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日向涼子と強くなる!ラスト1週間! (8/26~31)

泣いても笑っても”乗鞍”までもう1週間! ヒルクライムの魅力に目覚めてしまったモデル日向涼子が、シーナックキャビンの中込由香里選手に弟子入り。より高いレベルを目指すために必要なトレーニングをレポートする。「がむしゃらに走っている」から、さらに上のレベルになりたい人。日向涼子と強くなろう!

 

text&illust●日向涼子 photo●吉田悠太

泣いても笑ってもあと1週間!

いよいよ1週間前に突入。参加する人は、いちばん緊張している時期ではないだろうか? ここまで行ってきたトレーニングをムダにしないためにも、しっかりと体調を整えて乗鞍当日を迎えたいところ。では、総仕上げにしっかり練習するべきなのか、それともしっかりと休養するべきなのか。師匠にアドバイスを求めた。

 

先生:中込由香里さん(写真下・左)
アテネ五輪日本代表、MTB XCの全日本チャンピオンを4回獲得後、今年は10年ぶりにタイトル獲得。全日本マウンテンサイクリング in 乗鞍でもクラス6連勝中。

生徒:日向涼子(写真下・右)
CM
やカタログなど、企業広告を中心に活動するモデル。ポタリングから始めた自転車だが、気づけば坂に魅せられ、昨シーズンよりヒルクライムレースに参戦。

2週間の仕上がりは?

中込:乗鞍まで残すところ1週間となりましたが、この2週間はどのように過ごしましたか?

日向:一番頑張るという8/1218は、試走も含め、しっかり追い込めたと思います。

中込:追い込んだ上に試走も出来たとは、充実した1週間でしたね。

日向:勾配が変化する中で一定の出力を意識するのは難しかったですが、やみくもに走っていた今までに比べると集中できたように感じました。ただ、本当に長くて息が苦しくて、脚を休ませたい葛藤と闘いながら、自分にエールを送りながら走っていましたけど(苦笑)。


日向:その後の1週間は、疲れを取りながら刺激を入れるということだったので、自転車の楽しさを思い出しながら気持ちよく走りました。でも、その前に追い込めていたから、心おきなく楽しめたのかもしれません。そういう自分を確認できたというか……少し自信を持てました。

中込:それはよかったです。不安になるなと言っても無理でしょうが、メンタルも大切ですからね。

日向:はい。それでは残り1週間のトレーニングメニューをお願いします!


今さら追い込んではダメ

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最終週(8/2631

8/26
(月)軽め
8/27
(火)軽め
8/28
(水)アップ→10×1本(10分持続出来るペースor60分持続出来るペース)・・・気持ち良く上げられたら最後上げて終了→クールダウン
8/29
(木)軽め
8/30
(金)完全休養日
8/31
(土)アップ→5×1本(60分持続出来るペース)→クールダウン

8/26
2729:無理なく乗れれば軽く乗る

8/31
:レース前日は移動で足が凝り固まりがちなので軽く回しておく。
強度を上げると疲れが残ってしまうようであれば、軽く回すだけでよい。
今にもダッシュしたくなるくらいの感覚にしておきたい。
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日向:前日もトレーニングするのですね?前日はレースに向けて完全に足を休める日だと思っていました。

中込:日向さんに限らず、多くの人が前日は移動で足が凝り固まってしまうので軽く回しておいたほうがいいと思います。
もちろん追い込む必要はなくて、アップの時点で『強度を上げると翌日に疲れが残りそうだな』と感じたら、軽く回すだけで構いません。

日向:8/262729の軽めというのは意外と難しいかもしれません。軽く回していると調子が上がってきて、ついつい……

中込:今さら追い込んでも疲れが残るだけでレースには間に合わないし、いいことはありませんよ。

日向:そうなんですよね。この2週間だけでも、すごく調子がいい日に比べ、なんとなく体調が優れない日や追い込んで疲労が溜まった状態の時はビックリするほどタイムが出なくて。あまりの差に愕然としましたが、逆に『仕上げに失敗しなければ、やってきたことに見合う結果が残せるんじゃないかな』と感じました。

中込:最終週はレース日に最高のコンディションに持っていくための調整週と考えて下さい。あくまでもこのメニューは参考までで、そこまでのトレーニングや体調、調子によってアレンジします。今までやってきて、どういう時が調子いいとか、少し解ってきたのではないかと思います。
ただ、長年やってきている私でさえ、はっきりと自分の調子をつかむ事は難しい。こうしたほうがよさそうとか、結構"カン"による所が大きいかな。基本的には、少し刺激を入れる事と、体をフレッシュな状態にする事です。

食事で大切なポイントは?

中込:ところで、トレーニングと同じくらい食事も重要ですが、日向さんが気をつけていることや、意識していることはありますか?

日向:昨年は1週間前からカーボローディングを試したりしましたが、ヒルクライムレースは他のレースに比べて時間が短いので、今シーズンは炭水化物(糖質)を意識するのは前日と当日くらい、それまではいつも通りのものをバランスよく食べるようにしています。レース前日も、他の人にとってはいいものでも、自分が食べなれていないものは避けるようにしています。

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日向涼子 レース前の食事

前日:炭水化物の量は多めにするが、基本的にはいつもと変わらないバランスのとれた食事。

(気をつけていること)
・レース前だからと言って特別なものは食べない。
・脂っこいものは消化に時間がかかるので避ける。
・生ものはお腹を壊す原因となりやすいので避けたほうが無難。
・食物繊維の多い食べ物も消化に時間がかかるため、量に注意。
・食べすぎ・飲みすぎは内臓の負担になるので腹八分目で。


当日の朝:バナナ・ドラ焼き

レース直前(30分前):エナジージェル
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中込:日向さんはさすがに食事に関して知識が豊富だと思います。とてもいいと思いますよ。食事に関しても、トレーニングと同じように、個人差があるので自分に合っているやり方を選択するのがいいと思います。私も、日向さんと同じようなやり方で、レース前もあまり特別に食事を変えません。


ヒルクライムレースでは特に体重は重くしたくないのだけれど、前日、前々日位はやはりエネルギーとなる炭水化物は多めに蓄えたいので炭水化物中心の食事を取ります。そこで少し増えてもいい位の体重にしておきたいので、トレーニング量を落とすこの週は前半食べる量には気をつけたいですね。炭水化物は少なめにします。この週は特に、体調を崩さないように栄養はしっかりと取りながら余計な物は極力取らないようにしたい所です。


当日の朝食は、日向さんのようにバナナ、ドラ焼き程度だと私は物足りないので、おにぎり、シリアル、カステラといったものを割としっかりと食べます。私はエナジージェル的な物でも30分前では上がってきそうなので、朝食の後は摂取しません。(ただし朝食からスタートまでにもっと時間が開く場合は2時間前位にゼリー類を摂ったりします)

日向:師匠はレース前のジェルは飲まないのですね。私の場合、『ジェルが効いている!』と実感したことはないのですが、どちらかというと心のお守りのような気持ちで飲んでいます。
そういえば、いきなりレースで新品のボトルを使ったところ、ボトルの硬さが合わず、飲みにくいわ、ボトルケージに戻しにくいわ……、ということがありました。口に入れるものは普段と変わらないように気をつけていたのに、意外なところに落とし穴があって、『レースで使うものは1度試すべきだなあ~』と強く思ったことがあります。

レース当日の過ごし方

日向:さて、「いよいよレース当日!」となるわけですが、師匠は起床からレースまでどのように過ごされるか教えてください。

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中込由香里師匠 レース当日の起床からスタートまでのスケジュール

7:00スタートの場合】
3:45
起床
4:00
~朝食
食休みを入れて、体操、ストレッチ、着替えなど
5:20
~ローラー、走行アップ
荷物預け、トイレなどにも時間を取られるので早め早めに準備するように。
6:30
には並ぶ
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中込:ヒルクライムレースの場合、気を付ける点がいくつかあります。まずはスタート時間が早いこと。朝食はレース3時間前にはとってもらいたいので、前日は出来るだけ早く消灯したいものです。眠れなくても体を横にしてリラックスしていればワンレース位大丈夫なので、眠れない事にイライラせずに、体を休めましょう。

日向:私は目を覚ましてから動き出すまで時間がかかってしまうので、レース当日は3時前には目覚ましをかけています。ベッドの中で手足を少しずつ動かして30分かけて起き上がり、そこからゆっくりストレッチ。胃が動いてきたらようやく朝食、それが大体3時間前という感じでしょうか。

中込:個人個人でやり方があると思うので、自分がやりやすいスケジュールでいいと思いますよ。続いてアップですが、レース会場では場所が限られてしまうので難しいかもしれません。でも、思うようにできない事を前提に、それにイラつく事無く、その中でベストを尽くすようにしましょう。

日向:レース前にアップができず、気持ちがそわそわしたままスタートしてしまったことがありましたが、『できなくても仕方ない』『できたらラッキー』と思えば、早めに気持ちが切り替えられそうですね。

中込:アップをした場合には、汗で冷えてしまわないようアンダーは着替えておきましょう。

日向:なるほど。ウィンドブレーカー等の下山グッズ以外に、替えのアンダーを準備しておかなくてはなりませんね。

中込:アップが終わったら、スタート位置を前に取りたい人は前持ってバイクを並べておく必要もあります。また、待っている間もできるだけ体は動かしておきたい所ですね。

日向:トイレも並んでいて時間を取られるし、ヒルクライムレースでは下山バッグを預けたり、なんだか慌しいですね。

中込:緊張しているヒマなんてないでしょ?(笑)

日向:う、う~ん。だといいのですが(汗)

中込:とにかく当日は、スタートまでやることをサッサとこなす感じで手一杯になると思うので、前日までにできる事はやっておいて、段取りを考えておいたほうがいいでしょう。
さて、最後の1週間の過ごし方ですが、体を絞ったり、激しいトレーニングを積んだ後は体の抵抗力が弱っていて風邪をひきやすい状態であったりもするので、睡眠、栄養にも気を配り、体を冷やさないようにとか、うがいをこまめにするとか、心掛けたいものです。仕事の都合などで、なかなかできないかもしれませんが、睡眠以外にも体を休ませられる時は休ませたいですね。コンディションを整えて、あとは思い切り挑戦するのみ!


ここまで上手くいったかいかなかったかはわらないし、レースも上手く走れるか走れないか、わからないけれど、最後の最後まで自分のベストを尽くしましょう!結果を心配するよりも、チャレンジできる喜びを胸に、レースのスタートを切りましょう!


乗鞍のゴールで笑顔で日向さんと抱き合う事ができますように。

【日向涼子感想】
イラストにも描きましたが、その日のコンディションによって、かなりタイムが違います。もちろん、体調が大きく左右しているとは思うけど、いちばんはペダリングの差かもしれません。


最近気づいた悪いクセ。右足はつま先から踏み、左足は踏み込みが遅い。ヒザは内側に入りやすい。意識をすれば直せる程度のものですが、疲労が溜まっていたり体調が悪かったりすると、そこまで考える余裕がなく、結果、タイムに影響するように思います。


自分のクセに気づくのが遅かったため、今からフォームの修正は間に合わないし、クリート位置も気になりますが、残り1週間で動かすのは賭けに近い。今の私がすべきことは、レースに向けてコンディションを整え、当日は正しいフォーム・効率的なペダリングを意識して走ること。


レースでどこまで冷静になれるか分かりませんが、この3ヶ月間やってきたことを自信に、9/1は今の自分を試してきたいと思います。



ワンランク上のヒルクライマーになりたい!日向涼子と強くなる! 3ヶ月目(8/1225

取材協力:シーナック・キャビン 
衣装協力:KAPELMUUR/カペルミュール(ウエイブワン)