クォータ・コルサ【10万円台からのロードバイク・シリーズ】
高バランスで、クォータの底力と良心が感じられる秀作
デビューは2001年のミラノショー。歴史は浅いが、グランツールでの活躍により、短期間のうちに知名度を高めたイタリアンブランドのクォータ。
ロードバイクの国内ラインナップ8機種すべてがカーボンフレームということからもわかるように、エンジニアがこの素材を熟知している。
コルサは、アルミフレームのコルサライトに代わる形で2013年に登場したエントリーモデルである。カーボンモノコックのフレームはXXSサイズで1130g と、入門グレードとしては十分に軽量であり、シマノ・ティアグラの完成車で15万6190円・税抜 という価格は、高級路線のクォータが安く手に入れられると大いに注目を集めたのだ。
この2014年モデルでは早くもマイナーチェンジを実施。フォークのデザインが従来よりもスリムになり、あわせてコラムの材質をアルミからより軽量なカーボン へと変更。
さらに、ティアグラ仕様のみだったラインナップに105の完成車が加わり、こちらには新ロゴをあしらった専用のマット ホワイトカラーが与えられた。
ハンドルとステムはデダ、サドルはサンマルコ、タイヤはヴィットリアなど、同じイタリアンブランドの製品を多用。さらに、シートポストにはクォータのロゴをあしらうなど、所有欲を満たすニク い演出も。エントリーグレードといえども手抜きはしないという熱意が伝わってくる。
KUOTA KORSA
クォータ・コルサ
シマノ・105完成車価格/20万8570円(税抜)
フレーム:カーボン
フォーク:カーボン
コンポーネント:シマノ・105
ホイール:シマノ・WH-R501
タイヤ:ヴィットリア・ザフィーロ 700×23C
ハンドルバー:デダエレメンティ・RHM01
ステム:デダエレメンティ・ZERO01
サドル:サンマルコ・ポンザパワー
シートポスト:オリジナル
試乗車実測重量:8.44kg(500サイズ、ペダルなし)
サイズ:455、480、500、520、550mm
カラー:マットホワイト
ハンドルバーとステムはデダブランドで統一。コンポはクランクセット、ブレーキキャリパーまでフルで105を採用する。 フレームのマット塗装は質感が高い
68mm幅のJIS規格BBを採用しているため左右方向の幅は抑えられているが、それでも十分にボリュームのあるBBセクション。FD台座はネジで固定されている
上下とも1-1/8インチのヘッドベアリングを採用。ワイヤのレイアウトはメンテナンスしやすい外装式で、シフトのアウター受けにはアジャスターを設ける
2014年モデルでもっとも大きな変更を受けたのがこのフォークで、コラムまでカーボン製となり大幅に軽量化。なお、ティアグラ仕様はアルミコラムを継続する
シートステーは上 部で左右を1本に集 合させる「モノステー」を採用。シートチューブ上端の割り は2カ所あり、シートポストを優しくかつ確実に固定する
大屋雄一の試乗レポート
試乗を終え、価格を再度確認してため息をついた。 これだけバランスのいいロードバイクが20万円そこそこの出費で買えるなんて......。これが率直な感想だ。
標準装着のWH-R501は、シマノでは最廉価な完組ホイールであり、前後で1900gと決して軽量とはいえない。また、ヴィットリア・ザフィーロもトレーニング向けのタイヤで、これもやや重め。
しかし、こうし た足まわりのネガをほとんど感じさせないほど走りが軽快で、思わず顔がほころんでしまうほどだった。
印象的なのはフレームの剛性バランス。ヘッド~ダウンチューブ~シートステーにかけてのラインに1本芯が通っているような安心感があり、高速で不整地に突入しても破綻をきたすことがない。
また、乗り心地も優秀で、カーボン自体の振動減衰特性に加え、どこか1カ所ではなく全体でショックを和らげてくれるような優しさも感じられる。
フルブレーキングを受け止めてくれるだけの縦剛性もあり、コンポやホイールの将来的なアップグレードにも余裕で対応するだろう。