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ハースが2度目の優勝! ジャパンカップ2014

快晴に恵まれた今年のジャパンカップは、熱いゴールスプリントを制してハースが2度目の勝利を上げた


僅差のゴールスプリントで雄叫びを上げたハース!

秋晴れに恵まれた今年のジャパンカップサイクルロードレース(UCIアジアツアー1.HC)は、小集団でのゴールスプリントにもつれ込んだ。そして8万人の大観衆が見守るフィニッシュラインで、雄叫びを上げたのはオーストラリアのネイザン・ハース(ガーミン・シャープ)だった。

 

ハースは2011年に、UCIコンチネンタルチームのジェネシスウエルスアドバイザーズの一員として初来日したときにも、10人でのゴールスプリントを制して優勝していた。そのとき彼が競ったのは、西谷泰治と佐野淳哉という2人の日本勢だった。

 

しかし今回は、ゲント~ベベルゲムで勝っているチームスカイの強豪、エドワルド・ボアソンハーゲン(ノルウエー)がハースのライバルだった。それでも彼は、フィニッシュラインで勝利を確信できるスプリントをやってのけ、UCIプロチームで過ごした3年間での成長ぶりを魅せてくれた。

 

阿部嵩之と山本元喜が加わった逃げグループ

第23回ジャパンカップには、16チームの79選手が参加した。唯一欠場したのは、来日直前のトレーニングで落車して頭と首を負傷したファビアン・カンチェッラーラ(トレック)だった。

 

スタート前には、宮澤崇史(ビーニファンティーニ・NIPPO)とオランダのカルステン・クローン(ティンコフ・サクソ)が、このレースを最後に現役を引退することを表明した。

 

優勝候補の筆頭には、2010年の勝者であるダニエル・マーティン(ガーミン・シャープ)の名前が上がっていた。彼は2週間前のイル・ロンバルディア(UCIワールドツアー)で初優勝し、直前のツアー・オブ・北京(UCIワールドツアー)でも総合争いをしていた。

 

しかしマーティンは、金曜日に行われたチームプレゼンテーションで、調子はあまり良くないと公言していた。

 

毎年ジャパンカップはスタートしてすぐ逃げグループが形成されるが、今年はなかなかアタックが決まらなかった。1周目の古賀志林道のトップを越えたあと、下りで内間康平(ブリヂストンアンカー)が飛び出して先行したが、そのまま逃げ出すことはできなかった。

 

その後も逃げの試みが続いたあと、鶴CCの上り坂でオーストラリアのダレン・ラップソーン(ドラパック)がカウンターアタックで集団が抜け出すことに成功した。

 

すぐにスペインのホセビセンテ・トリビオ(チーム右京)、山本元喜(ビーニファンティーニ・NIPPO)、そして地元宇都宮ブリッツェンの阿部嵩之が加わり、4人で2周目に突入した。そのときすでに集団とのタイム差は1分以上開いていた。

 

3周目にかけられた山岳賞は地元ブリッツェンの阿部が山本に競り勝って獲得し、沿道から大歓声が沸き起こった。メイン集団はチームスカイが中心になってコントロールを続け、逃げとのタイム差が6分以上開くことはなかった。

 

逃げグループは9周目に入っても、まだ集団に2分以上の差を付けていた。古賀志林道で最後の山岳賞を獲得したあと、山本が最初に脱落し、先頭は3人になって残り2周回に突入したが、集団はもうすぐそこまで迫っていた。

 

古賀志林道で先頭から阿部が脱落。集団からアタックしたヤン・ポランツ(ランプレ・メリダ)が合流して先頭は3人になったが、最終周回に入る前には集団に吸収されてしまった。

 

そして迎えた最終周回は、マーティン、スティール・ボンホフ、ハースのガーミン勢が先頭を引く40人近い集団で突入した。

 

最後の古賀志林道の、山頂から2~300メートル手前で最初に仕掛けたのはイタリアのモレノ・モゼール(キャノンデール)だった。今季は不調で勝ち星がなかったモゼールは、最後のチャンスに賭けたのだ。

 

下りでマヌエーレ・ボアロ(ティンコフ・サクソ)が、単独でモゼールを追いかけたが、マーティンが引く後続グループに捕まってしまった。そしてモゼールも残り1kmで吸収され、今季1勝の夢は消えてしまった。

 

最後は10人ほどの選手でのゴールスプリントになり、ハースがボアソンハーゲンを下して2度目の優勝を勝ち取った。

 

■優勝したネイザン・ハース(ガーミン・シャープ/25歳)のコメント

「ここには2011年にコンチネンタルチームの選手としてやって来て、このレースで初めてワールドツアーのチームの契約を得られたから、本当にすばらしい思い出がある」

 

「去年はジャック・バウアー、ボクも過去の勝者。マーティンも勝っていて、ボクたちガーミン・シャープは、ここでいつもいい成績を出している。それをボクが継続できたからうれしいよ」

 

「今年は長いシーズンを過ごした。90レースを走り、グランツールも2つ走った。シーズンは1月に始まって、これが最後のレースだった。けれど昨日のクリテリウムで、自分の調子がいいことに気がついていた」

 

「今朝、マーティンがやって来て、“お前は勝てる。お前のためにできるかぎりのことをする”と、言ってくれた。そして彼はレースの最後に、集団をコントロールしてくれた。この勝利は本当にチームの努力のたまものだ。こういう時には、負けるわけにはいかないものさ」


第23回ジャパンカップサイクルロードレース結果

1 ネイザン・ハース(ガーミン・シャープ/オーストラリア)4時間06分48秒

2 エドワルド・ボアソンハーゲン(チームスカイ/ノルウエー)

3 グレガ・ボレ(ビーニファンティーニ・NIPPO/スロベニア)

4 ミカエル・バルグレンアンデルセン(ティンコフ・サクソ/デンマーク)

5 フリアン・アレドンド(トレック/コロンビア)

6 バレリオ・コンティ(ランプレ・メリダ/イタリア)

7 ダビデ・フォルモロ(キャノンデール/イタリア)

8 モレノ・モゼール(キャノンデール/イタリア)

9 ヤン・ポランツ(ランプレ・メリダ/スロベニア)+5秒

10 クリストファー・ユールイェンセン(ティンコフ・サクソ/デンマーク)+18秒

 

各賞






山岳賞を獲得した選手たち。左から阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン/3周目)、ホセビセンテ・トリビオ(チーム右京/スペイン/6周目)、山本元喜(ビーニファンティーニ・NIPPO/9周目)







14位と健闘し、アジア最優秀選手賞を獲得した別府史之(トレック)。「自分の名前を呼んでくれる声援が途切れることがなく、すごく幸せで楽しかった」と語っていた







デンマークチャンピオンのミカエル・バルグレンアンデルセン(ティンコフ・サクソ)は4位で表彰台は逃したが、U23最優秀選手賞を獲得した

 

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