トピックス

2016全日本MTB選手権XCOは山本幸平が連覇 女子は末政実緒がDHI&XCOのダブルタイトル

第29回全日本マウンテンバイク選手権が長野県の富士見パノラマリゾート特設コースで開催された。XCOエリート男子はリオ五輪日本代表の山本幸平が8度目のタイトルを獲得。女子は末政実緒が2年連続でDHIとXCOを制覇。DHIは九島勇気が初優勝を果たした。
 
text&photo:鈴木英之

実力者が確実に勝利をつかんだ

昨年に続き、長野県の富士見パノラマリゾートで、第29回全日本マウンテンバイク選手権が開催された。やはり注目は、オリンピック代表に選ばれているXCOエリートの山本幸平(トレック・ファクトリーレーシング)。彼に密着する取材陣も現れ、例年とは違った雰囲気の中でレースが行われた。またこのレースは、9月にイタリアで行われるDHI世界選手権の代表選考会も兼ねている。

7月16日(土)に行われたDHIは、金曜夕方に降った雨の影響が残るなか予選がスタート。5名が出走したエリートウイメンは、デビュー以来負けなしの状況が続く末政実緒(SRAM/LITEC/PRIVATE PAARK)が、2位の富田敬子(Acciarpone bikes)に27秒545差で1位通過。

そして57名で行われたエリートメンの予選は、九島勇気(玄武/MONDRAKER)が、2分56秒889でトップだが、2位井本はじめ(SRAM /Santacruz)との差は3秒027と予断は許されない。

 
大会直前のワールドカップで日本人として久々に予選通過を果たした九島勇気。「ミスなく走りきることを心がけた」という
大会直前のワールドカップで日本人として久々に予選通過を果たした九島勇気。「ミスなく走りきることを心がけた」という


迎えた決勝。雲の切れ間から時折陽がさすようになり、部分的乾き始めたコースはタイヤ選択とライン取りがタイムに大きく影響。「漕ぎの軽さよりもコントロールしやすいタイヤを選んだ」という末政は、予選タイムを4秒以上更新。17連覇!を達成した。

エリートメンは、予選9位の清水一輝が2分56秒573をマークして暫定トップに立つが、九島は1秒704上回るタイムでフィニッシュ。初の全日本選手権タイトルを手に入れた。

 
ジュニアDH世界チャンピオンから15年。「ダウンヒルが楽しいと感じられる週末でした」という末政実緒
ジュニアDH世界チャンピオンから15年。「ダウンヒルが楽しいと感じられる週末でした」という末政実緒
末政(写真右から2人目)らDHI各クラス優勝者が揃って登壇。ジュニアの井岡佑介(左端)とユースの井岡計太は兄弟でチャンピオン獲得。
末政(写真右から2人目)らDHI各クラス優勝者が揃って登壇。ジュニアの井岡佑介(左端)とユースの井岡計太は兄弟でチャンピオン獲得。

XCOエリート男子は山本幸平が8度目のタイトル獲得

続いて7月17日(日)に開催されたクロスカントリーは、キッズレースまで含めるとなんと14レースという過密スケジュール。メンU23、ジュニア、マスターズの2分遅れでユースを除くウイメン全クラスがスタート。2.8kmのスタートループを経て4.6kmの周回に入るのだが、100人以上がコースインしている状況でリードを保つのは困難が伴う。

こうした中、強さを見せたのがジュニアクラスの北林力(ProRide)と、U23の平林有里(SPECIALIZED RACING)。それぞれ前年のユースとジュニアチャンピオンだが、平林がロケットスタートでリードを奪うと2人おいて北林がつける状況。一方ウイメンは、ジュニアの佐藤寿美(MIYATA-MERIDA)がスタートで前に出たものの、末政実緒が下りのシングルトラックで集団のトップに立つと、リードを広げていく。

追撃した小林可奈子( MTBクラブ安曇野)は思うようにペースを上げられず、スタート直後の転倒から追い上げた武田和佳(Liv)にかわされてしまう。混戦模様の中、それぞれ後続に3分ほどのリードでフィニッシュ。末政は昨年に続き、DHIとXCOのダブルタイトル獲得を成し遂げた。

 
全日本MTBチャンピオンのタイトルを守った山本幸平
全日本MTBチャンピオンのタイトルを守った山本幸平


そして最終種目のエリート男子。スタートから飛び出したのは山本幸平(トレック・ファクトリーレーシング)、中原義貴(BH-SRサンツアー)、佐藤誠示(USM)。最初にシングルトラックに入ったのはCJ1でも好調な中原そして山本だったが、続く上りで山本が前に出ると、すかさずリードを広げていく。

1周目を14分30秒台という超ハイペースで回り、さらに乗車率の低い後半のシングルトラックも余裕でクリア。追う中原だが、疲れが見えた4周めに、平野星矢(ブリヂストンアンカー)に抜かれてしまう。さらにペースを上げた平野は40秒差まで追い上げるが「追ってきてるのがわかったから、もう一度加速した」という山本が、1分23秒59差で連覇を達成。以下、平野、中原の順で表彰台を獲得した。

レース前、「日本チャンピオンとしてリオに行かなきゃいけない」と語っていた山本幸平。日の丸の重みを知っているからこその快走だった。

 
昨年はフィニッシュ後に号泣した末政だが、「今年はとにかくうれしいです!」と笑顔
昨年はフィニッシュ後に号泣した末政だが、「今年はとにかくうれしいです!」と笑顔
世代ごとの実力者が、その力を見せつけた大会だった。ベテラン竹谷賢二もライバル品川に競り勝ち笑顔を見せた
世代ごとの実力者が、その力を見せつけた大会だった。ベテラン竹谷賢二もライバル品川に競り勝ち笑顔を見せた

山本幸平の優勝コメント http://www.cyclesports.jp/depot/detail/66098


第29回全日本マウンテンバイク選手権大会
種目:ダウンヒル(DHI)、クロスカントリー・オリンピック(XCO)
日付:2016年7月15(金)〜17日(日)
会場:富士見パノラマリゾート特設コース(長野県)
http://ncs.dynoco.jp


DHI 男子ジュニア 7月16日
1位 井岡 佑介(ホットスピン ヌークプルーフ)2:58.590
2位 宇津 孝太郎(&stream...小川輪業)+5.079 
3位 田丸 裕(Acciarpone bikes)+8.503

DHI 女子エリート 7月16日
1位 末政 実緒(SRAM/LITEC/PRIVATE PA)3:26.300
2位 中川 弘佳(Lovespo.com)+26.949
3位 富田 敬子(Acciarpone bikes)+28.447

DHI 男子エリート 7月16日
1位 九島 勇気(玄武/MONDRAKER)2:54.869
2位 清水 一輝(Patrol Mountain FJC)+1.704
3位 加藤 将来(AKIFACTORY/ACCEL)+2.912

XCO 女子エリート(21.19km)7月17日
1位 末政 実緒(SRAM/LITEC/PRIVATE)1:30:36.43
2位 武田 和佳(Liv)+2:55.22
3位 小林 可奈子(TBクラブ安曇野)+3:17.03

XCO 男子ジュニア(21.19km)7月17日
1位 北林 力(ProRide)1:16:16.78
2位 織田 聖(弱虫ペダル サイクリングチーム)+3:10.15
3位 小林 勇輝(イナーメ信濃山形)+3:54.59

XCO 男子U23(25.79km)7月17日
1位 平林 安里(SPECIALIZED RACING)1:29:31.16
2位 竹内 遼(MIYATA-MERIDA BIKI)+2:29.68 
3位 宮津 旭(PAX PROJECT)+5:15.70

XCO 男子エリート(30.39km)7月17日
1位 山本 幸平(Trek Factory Racing)1:39:18.60
2位 平野 星矢(Bridgestone Anchor)+1:23.59
3位 中原 義貴(BH SR SUNTOUR)+2:37.46