グレッグレモン・ワショー 試乗レポート
「新しいスチールの世界」を拓く一台
一年ほど前から個人的に注目している車種がある。テーパードヘッドを採用したスチールフレームだ。
ヘッド~フォークの仕立て方(剛性感)が走行性能に与える影響は非常に大きいが、スチールフレームをテーパードヘッド化すれば、ハンガー部のスチールらしさはそのままにヘッドが固まり、「スチールならではの味わい深さ」と「現代的な動力性能」が両立するのでは、と思ったのだ。そんなフレームをグレッグ・レモンが作ってくれた。
パイプはレイノルズ・853。大径ダウンチューブに扁平トップチューブ、極細シートステー、プレスフィットBBに前述のとおりヘッド下ワンは1.5インチ。スチールという素材を現代風に再解釈したフレームだといえる。他にも魅力は多い。こだわりのジオメトリー。オプションのカラーオーダー。ハンドメイドミネソタ。エンヴィやクリスキングなど超一流の付属品。魅力的な価格。
販売形態はメーカーサイトからの直接購入となるが、リドレーの代理店でもある日本のジェイピース ポーツグループがアフターケアを担当するため、購入後も安心だ。さて、期待に胸を膨らませての試乗である。
GREG LEMOND WASHOE
グレッグレモン・ワショー
フレームセット予定価格/25万円(税抜・アメリカからの送料込み)
フレーム●クロモリ(レイノルズ・853)
フォーク●カーボン
コンポーネント●シマノ・105
ホイール●ファストフォワード・F2RA JPLTD
タイヤ●ヴェレデステイン・フォルテッツァトライコンプ
ハンドルバー●デダチャイストラーダ・ゼロ100
ステム●デダチャイストラーダ・ゼロ100
サドル●サンマルコ・ゾンコラン
シートポスト●トムソン・エリート
試乗車実測重量●9.12kg(XXSサイズ、ペダルなし)
サイズ●XXS、XS、SM、MD、LG、XL、XXL
カラー●アムステルダムオレンジ×サンレモブルー ×ミッドナイトブラック(試乗車カラー)
※カラーオーダー可能
※インプレッション車は市販モデルと仕様が異なる場合があります
ダウンチューブはBBセンターより下方に、 チェーンステーはBBセンターより上方にオフセットして接合されている。これが「魅惑の剛性感」の秘密か。BB規格はプレスフィット
リヤエンドは左右に大きく張り出した形状。 チェーンステー&シートステーとの溶接面積を大きく取るための工夫だろう。フレームには電動コンポ用の内蔵穴が開けられている
トップチューブは大胆に扁平される。そのためか、振動吸収性は良好で振動の減衰も速い。太いダウンチューブは、ヘッド側の円断面からBB側の横だ円に徐々に変化していく
フレームセットには、国内価格約5万円の高性能フォーク、エンヴィ・ロードフォーク2.0テーパード(フレームと同色にペイント済み) が含まれる。これで約1800ドルとは良心的
550ドルのアップチャージでカラーオーダーが可能。フレームカラー、ロゴカラー、アクセントカラーを8色の中から選べる。フレーム にはクリスキングのヘッドパーツが付属する。
安井行生の試乗レポート
試乗に過度な期待は禁物だ。しかしワショーは、大きすぎる期待をさらに上まわってみせた。
ひと踏み目で高品質スチールならではの剛性感に魅了される。極上のバネ感。伸びやかなペダリングフィール。加速も登坂もコーナリングもブレーキングも、キレよく正確で安定している。予想どおりスチールらしさはそのままに、各動力性能を一気に現代化した印象だ。
いろいろなホイールで試してみたが、クセのあるホイールでも奥深いペダリングフィールは薄まらない。これはスチールフレームの新しい世界を拓く可能性を持ったフレームである。
試乗後、サイトのカラーオーダーシミュレーターをいじっていたら、いつのまにか30分ほど経っていた。気付いたら為替レートを調べ、オプションを含めた代金を計算していた。危ない危ない。ちなみにオススメのカラーは、フレーム:マイヨブラン、 ロゴ:サンレモブルー、アクセント:ミラン ピンクです。フレームカラーがミッドナイト ブラックでもいいかも。