ボーマ・アルマーアルファ 試乗レポート
クラスを超えた走りと実用を重んじた仕様が魅力
車名こそかつての同社の出世作となったレーシングモデル「アルマー」を冠するものの、フレーム設計思想はまったくの別物となった。
先代はフレーム全体で高剛性を求めたが、今作ではフレーム形状を見てもわかるが、下部をパワーラインとして高剛性を与え、上部は剛性を抑えたコンフォートゾーンとする、最先端のロードバイクで公式となる設計を取り入れた。これによりレーシングモデルに必要な高い運動性能、快適さと安定性の好バランスを追求している。
そしてボーマといえばユーザーの声を積極的に反映した実用的な設計も人気の一つだが、それは今作にも色濃く反映される。幅広いユーザーを対象とするミッドレンジであることを考慮し、BBは確実に固定ができてトラブルの少ないオーソドックスなスレッド式をあえて採用。そのほかにもサドル位置の調節性と乗り心地に優れるオリジナルのシートポスト、アウターストッパーの類(電動・機械 式兼用)も奇をてらわぬ位置に設置して使いやすさを追求している。
派手なルックスや目新しい仕様よりも実用性を重視した設計はボーマならではで、手ごろな価格もあって実戦派のロードバイカーにとって理想的なモデルといえる。
ボーマ・アルマーアルファ
フレームセット価格/18万円(税抜)
フレーム●カーボン
フォーク●カーボン
コンポーネント●シマノ・アルテグラ
ホイール●ボーマ・T H-10C
タイヤ●ミシュラン・プロ4 23C
ハンドルバー●ボーマ・HB-03
ステム●ボーマ・ST-01
サドル●リッチー・コンプストリーム
シートポスト●ボーマ・SP-06(付属品)
試乗車実測重量●7.54 kg(Lサイズ、ペダルなし)
サイズ●S、M、L、XL カラー●マットブラック×ショッキングイエロー、 マットブラック×ショッキングレッド
上下のステーを 接合するリヤエンド部はデルタ状に成型、縦横ともに十分なボリューム が与えられる。ホイールとの一体感を高めてパワーロスを抑え、優れた推進力を発揮する
チェーンステーとの付け根にも大きなボリュームを確保し、BBまわりの剛性が強化される。ハンガーシェルの規格は、音鳴りなどのトラブルの少ないスレッド式をあえて採用
吉本 司の試乗レポート
基本的にフレーム剛性は高レベルにあるが、高出力でペダルを踏み込んだときでも脚にイヤな硬さを覚えることはない。したがって中・高速域でもペダリングトルクを与えやすく、 無理せずスムーズにスピードを伸ばせる。 コンフォートな走りを求めるライダーにはやや硬質な印象もあるが、レースをはじめ強度の高い走りを求めるライダーにとってバランスのいい剛性レベルといえるだろう。
カタログにはフレーム重量1090gと明記されており、ミッドレンジだけにさして軽量ではないものの、上りでの走りはそれ以 上の軽快さがある。パリッとしたペダリングは上りで軽さを生み、ダンシングをしたときのさばきも軽く、前に出る感じも強いので小気味よく加速できる。バイクのフロ ント部が前に出る感じが強く、加速のよさを味わえる。
おそらくそれは剛性バランスのよさもそうだが、ややホイールベースを短めにしたジオメトリーの効果もあるだろう(試乗車のホイールベースは971mm)。 それゆえに若干ハンドルまわりの重心位置が上側にあり、ゆったりと乗りたいライダーにはハイスピードのコーナーで接地感がもう少し欲しい印象もあるかもしれないが、こと競技志向であれば十分な許容範囲だ。
アルマーアルファは、18万円のレースモデルとしてクラスを超えた走行性能を有している。フレーム価格を抑えて、その分でホイールをリムハイト50mmクラスのエアロモデルと30mm以下の軽量モデルに財を注ぎ込めば、ロードレースからヒルクライムまで存分に楽しめる一台となるだろう。