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CARRERA カレラ SL

アルミフレームで世界にその名を広めたイタリアンブランド「カレラ」。現在は自社生産によるサイズオーダー可能なカーボンフレームを手がけるなど年間生産数を4000台ほどに抑え、クオリティを重視した製品群を展開している。そんな同社が今期のコレクションに加えてきたのは、みずからのブランドを冠した意欲作「カレラ SL」だ。

text:吉本 司 photo:岡 拓

高い運動性能が魅力の軽量レーサー

超軽量を意味する「SL(スーパーレッジェーラ)の名をおごるとおり、フレーム単体で730gという同社最軽量を実現。

アルミフレームの全盛期に、この素材を用いてブルーナイトといった軽量車を発表して注目を浴びたが、カーボン素材でもカレラ SLの登場により一気に軽量化戦争の最前線へと滑り込んできた。

 

60tのHMカーボンを素材にソリッドカーボンという独自の製法から生まれるカレラ SLは、直線的なチューブで構成され比較的オーソドックスな外観を持つ。

とはいえ、大径化した角断面チューブを多用し、オーバーサイズBB、テーパードヘッドの搭載によって軽量化しながらトップレベルのレーサーのパワーに負けない剛性が追求されている。

 

軽量車ゆえにチューブ肉厚はかなり薄く仕上げられており、力のかかりにくいとされるトップチューブと横扁平の強い細身の2本出しシートステーがフレームに必要な柔軟性を与え、乗り心地や効率的なペダリング、コーナリングに必要とされるしなやかさで全体の剛性感をバランスしている。

コンポは機械・電動式に対応し、シート部もオーソドックスな形状で軽量パーツのアッセンブルも行ないやすいなど、あらゆる面で汎用性に優れた仕様といえる。

そして、軽量モデルのフロントラインに位置するスペックを持ちながら、比較的抑えられた価格も大きな魅力のひとつになるだろう。

 

カレラ・カレラ SL

フレームセット価格 39万9000円

 

フレーム:カーボン

フォーク:カーボン

コンポーネント:カンパニョーロ・スーパーレコード EPS 11SP

ホイール:カンパニョーロ・ボーラウルトラツー

タイヤ:ハッチンソン・カーボンコンプ 700×23C

ハンドルバー:FSA・K-フォース ニューエルゴカーボンハンドル

ステム:FSA・OS99-CS131カーボンステム

サドル:サンマルコ・コンツアー カーボンFX

シートポスト:FSA・K-フォースライトカーボン SB.25

試乗車実測重量:6.33kg(Mサイズ、ペダルなし)

サイズ:XS、S、M、L、XL

カラー:R202、R203、R204、R205

 

■写真下・左:翼断面を強めたストレートブレードを持つフロントフォーク。330gという軽さに仕上げつつもしっかりとした剛性を持つ。シャープなハンドリングの一端を担う大きな要素だ。 ■写真下・中:下側のベアリング規格に1-1/4インチとしたテーパードヘッドチューブを採用してフロントエンドの剛性を強化する。比較的オーソドックスな形状とすることで軽量化にも貢献する。 ■写真下・右:トップチューブから途切れることのないデザインで続くシートステー。横方向への強い扁平加工によって薄く仕上げられ、路面からの突き上げを吸収して快適性を高めてくれる。

■写真下・左:トップチューブも比較的ボリューム感はあるものの台形の断面に成型され、柔軟性に対する配慮がされる。中間部分のチューブ肉厚はかなり薄い印象で、それもまた快適性に繋がる。 ■写真下・右:角断面のチューブで構成されたハンガーまわり。ハンガーシェルの幅いっぱいに成型されたチューブを接合することでねじれ剛性を高め、パワーロスの少ないペダリングを追求する。

■角断面に成型された迫力にあふれるダウンチューブ。パワーラインの剛性を高く保つ源となる。シフトワイヤはダウンチューブより内蔵され、機械式と電動式兼用となる。

吉本 司の試乗インプレッション

730gの超軽量なフレームは、もっとも肉薄と想像されるトップチューブの中間を指で押すと、そのたわみを明らかに感じる。しかし、その走行性能に軽さゆえの危うさを感じることはない。むしろ剛性レベルはかなり高く、とくにパワーラインに強さがある。軽量車らしいひらひらとした走行感覚もあるものの、この高剛性により踏み出しはきわめて軽く、そのレベルはレーシングモデルのなかではトップクラス。さらに、サラ脚の状態ではぐんぐん加速でき、平地から上りまで、低速から高速まで軽さを感じながら力強く走れる。 疲れてくるとその剛性に負けそうになる面もある。とはいえレースに本格的に取り組むようなライダーであれば乗りこなせるだろうし、一般レベルでも短時間のロードレース、クリテリウム、ヒルクライムでは走りのメリットのほうが大きいといえるだろう。軽いハンドリングはいかにもカレラらしいが、直進性を十分に備え、腰高な乗車感覚もない。したがってダンシングやレーンチェンジでの反応性のよさ、コーナーを抜ける速さなど、高い運動性能はレース志向のライダーにはかなりメリットが大きいはずだ。 乗り心地はレーシングモデルとしては良好。扁平形状のシートステーの、また肉薄で横扁平されたトップチューブの効果を体感できるので、長距離のロードレースも問題としない。カレラはその運動性能の高い走りに根強いファンを持つブランドだが、カレラSLにもその魅力がみごとに凝縮されている。ロードバイクらしい速さを求めるライダーには絶好の1台だろう。 ***************************************

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