トンプソン R-6200【10万円台からのロードバイク・シリーズ】
素直な操作性と、アルミらしいキビキビとした走行性能
トンプソンの生い立ちは1921年、ベルギーのヘラールツベルヘンに住むスメット家から始まった。自転車競技の盛んなフランドル地方オースト・フランデレン州にある緑豊かな丘陵地帯で、ツー ル・デ・フランドルのまさに通り道。ミュール、グラモンといった6061アルミフレームにカーボンフォーク採用のエントリーロード「ヘラールツベルヘンの壁」は 知らぬ者がない町である。
当時のスメット家は一般用自転車を製造していたが、優れた職人によるフレーム製作や塗装、メッ キ処理、仕上がりの美しさが早くから認められ、ロードレースに進出すると1942年にはフランドルで、のちの名将アルベリック・ スホットがトンプソンバイクで優勝を果たし、トンプソンの名は一 気に名声を得ることとなった。
こうしてファミリービジネスから始 まったトンプソンは、現在新工場 を建設して最新のカーボンフレー ムの製造まで対応し、欧州の人々 から愛されるメーカーへと成長を遂げた。
それでもなお設立当初同様、すべての製品は塗装から組み立てまで自社工場でなされ、流行に惑わ されることなく、高い品質と美しい仕上げにこだわる。
徹底した品質管理は変わらず、機能面でも自転車レースで応用される技術をフィードバックし、これまでにない機動性、高剛性を実現している。
THOMPSON R-6200
トンプソン R-6200
シマノ・105 完成車価格 21万円(税抜)
フレーム:アルミ
フォーク:カーボン
コンポーネント:シマノ・105
ホイール:マッハ・オメガ
タイヤ:IRC・ロードライト 700×23C
ハンドルバー:リッチー・コンプ
ステム:リッチー・コンプ
サドル:DDK・スピードプロ
シートポスト:オリジナル
試乗車実測重量:9.01kg(51サイズ、ペダルなし)
サイズ:51、53、56、59、62
カラー:ホワイト×グレー、ブラック×ブルー
トップチューブが若干長めだが、ステアリングの感覚はノーマルで扱いやすく、ハンドルポジションも下げられるので調整範囲が広い
ハンガーは最近のフレームに比べるとボリューム感が物足りない気がするが、アルミの よさを出して踏みだしは軽く、フレームがよれる感じがない
ワイヤ類は内蔵ではなくダボ付けの外装式とされているので、メンテナンスしやすい。ヘッドまわりの剛性感は十分で、ダンシングでも弱さは感じない
フォークはカーボン製で、かなりしっかりした作り。ブレーキングでもコーナリングでも不安感はまったく感じないので、思い切った走りができる
シートステーはノーマルな感じだが、そのぶんしっかりと腰を支えてくれるので、トルクをかけるような走りでもしっかりと進んでくれる。
小林徹夫の試乗レポート
R-6200のフレームは高強度な6061アルミ合金をトリプルバテッド加工し、スムーズウェルディング処理したもの。
単なるエントリーモデルの域を超えた走行性能と仕上がりの美しさを持っている。
アルミフレー ムもかつては踏みだしの反応はいいが、剛性が高く硬すぎ、路面からの振動も伝えやすいというイメージだ った。しかし最近のモデルではアルミでありながら振動吸収性を高めて、かつアルミのメリットを生かすフレーム作りがされている。
R-6200の踏み出しの加速性能は、アルミらしさを持っていてとても軽快だ。ペダルに力をかけるとフレームが、それをしっかりと推進力に変換してくれる。 硬いアルミだからこその乗り味だ。パワー重視で踏み込むタイプの人でも問題はないだろう。
シートアング ルが比較的寝ているので引き脚も使いやすいし、ハンドリングも素直で、力強いカーボンフォークとの相性もよく、タイトなコーナーから下りのハイスピードコ ーナーまで緊張感なくハンドルを切ることができる。