入門ロードバイク 2015 【トンプソン、ジェイミス】
30万円台で乗れる! トンプソン・パイロット SL
日本上陸3年目になり、注目度を増しているトンプソン。カーボンロードのラインナップには、上から「フォース」「シリウス2・0」「パイロットアールシー」の3モデルを展開。トップレンジの「フォース」がコンフォート系で、セカンドグレードの「シリウス2・0」がレーシング向けというのも、厳しいライディング条件でも快適性を求めるベルジアンブランドらしい。
「パイロットアールシー」はエントリーグレードに位置するが、フレーム素材は上位グレードと同じ 「ハイモジュラスカーボン3K」 によるモノコック製法。チューブにボリュームがあり、剛性と堅牢性も高める。いっぽうでモノシートステーとチェーンステーは振動吸収性に優れ、コンフォートバイクとしての特徴を出している。
そして、2015年に身長155cmからの小柄な女性でも乗れるスローピングタイプの「パイロットエスエル」が登場した。また、注目はベルギー自社工場で職人の手によってペイントされるカラーカスタムプログラム「Be Creative」だ。ハイエンドモデルにカラーオーダー サービスを採用するメーカーはあるが、トンプソンはすべてのカーボンモデルに対応。しかも、全色から各部のカラーを選択でき、 追加料金2万円で、なんと8万通り以上のバリエーションを作ることができる。
ベルギー育ちの軽快な走行性能をもつエントリーモデル
THOMPSON PILOT-SL
シマノ・105完成車価格/30万円(税抜)
フレーム●カーボン
フォーク●カーボン
コンポーネント●シマノ・105
ホイール●TRC・SL42
タイヤ●IRC・ロードライト 23C
ハンドルバー●デダエレメンティ・RHM01
ステム●デダエレメンティ・ゼロ01
サドル●セライタリア・SL XC
シートポスト●デダエレメンティ・RS01 G
サイズ●44、47.5、50 H
試乗車実測重量●8.75kg(50サイズ、ペダルなし)
カラー●マンゴーイエロー
■写真下・左:シートステーは振動吸収性を求めながら、横剛性も確保する。チェーンステーはボリュームを出し、パワー伝達性を高めている
■写真下・中:イタリアの老舗サドルメーカー「セライタリア」をアッセンブル。 SL XCはクッション性に優れ、快適なライディングへと導く
■写真下・右:ステアリングコラムにはアルミを採用するストレートカーボンフォークは、正確なラインコントロールを可能にする
■フレーム全体の剛性を調整し、BBまわりに過剰なボリュームを出さないBSA規格を採用。ロングライドでも疲れにくく、脚への負担を軽減する
■ハンドルまわり、シートポストも含め定評ある「デダ」シリーズで固める。上下異径のテーパードヘッ ドチューブにより、ヘッドまわり強度と剛性を確保
ハシケンの パイロット SL 試乗レポート
発色のよいカラフルなフレームが印象的で、走行性能についてはいささか懐疑的だった。 しかし、乗ってみると、コントロール性がスムーズで気に入った。直進安定性が高く、高速での下りの切れ込みに対しても、フロントフォークがリードしてくれる安心感がある。
上りではキビキビとダンシングがしやすい。これも、 エントリーグレードとしては軽量なフレーム重量950gと、剛性のあるストレートフォークによるところが大きいと感じる。また、BBまわりの適度なしなりも、軽快さに生かされていると推測される。
角断面のダウンチューブ、丸型シートチューブともにボリュームを出しており、 一見すると剛性は高そうだが、実際には踏み返しはなくスムーズにペダリングできる。 メーカーはシティライドからオススメしているが、レーシング性能も十分だ。 初めてのロードバイクを、性能も満足できる世界で一台だけのオリジナルバイクとして作れるぜいたくな選択肢は魅力的だ。
BRAND STORY
1921年の創業以来、90年以上にわたり自転車大国ベルギーで愛されてきた老舗ブランド。ツール・デ・フランドルの石畳など、悪路の多いことで知られるベルギーで鍛えられたロードとMTBを送り出す。フレーム設計、ペインティング、組み付けまで一貫して自社で行なう。多くのモデルにカラーオーダーシステムを採用している。
ハマショウ TEL03・5615・2259
text●ハシケン photo●金上学
10万円台で乗れる! ジェイミス・アイコンレース JP エディション
アイコンレースJPエディションのフレームは、6061アルミのダブルバテッドを採用した軽量アルミフレーム「シンセサイズ」を採用。T700系カーボンフレームと同等の重量を再現しながら、アルミ独特の硬さはなく、クロモリのようなしなやかなバネ感を持ち、コンフォート性能を引き出している。
上位機種のアイコンプロ、アイコンエリートと同様の乗り心地で、モデルによって違いがないようになっている。アッセンブルの基本ベースはシマノのティアグラを中心にして組まれているが、日本限定仕様としてブレーキレバーは105の10速用を採用し、ティアグラやFSAコンポでコストダウンしている。
フレーム本体は上位モデルのアイコンエリート(アルテグラ仕様で7.5kg、27万円・税抜)と同じスペックで塗装が違うだけ。フォークはコラムを含めてカーボンが採用されている。 パーツをグレードアップすることで上位モデル同等になるのはもちろん、さらにハイスペックを目指すことも可能だ。基本的なパーツ構成でもアルミフレームで完成車実測重量8.92kgと、この価格帯では最軽量クラスを誇っている。
10速モデルとはいえ、フリーのローには28Tが用意されているので、ギヤ比に物足りなさを感じることはないだろう。フレームデザインもクロモリフレームに近く、比較的シャープで、カーボンに代表される極太フレームに魅力を感じない人にもオススメだ。
6061アルミの可能性を追求した レーシングモデル
JAMIS ICON RACE JP EDITION
シマノ・105完成車価格/13万8000円(税抜)
フレーム●アルミ
フォーク●カーボン
コンポーネント●シマノ・105 /ティアグラ
ホイール●アレックスリム・AT470
タイヤ●ヴィットリア・ザフィーロスリック 23C
ハンドルバー●リッチー・コンプロジック
ステム●リッチー・4-アクシス
サドル●セラロイヤル・セタS 1
シートポスト●ジェイミス・3Kカーボン
試乗車実測重量●8.92kg(51サイズ、ペダルなし)
サイズ:44、48、51、54
カラー●カスケードホワイト
■写真下・左:バックステーの振動吸収性は十分で、腰の負担は少ない。上りのシッティングでパワーを掛けるとネジレを感じるが、不快感はない
■写真下・中:サドル形状は、とくに乗りにくさを感じない。シートポストのヤグラ部分はオフセットが少ない分、乗り方によって交換もいい
■写真下・右:フルカーボンのフォークは、ベンド形状をしている。コントロール性能を重視し、軽さと縦方向の振動を緩和させている
■ハンガーまわりはしっかりしているので、踏み込んだパワーが伝わるような印象だ。サイズによって長さの違うクランクが用意されるのもうれしいところ
■ブレーキレバーは意外と目に付く部分でもあり、105をアッセンブルしたこのモデルは高級感が感じられる。もちろん操作性能も軽くて扱いやすい
小林徹夫の アイコンレース JP エディション 試乗レポート
低価格帯のロードは落車する可能性もある初心者が乗ることが多いことを想像 すれば、扱いにデリケートさが要求されるカーボンよりも、アルミこそ初心者向きということもできる。そのアルミフレームも一時のキンキンに硬く、シャープな乗り味ではなく、この数年は踏み込んだ力が逃げずに路面からのショックを伝えにくくし、剛性感も高すぎないフレームが多くなっている。
このJPエディションもまさにそんな印象で、ハンガーまわりはしっかりしながらも、路面からの縦方向のショックをよく減衰する。ロードタイプの細いタイヤに慣れない初心者は、縦方向のショックに弱いので、極力ソフトな方向に組まれたフレームは、意識することはできなくとも結果としてはいいほうに働くだろう。
フレームの外径は細めなので、横方向にも比較的柔らかめで、シッティングでトルクを掛ければトップがねじれるのがわかるが、これもむやみにフレームが頑張ってしまうとロードに慣れない人には余計な負荷となることも多いので、むしろいいように思う。
BRAND STORY
1937年にヨーロッパ製品の卸商として創業した会社が母体で、79年にアメリカのニュージャージー州で最初のクルーザーモデルをリリースし、90年にジェイミスブランドを立ち上げた。その後カーボンフレームのDHバイクのディアブロ、クロモリのハードテール、ドラゴンを開発し、日本でもその名を知らしめた。
ジェイミスジャパン東京事務所 TEL090・1526・2913
text●小林徹夫 photo●金上学