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ダークホースのベタンクールが総合優勝! パリ~ニース2014 ハイライト

ヨーロッパで今季最初のUCIワールドツアーを制したのはコロンビアのベタンクールだった

 

Photo: Graham Watson

僅差の勝負でベタンクールが初優勝!

8日間の日程で競われた今年のパリ~ニース(UCIワールドツアー)には個人タイムトライアルがなく、山岳ステージには大差が付くような厳しい頂上ゴールもなかった。そのため総合争いは、ボーナスタイムが大きく影響する僅差の勝負となった。

 

昨年オーストラリア人として初優勝を果たしたリッチー・ポート(チームスカイ)は、クリストファー・フルームの代わりに急遽イタリアのティレーノ~アドリアーティコ(UCIワールドツアー)に参加することになり、パリ~ニースは欠場した。

 

チームスカイはポートが付けるはずだったゼッケン1を英国のゲラント・トーマスに託した。その期待に応えるように、トーマスは初日からスプリントポイントでボーナスタイムを獲得する積極的な走りを見せた。

 

カテゴリー3と2の丘をいくつも越える第4ステージでは、終盤のコート・デュ・モン・ブルイイー(カテゴリー2)のせまい林道でアタックしたオランダのトムイェルテ・スラフテル(ガーミン・シャープ)に追いつき、区間2位になってリーダージャージのマイヨ・ジョーヌを獲得した。

 

「信じられない。チームのエースになることを知らされたのは、レースが始まる前の金曜日だった。パリ~ニースはツールとジロにつづく、世界のビッグステージレースの1つだ。マイヨ・ジョーヌを獲得することはすごいことで、とてもうれしいよ」と、トーマスは初めてソデを通した栄光のジャージに酔いしれていた。

 

チームスカイに3年連続でパリ~ニースでの総合優勝をもたらすはずたったトーマスの前に立ちはだかったのは、コロンビアのカルロス・ベタンクール(AG2R・ラモンディアル)だった。

 

パリ~ニースでは中間スプリントだけでなく区間順位でもボーナスタイムが与えられ、1位で10秒、2位で6秒、3位で4秒を獲得できる。ベタンクールは第5ステージと第6ステージで区間優勝し、ライバルたちに大差を付けてゴールすることはできなかったものの、ボーナスタイムでタイムを削りとり、トーマスからマイヨ・ジョーヌを奪い取ってしまった。

 

マイヨ・ジョーヌを失ったトーマスには、不運が降りかかった。彼は第7ステージのゴールまで残り4.5kmの下り坂で落車。レースは続行できたが、ゴールにたどり着いたのは、区間優勝者の7分13秒後だった。翌日のスタートラインに、彼の姿はなかった。

 

ニース郊外の峠越えで競われた最終ステージは、大勢の選手が途中リタイアを選択した。この日出走しなかった選手を含めると、32人が完走を目指すことなくレースを去っていった。

 

今年最後の山岳ポイントは標高478メートルのエズ峠だった。この山頂でアタックしたのは、フランク・シュレク(トレック)と最後の賭けに出たシモン・シュピラク(カチューシャ)だった。彼は総合成績でマイヨ・ジョーヌを着たベタンクールに39秒差だったのだ。

 

しかし、最終日で大逆転のドラマは起こらず、2人の逃げはゴール目前で捕まってしまった。最後のゴールスプリントはフランスチャンピオンのアルチュール・ビショー(FDJ.fr)が獲得した。彼は昨年6月のフランス選手権で優勝して以来、勝ち星がなかったが、トリコロールを着て初めての勝利は、パリ~ニースという大舞台で達成された。

 

しかも区間優勝のボーナスタイムでビショーは総合3位の座を獲得。今年のパリ~ニースは、マイヨ・ジョーヌのベタンクールの両脇を、アルカンシエルのルイ・コスタ(ランプレ・メリダ)と、トリコロールのビショーが固める夢のような表彰台になった。

 

コロンビアに初めてパリ~ニースでの総合優勝をもたらしたベタンクールは現在24歳で、2011年にイタリアのアックア&サポーネでデビューした。昨年UCIプロチームのAG2R・ラモンディアルに移籍し、ジロ・デ・イタリアで総合5位になって新人賞のマリア・ビアンカを獲得している。

 

パリ~ニースでの総合優勝は、バンサン・ラブヌーがマネージャーをつとめるフランスのAG2R・ラモンディアルにとっても、チーム創立以来の初の快挙だった。

 

■総合優勝したベタンクールのコメント

 

「こんな偉大なレースで優勝し、コロンビアの自転車競技が復活したことを見せられるのはとても光栄だ。(昨年)ジロで総合5位になったことはとても誇らしかったが、これはもっと素晴らしい。たくさんの偉大な選手たちと競ってこんな素晴らしいレースで勝つことはずっと重要だからだ。AG2Rがどれだけ強いチームであるかも示すことができた」

 

「昨年はカタルーニャ一周でシーズンインしたが、今回は早くにスタートし、クラシックを前に本当に士気が上がっている。今シーズンのプログラムの残りは、ツール・ド・フランスでクライマックスに達するだろう。ボクはツールで本当に野心を抱いているのさ」

 

第72回パリ~ニース 個人総合最終成績

1 カルロス・ベタンクール(AG2R・ラモンディアル/コロンビア)35時間11分45秒

2 ルイ・コスタ(ランプレ・メリダ/ポルトガル)+14秒

3 アルチュール・ビショー(FDJ.fr/フランス)+20秒

4 ホセホアキン・ロハス(モビスター/スペイン)+21秒

5 ヤコブ・フグルサン(アスタナ/デンマーク)+29秒

6 シリル・ゴチエ(ヨーロッパカー/フランス)+31秒

7 シュテファン・デニフル(IAMサイクリング/オーストリア)+35秒

8 シモン・シュピラク(カチューシャ/スロベニア)+36秒

9 ペーテル・ベリッツ(BMC/スロバキア)+39秒

10 トニ・ガロパン(ロット・ベリソル/フランス)+41秒

[各賞]

■ポイント賞:ジョン・デゲンコルプ(ジャイアント・シマノ/ドイツ)

■山岳賞:ピム・リフトハルト(ロット・ベリソル/オランダ)

■新人賞:カルロス・ベタンクール(AG2R・ラモンディアル/コロンビア)

■チーム成績:モビスターチーム(スペイン)

[各ステージの優勝者]

■第1ステージ:ナセル・ブアニ(FDJ.fr/フランス)

■第2ステージ:モレノ・ホフラント(ベルキン/オランダ)

■第3ステージ:ジョン・デゲンコルプ(ジャイアント・シマノ/ドイツ)

■第4ステージ:トムイェルテ・スラフテル(ガーミン・シャープ/オランダ)

■第5ステージ:カルロス・ベタンクール(AG2R・ラモンディアル/コロンビア)

■第6ステージ:カルロス・ベタンクール(AG2R・ラモンディアル/コロンビア)

■第7ステージ:トムイェルテ・スラフテル(ガーミン・シャープ/オランダ)

■第8ステージ:アルチュール・ビショー(FDJ.fr/フランス)