トレック・ドマーネ 4.3【10万円台からのロードバイク・シリーズ】
本格的なレースに対応した剛性と快適性が高次元で同居
2012年、トレックは同社初となるエンデュランス系ロードモデル「ドマーネ」をラインナップに加えた。
このシリーズにおける最大の特徴は、アイソスピードテクノロジーと呼ばれる革新的なフレーム構造だ。
トップチューブ~ シートステーとシートチューブを完全に分離し、接合部にベアリングを入れることで、ペダリング効率を損なうことなく垂直方向の柔軟性を高めることに成功した。
トレックはこれを、女性向けアルミフレームのレグザSLXや2シリーズ、旗艦モデルのクラシックエディションにまで広く展開している。
ここに紹介する4シリー ズは、トレック独自のOCLVカーボンを採用したドマーネの普及価格帯モデルで、400シリーズのカーボン素材を採用することで重量や剛性、価格のすべてを最高のバランスで実現している。
この4.3は、シマノ・105 をメインにアッセンブルされた完成車で、クランクにシマノのFC R565( × T)、スプロケットにティアグラ( T) をチョイス。この歯数構成はかなりワイドで、脚力が未知数なビギ ナーへの配慮がうかがえる。
さらに、タイヤはやや太めのCを選択しており、革新的なフレーム構造との相乗効果で、快適なロングライドが容易に想像できよう。
なお、この4シリーズは、フレームの塗色やコンポなどを選択できる、トレック独自の「プロジェクトワン」というカスタマイズプランにも対応している。
TREK DOMANE 4.3
トレック・ドマーネ 4.3
シマノ・105 完成車価格/23万7000円(税抜)
フレーム:カーボン
フォーク:カーボン
コンポーネント:シマノ・105
ホイール:ボントレガー・アプルーブド
タイヤ: ボントレガー・ R 1 700×25C
ハンドルバー:ボントレガー・レースブラッドVR-C
ステム:ボントレガー・レースライト
サドル:ボントレガー・アフィニティ1
シートポスト:ボントレガー・カーボンシートポスト
試乗車実測重量:8.81kg(54サイズ、ペダルなし)
サイズ:50、52、54、56、58、60
カラー:リキッドブルー×トレックホワイト
ハンドル、ステム、バーテープをはじめ、サドルやシートポスト、タイヤ、ホイールまでボントレガーで統一。コンポはシマノ・105を主体とした構成となる。
もっとも幅の広い規格であるBB90を採用。FD台座はリベット留めで、その下に3Sチェー ンキーパーを設置。 左チェーンステーにはANT+対応のセンサーを内蔵可能
上1-1/8、下1- 1/2(1.5)インチのヘッドベアリングを採用した上下異径ヘッドチューブ。この4シリーズから下のグレードは、ワイヤは外装式を採用している。
縦方向の柔軟性を得るために大きくベ ンドさせる一方で、下りでのコントロール性を確保するべく 横方向の剛性を高めた、画期的なアイソスピードフォーク。
トップチューブ~ シートステーを一体化し、シートチューブ上部を完全に分離するアイソスピード テクノロジー。垂直方向の柔軟性を高める革新的な手法だ。
大屋雄一の試乗レポート
第一印象は「大きなバイクに乗っているみたい」だった。
パフォーマンスロードのマドンシリーズよりも ハンガー下がりが10mm大きく、相対的にヘッドチューブ位置が高いこと、またホイールベースが30mm以上も長いことが要因として考えられ、それらを違和感として捉えたものの、数kmも走るうちに消え去った。
最初の感動はすぐにやってきた。歩道の段差を通過する際、乗り慣れた人ならその高さによって伝わってくる衝撃をある程度予測していると思うが、それが格段に少ないのだ。
しかも、その入力が大きいほど、タイヤやサドルとは違う部分、つまりフレームが上下方向にストロークしている感触が伝わってくる。
さらに不思議なのは、それほど快適性を重視した構造でありながら推進力は妨げられず、ダンシング時に感じる横剛性やねじれ剛性も高い。
トレックではドマーネシリーズもレースバイクと説明しているが、さもありなんと思った次第。レースもロングライドも平均値以上で楽しみたい人に最適なモデルといえよう。