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ジルベールが3度目のタイトル獲得! アムステル・ゴールドレース2014

2012年に世界タイトルを獲得した得意なコースで、ベルギーのジルベール(BMC)が圧勝した!

 

Photo: Graham Watson / cyclesports.jp

ジルベール圧勝!

オランダ南部リンブルフ地方の丘越えコースで競われるアムステル・ゴールドレース(UCIワールドツアー)で、ベルギーのフィリップ・ジルベール(BMC)が3度目の優勝を果たした。

 

ゴール地点は、2012年にリンブルフ世界選が開催された場所でもあり、そのとき優勝して世界チャンピオンになったジルベールにとっては得意のコースだった。

 

そして世界選とまったく同じように、先頭集団から最後のカウベルフの中盤でアタックしたジルベールには、誰一人付き従うことはできなかった。後方を振り返って勝利を確信したジルベールは、右手の指を3本立ててフィニッシュラインを通過した。

 

ジルベールは2010年と2011年にもアムステル・ゴールドレースで優勝しているが、そのときはまだゴールはカウベルフの頂上にあったため、新コースで勝ったのは初めてだった。彼は3歳半になった息子のアランを連れて表彰台へ上がった。

 

「とても感動的な勝利だった。妻と子供たちがここにそろっていたのは初めてだったからだ。彼らには忘れられない思い出になるだろう。これは夢だったんだ」と、3度目の勝利がどれだけ特別なものだったのかを、31歳のジルベールは語っていた。

 

チーム力の勝利

第49回を迎えた今年のアムステル・ゴールドレースは、マーストリヒト市庁舎前から24チームの192選手がスタート。天気予報では雨のはずだったが、快晴に恵まれた。

 

スタート直後からアタックした地元オランダのピム・リフトハルト(オロット・ベリソル)に9人の選手が加わり、この日の逃げグループが形成された。そのなかには、2012年のリンブルフ世界選のアンダー23ロードレースで優勝したカザフスタンのアレクセイ・ルツェンコ(アスタナ)も含まれていた。彼らは14分近い差を付けて逃げ続けた。

 

集団はBMCとオメガファルマ・クイックステップがコントロールし、残り80kmでカウベルフを2度目に越えた時には、タイム差は半分になっていた。しかし、レース終盤に入っても先頭ではクリストフ・リブロン(AG2R・ラモンディアル)とプリーベン・バンヘック(トップスポルトブラーンデレン)の2人が逃げ続けていた。

 

残り39kmのクルイスベルフで、メイン集団からフランスのトマ・ヴォクレール(ヨーロッパカー)がアタック。すぐにグレッグ・バンアーベルマート(BMC)、ヤコブ・フグルサン(アスタナ)、ピーテル・ウィーニンフ(オリカ・グリーンエッジ)、ティム・ワロンス(ロット・ベリソル)らが付き従い、追走グループを作って先頭の2人を追いかけた。

 

残り9kmで、先頭のリブロンとバンヘックはアーベルマートとフグルサンに追いつかれたが、この日の逃げは2km後にはすべて吸収され、先頭集団は50人ほどになっていた。

 

最後のカウベルフは、オメガファルマ・クイックステップを先頭に上り始めたが、すぐに右手からサムエル・サンチェス(BMC)がアタックし、ポーランドチャンピオンのミハウ・クウィアトコウスキー(オメガファルマ・クイックステップ)、オーストラリアチャンピオンのサイモン・ゲランズ(オリカ・グリーンエッジ)、アレハンドロ・バルベルデ(モビスター)が付き従った。

 

戦いの口火を切ったサンチェスは、後方を振り返ってジルベールの位置を確認するとすぐに下がった。そして畳み掛けるようにジルベールが右手からアタック。追いすがろうとするゲランズをあっという間に引き離し、カウベルフの頂上を独走で通過した。

 

ゴールまで1.5kmつづいた平坦区間でクウィアトコウスキーが追走を試みたが、ジルベールとの差はまったく縮まらなかった。フィニッシュラインを独走で通過したジルベールの後方では、イェル・バネンデルト(ロット・ベリソル)が飛び出して2位の座を獲得し、3位はスプリントでゲランズが入った。

 

「この勝利はスタートからゴールまで、完璧に実行された戦略の結果だった。チーム全員におめでとうと言うよ。カウベルフのふもとでサンチェスがアタックするのも予定通りだった。あれで有利になった。ボクはただ、アタックする絶好の瞬間を待てばよかったからね」と、ジルベールは語った。

 

この勝利で米国のBMCレーシングチームは、UCIワールドツアーランキング2位に浮上した。

 

ロドリゲスが落車でリタイア!

ビッグレースでは落車が選手の明暗を分けることがよくあるが、この日はスペインのホアキン・ロドリゲス(カチューシャ)にその不運が降りかかった。彼はレース序盤の落車に巻き込まれ、左胸を付近を負傷してしまった。幸い検査で骨折は見つからず、水曜日のフレッシュ・ワロンヌには参加できそうだ。

 

この落車にはルクセンブルクのアンディ・シュレク(トレック)も巻き込まれ、ヒザを痛めてリタイアした。彼がアルデンヌ・クラシックに参加できるかどうかはまだわからない。ロドリゲスとシュレクの2人は、昨年も落車でレースを途中リタイアしていた。

 

今年は春の訪れが早かったヨーロッパでは、花粉症のシーズンまっただ中。昨年リエージュ~バストーニュ~リエージュで優勝したダニエル・マーティン(ガーミン・シャープ)や地元オランダのカールステン・クローン(ティンコフ・サクソ)は、花粉症が原因でレースを続けられなかった。

 

新城がUCIワールドツアーのレースでトップ10入り!

UCIワールドツアーのアムステル・ゴールドレースに日本から唯一参加していた新城幸也(ヨーロッパカー)は、4日前に開催されたフランダースクラシックのブラバンツペイル(ヨーロッパツアー1.HC)で、優勝したジルベールとゴールスプリントを競って12位に入っていた。

 

チームはこの日、新城をヴォクレール、シリル・ゴチエとともにリーダーの1人に据えた。その期待に応えた新城は、厳しいゴールの着順争いで粘り勝ち、10位の座を獲得したのだ。彼はこれまでにグランツールの区間でトップ10に入ったことはあったが、UCIワールドツアーのクラシックレースでは初めてだった。

 

「我々は本当に満足している。ロンド・バン・ブラーンデレンで11位(バンサン・ジェローム)になったあとで、チームも選手も好調に走れているという兆候だ」と、アンディ・フリッカンジェ監督はレキップ紙のインタビューで語っている。

 

今季UCIプロチーム復帰を果たしたものの、チームランキングで最下位と低迷しているヨーロッパカーにとっては、終盤にアタックして見せ場を作ったヴォクレールの走りと新城の10位という成績は、これから始まるグランツールに向けて良い弾みとなるにちがいない。

 

アムステル・ゴールドレース結果

1 フィリップ・ジルベール(BMC/ベルギー)6時間25分57秒

2 イェル・バネンデルト(ロット・ベリソル/ベルギー)+5秒

3 サイモン・ゲランズ(オリカ・グリーンエッジ/オーストラリア)+6秒

4 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター/スペイン)+6秒

5 ミハウ・クウィアトコウスキー(オメガファルマ・クイックステップ/ポーランド)+10秒

6 シモン・ゲシュケ(ジャイアント・シマノ/ドイツ)+10秒

7 バウケ・モレマ(ベルキン/オランダ)+10秒

8 エンリーコ・ガスパロット(アスタナ/イタリア)+10秒

9 ダニエル・モレノ(カチューシャ/スペイン)+10秒

10 新城幸也(ヨーロッパカー/日本)+12秒