ペンナローラ RC-3 試乗レポート
軽く流しているだけでも気持ちいい
前作となるRC- 4は「マイル ドレーシング」というコンセプトだったが、このRC- 3は「ナチュラルレーシング」だという。聞いてもいまいちピンとこないコピ ーだが、広報資料によると「走る・ 曲がる・止まる」というロードバイクに必要な絶対性能をライダーが自然に感じ取ることができる、 ということらしい。
フレームはカーボンモノコック。 ダウンチューブとチェーンステー をパワーラインと考えて太く作り、トップチューブとシートステーは細くして快適性を確保する。ヘッドは上下異径にして固める。ここ数年のセオリーをきれいになぞった設計である。
フレームサイズは4種類。ヘッドは短く、レースユースも可能なジオメトリーだ。シート角は2種類しかないが、「自然に曲がれる」という宣伝文句のとおり、ヘッド角は全サイズで細かく調整されて いる。リーチは公表されていないが、おそらくサイズ間での逆転現象は起きていないだろう。グラフィックはなかなかカッコいいが、設計に特殊なところは見られない。 走りはどうか。
PENNAROLA RC-3
ペンナローラ RC-3
フレームセット価格/24万9000円(税抜)
シマノ・105完成車価格/29万9900円(税抜)
シマノ・アルテグラ6800完成車価格/34万9000円(税抜)
フレーム●カーボン
フォーク●カーボン
コンポーネント●シマノ・アルテグラ6800
ホイール●マヴィック・アクシウム
タイヤ●マヴィック・アクシオン 23C
ハンドルバー●ITM・アルコー 80
ステム●ITM・アルコー 80
サドル●プロロゴ・スクラッチプロ X14 TiroX
シートポスト●ITM・アルテックウィング
試乗車実測重量●7.68kg(Sサイズ、ペダルなし)
サイズ●XS、S、M、L
カラー●サブラックイエロー、ブラックレッド
シートステーは非常に細い三角形断面。左右シートステーの間隔が広く、リヤ三角の横剛性を高める意図がうかがえる。シートポストはあえて27.2mm径を採用し、快適性を確保
潔いほどストレートなフォーク。フレームとの相性がよく、ハンドリ ングのレベルは高い。完成車に装着されるブレーキキャリパーはシマノ製で、制動性能に不満なし
ヘッドは上下異径タイプ。トップ長515mmのXSサイズでヘッド長は 110mmと短く設定されており、低いハンドルセッティングを可能としている。小柄ライダーにうれしい仕様
BB規格はトラブルの少ないノーマルスレッドタイプ。ハンガー幅が狭くなりチューブの太さに制限が生じるものの、走りに弱点は見られない。クランクまでしっかりシマノ製
チェーンステーのBB側は長方形 断面だが、途中からいきなり三角形断面へと変化する。フレーム重量は1000g。チューブはどこもかしこも頑丈にできており、安心できる作り
安井行生の試乗レポート
「いいバイク」とは、軽くて硬くて快適なバイクとイコールでは決してない。加速も上りもコーナリングも減速も、すべてがただただ気持ちいいこのRC-3のようなバイクを指すのだ。
適度に軽快で適度にトルクフルな加速フィール。すべてが意のままになるコントロール性。ヒラヒラカンカンと軽薄に走る最新鋭カーボンフレームよりよっぽど楽しい。軽く流しているだけでも気持ちいい。
超ハイエンドモデルのような高負荷域での爆発的な伸びはなく、わかりやすくとがった性能で楽しませてくれるフレームではないが、コストに制限のあるミドルグレードでここまで上質なペダリングフィールに仕上げているとは。
ハイエンドホイールに替えて走ってみたが、バランスが崩れることはなかった。なるほど「ナチュラルレーシング」とは、これ以上ないほど的確な表現であった。楽しく気持ちよく走りたい人には、自信を持ってお勧めできる一台である。