【MTB全日本選手権】トレックの山本幸平が2年ぶり7度目の王座に!
今年、全日本選手権が行なわれたのは富士見パノラマリゾート。6月にもMTBのシリーズ戦Coupe du Japon(クップ・デュ・ジャポン)が行われた会場だ。スキー場のゲレンデ斜面に設置されたコースは、全長4410m。
これまではゲレンデをつづら折りにトップまで上ることが多かったが、今回、コースの前半はゲレンデ途中でシングルの下り上りに入り、その後ゲレンデに戻ってトップまで上るというレイアウトに変更された。7月のレースで選手たちを苦しめたリフト下の上りもなくなり、全体としてアップダウンを繰り返す変化のあるコースとなった。
台風11号の影響で前日まで降り続いた雨の影響でコースは超マッドが予想されたが天候が好転した大会当日、14時にスタートするレースの頃にはコンディションはかなり向上した。
スタート直後の上り。先行した平野だったが、その後すぐに山本が前に出てフィニッシュまで独走を続けた
号砲とともにレースが始まると、ゲレンデの砂利道を選手たちがポジション争いをしながら上っていく。先頭をいく平野星矢(ブリヂストンアンカー・サイクリングチーム)のすぐうしろに山本幸平(トレック・ファクトリー・レーシング)。シングルに入る前には山本がトップに立つ。
周回数は6周、世界を舞台に闘う山本は後続とのレベルの差を見せつけるかのようにどんどんと差を広げていく。「機材のトラブルに気をつけて!」と声をかけるのは同チームの元全日本チャンピオン野口忍。心配するのは機材だけ、それほどまでに山本は速かった。
その後方では2位争いが行なわれていた、前レースまで好調ぶりを見せていた平野、昨年の全日本チャンピオン武井享介(フォルツァ・ヨネックス)、斉藤亮(ブリヂストンアンカー・サイクリングチーム)。4周目に入ると武井、斉藤の一騎打ちになる。先行する斉藤は落車でウエアが汚れ、右ひじからは流血も見える。うしろを走る武井には様子をうかがっているような余裕も見て取れた。フィニッシュライン、独走の山本の次に現われたのは武井だった。
■リザルト 男子エリート
1位 山本幸平(トレック・ファクトリー・レーシング) 1:32:40.82
2位 武井享介(フォルツァ・ヨネックス) +3:14.67
3位 斉藤亮 (ブリヂストンアンカー・サイクリングチーム)+3:19.27
4位 平野星矢(ブリヂストンアンカー・サイクリングチーム)+4:29.84
5位 恩田祐一(BHレーシングMTB) +6:53.85
6位 門田基志(チームジャイアント) +6:53.85
7位 小野寺健(ミヤタ・メリダ・バイキングチーム) +8:14.19
8位 小笠原崇裕(バイクジャーナル) +9:09.91
9位 松尾純 (ミヤタ・メリダ・バイキングチーム) +9:43.40
10位 品川真寛(チーム・ユーキャン) +9:59.41
男子エリートと同じコースを使用し、4周回で行なわれた女子エリート。昨年覇者の與那嶺恵理(サクソバンクFX証券)や好調を見せるベテラン小林可奈子(MTBクラブ安曇野)、前日にダウンヒル全日本の女子エリートチャンピオンに輝いた末政実緒(スラム・ライテック)が優勝を争った。
前評判では與那嶺では?との予想が聞こえたが、レースの主導権を握ったのは前日にダウンヒルの全日本選手権を16連覇したばかりの末政だった。末政は一昨年からXCに参戦を始めたばかり。
全日本二冠の快挙に、「悔しい思い、つらいことがあっても一生懸命夢を追えばゆめは叶う。たくさんの方のサポート、応援に感謝してもしきれません」とコメントを残した。
独走を続ける末政。上りでも強さを見せ完勝。彼女の力強い走りは多くの人の心に響いた
■リザルト 女子エリート
1位 末政実緒(スラム・ライテック) 1:17:45.57
2位 小林可奈子(MTBクラブ安曇野) +37.80
3位 與那嶺恵理(サクソバンクFX証券)+2:19.40
■リザルト 男子U23
1位 沢田 時(ブリヂストンアンカー・サイクリングチーム)1:02:46.11
2位 中原義貴(BHレーシングMTB) +1:04.24
3位 前田公平(ビオレーサー)