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サーヴェロ RCA 試乗レポート

ロードバイクの2大要素である軽さと空力で業界をリードするサーヴェロ。同社がプロジェクト・カリフォルニアと銘打って、米国の自社工場で生産する究極の軽量バイクが「RCA」。昨年発表されロードバイカーに大きな衝撃を与えた一台が、早くもブラッシュアップされた。  

 

text:吉本 司 photo:小見哲彦

世界最高峰の軽さ、さらに極まる

 

最大の変更点は、フロントフォークを完全なる新設計としたこと。 従来はストレートブレードだったが、今作ではゆるやかなベンドを与える一方、クラウンには大きなボリュームを与えて横剛性と乗り心地の向上が図られている。サーヴェロのデータによると横剛性は向上、縦方向にはマイナス7を実現。さらに35gの軽量化も果たしているという。  

 

対するメインフレームは、トップチューブとシートチューブの作りを見直して強度アップを図り、クラッシュ時の耐性を高めている。  そしてこれらの改良によって、フレームセット(エンド小物など を含む塗装済み)は947g(56サイズ)に仕上げられる。 

 

空力性に配慮したスクオーバル3と呼ばれるチューブ断面形状。電動/機械式変速、油圧式ブレーキにも対応するフューチャー・プルーフ・ケーブル・マネージメント。そして27mm幅クラスのタイヤ を受け入れる設計など、RCAは界最高峰の軽さを追求しながら、多用途性と実用性を巧みにバラン スしている。単なる超軽量車に止まらない、サーヴェロの威信をかけた一台がさらに進化を果たした。

 

CERVELO RCA

 

サーヴェロ・アールシーエー

フレームセット価格/135万円(税抜) 

 

フレーム●カーボン

フォーク●カーボン

コンポーネント ● シマノ・デュラエース 9070 D i 2 

ホイール●ゼンティス・スクアッド2.5 

タイヤ●パナレーサ-・レースLエボ2 23C

ハンドルバー ● イーストン ・ EC 90 SLX 3 

ステム●イーストン・EC90SL 

サドル●トーケン・9521Xウィングカーボン 

シートポスト●イーストン・EC90 

試乗車実測重量●5.90kg(56サイズ、ペダルなし) 

サイズ●48、51、54、56

カラー●マットブラック

 

 

サーヴェロ独自規格のBBライトによって形成されるハンガー部。高トルクのペダリングにも最適な剛性を発揮するよう、全方向に大きなボリュームを持つボックス状に成型

 

 

モノタイプと2本式を融合させたシートステー。乗り心地や路面追従性向上を目的にきわめて細く、薄く成型される。それができるのも強固な作りのパワーラインがあるからこそ

 

 

新型となったフロントフォーク。 素材とともに形状も見直され、とくにフォーククラウンのまわりのボリュームアップが顕著だ。それを示すようなレッドの差し色もユニーク

 

 

リヤブレーキのワイヤ処理は、油圧式のオイルラインにも対応できるように全アウター式を採用。レバーの引きが重くならないように、ワイヤの出口はトップチューブ上部に設計

 

 

 

左右異形断面のチェーンステー。 とくに左側はタイヤとの間隔もかなり詰められ、縦方向はハンガーシェル直径と同じ程度の大きなボリュームを持ち、適正な剛性バランスを得る

 
 

吉本 司の試乗レポート

 

パッと乗りで体感できる加速の軽さ、 ダンシングをはじめとする横の動きの軽快さはまさに超軽量車。トルクをかけてペダリングすると、ヘッド下側とフォーククラウン、ハンガーシェルからチェーンステーこそ固いが、チューブ肉厚が薄いためかフレーム全体としてとくに剛性が高いとは感じない。絶対的な剛性だけならR5のほうが上まわる。

 

しかしRCAにネガティブな運動性能はない。ダウンチューブの中間部分に感じられる良好なしなりは、瞬間的な加速やスプリントといった場面で速度に伸びを与えてくれる。R5よりもRCAのペダリングフィールはスムーズで、高速巡航でもペダリングの持続性に長け、上りでの走りの軽さも一枚上手。

 

気になるのは、少し短めのフロントセンター。下りや荒れた路面ではやや腰高に感じる面もある。上級者に向けて反応性の鋭さを狙った設計とのトレードオフゆえに仕方はない。とはいえ、この軽さ、そして軽さ際立つ走りは文句なしに大きな魅力だ。

 

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