたモデルである。
ヨーロッパのピストフレームとはジオメトリがまったく違う。パーツもシマノ、NJS認定パーツで構成されており、日本的な雰囲気を醸す。
ジオメトリもケルビムのフレームを使用する某S級選手のもので作られいて、実際に使用する予定だ。
使われているパイプはレイノルズの631、953。さらにカイセイをミックスしている。フォークはコロンバス・マックス。
選手の要望を実現するために必要なパイプ構成を考えてのセレクトだ。
ラグが肉抜きされているが、強度に影響しない部分なので、競輪選手のパワーをしっかり受け止めることができる。
1mmの違いを感じ取り、要望を出してくる競輪選手のフレームは、ビルダーとの対話の中で出来上がってくる。ハンドメイドフレームの魅力が凝縮されている。
■パーツ構成
クランクセット:Shimano FC-7710 170mm 51T
BB:Shimano BB 7710
カセットスプロケット:Shimano SS-7600
チェーン:Izumi V-Chain
リム:Araya Gold 36h
ハブ:Shimano HB-7600
スポーク:星 NJS用 305mm
タイヤ:Soyo Gold Star
ピラー:Nitto NJ-SP72 30mmレール
サドル:Kashimax 黒革
ハンドル:Nitto 123 鉄
ステム:Nitto NJ-Pro 鉄
ヘッドパーツ:Shimano HP-7410
ペダル:MKS RX-1
NAHBSの会場では、ラグの販売も行なっている。