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軽さ、剛性、エアロを細かく見直したリドレー2017年モデル
2016.10.15
ユーロバイクでリドレーが打ち出していたキャッチフレーズは「#BE TOUGH=タフになれ!」。雨風や山岳はライダーの行く手を阻むことはできない。むしろ目標達成のため、名誉のためなら、過酷な条件はライダーの背中を押し、速くしてくれる。 もちろん石畳も。そのためのツールがバイクであるという強いメッセージが込められている。
目玉はなんと言っても軽量モデル「ヘリウム」のフルモデルチェンジだ。ここ数年で、各社のフレームはどんどん高剛性化へと舵を切っている。そうするとレース中にペースアップ、アタックがかかったときに、その一踏み目からパンッと加速することが求められる。
そのトレンドの中で、従来のヘリウムはその部分で遅れるというフィードバックが選手からあったそうだ。なので、クライマーの選手でもノアSLを選択する選手が多かったそう。その要望にリドレーが応えるため、ヘリウムのモデルチェンジが行われた。
もうひとつの目玉は、セカンドグレードTTバイク「ディーン」の登場。トップモデル「ディーン ファスト」の性能を、より多くの人が享受できるように用意されたモデルだ。専用ハンドルやステム、ブレーキケーブル内蔵処理などを省いて価格を下げ、空力性能は80%発揮できている。代わりにより多くの人がポジションを出しやすいジオメトリーになっている。
【ヘリウム SLX】軽さは重要だが全てではない。 剛性とバランスが大切
Mサイズで750g以下に仕上がる。フレームは30t、40t、60tカーボンをフレーム各部の必要な性能に合わせ細かく使い分けている。剛性は15% 向上し、3%軽くなった。開発担当のバート・ケネスさんは「他社の軽量モデルは市販品と選手が使用しているモデルが違う場合が多々あります。なぜなら市販品では選手が求める剛性を出せていないから、重量を増やして剛性を上げています。でもこのバイクは、まったく同じものを選手が使用しています」。
RIDLEY HELIUM SLX
フレームセット価格/38万5000円(税抜)
サイズ●XS、S、M
フレーム重量●750g(Mサイズ)
RIDLEY HELIUM SLX
フレームセット価格/38万5000円(税抜)
サイズ●XS、S、M
フレーム重量●750g(Mサイズ)
RIDLEY FENIX SL Disc
名機フェニックスにディスクブレーキバージョンが登場する。ディスクブレーキ搭載により、エンド周辺の剛性が上がる。代わりに失う振動吸収性を、シートステーを細身にして、かつシートチューブへの取り付け位置を下げることで確保している。タイヤはリムブレーキモデルでは28Cまでだったが、30C幅まで使用可能。 前後12mmスルーアクスルを採用。チェーンステー長はリムブレーキモデルと同じ長さに収められている。
※国内取り扱いなし
RIDLEY NOAH SL Disc
主力機種であるノアSLにもディスクブレーキを搭載したものが展示されていた。スプリットを設けたフロントフォークやチューブの断面形状。ダウンチューブに設けられたくぼみ=インモールドFサーファス+など、ノアSLに採用されていた空気抵抗低減のためのギミックはそのままに、ディスクブレーキが取り付けられた。フロントオイルルートはフォークブレードに内蔵され、そのためにフォークは再設計された。142mm幅のリヤエンドも同様に新しいデザイン。
※国内取り扱いなし
RIDLEY DEAN
フレームセット価格/32万3000円(税抜)
フレーム●カーボン
フォーク●カーボン
コンポーネント●カンパニョーロ・コーラス
ホイール●ファストフォワード・F6R FCC DT240
タイヤ●コンチネンタル・アタック&フォースコンプ
ハンドルバー●デダエレメンティ・クロノスカーボン
ステム ● 3 T ・ A R X 2チ ー ム
シートポスト●カーボン
サドル●セラサンマルコ・コンコールスプリント
リドレーのエアロロード、ノアシリーズの進化を見ると、一時は独自規格を満載したモンスターエアロロードになった時代もあったが、最新モデルではオーソドックスな規格でまとめつつ、そのなかで空気抵抗を最大限削るという方針に変化。ではTTバイクはどうなのか。今回発表されたディーンも同様のコンセプトを継承している。
セカンドグレードのTTバイクとして登場したディーン。ディーンファストがトップアスリートのためのトップモデルだとすれば、 ディーンはより多くのライダーをターゲットとしたモデルとして誕生した。そしてトライアスロンマーケットでの使いやすさを高めることにも注力したモデルだ。
その証拠にトップチューブにあるストレージは、ディーンファストにはないが、ディーンには標準で装備されている。ダウンチューブの大胆なカットアウトや、そのダウンチューブに設けられたFサーファス+テクノロジーによる’’くぼみ’’は、トップモデル開発で培われたデザインだ。
反対にハンドルまわりはノーマルのステムが使用でき、ブレーキキャリパーもフロントはノーマル キャリパー、リヤはダイレクトマウントタイプを採用しているので、イベントに出場するときに必要になる梱包、開梱、組み立て作業でのストレスを減らすための、取捨選択がなされているのだ。
リドレーのロードバイクといえば、 悪路での走りで独特のキャラクターを持っているが、TTバイクはどんなキャラクターに仕上がっているのか。
ハンドリングはリドレーらしい、ある角度からグッとオーバーステアに切れ込んでいくものだ。ペダリングに対しては自分の脚力でもはじき返されて踏み負けてしまうということがなく、自分のレベルのパワーに合った剛性なんだなと納得する。
振動吸収性については全然違う。さすがTTバイクというか、バックががっちりしていて、バンプがあると、さすがにリヤは跳ねてしまうが、その分ダンシングでラフに踏んでもバイクはぐっと前に出る。下りでも、がっしりした前まわりのおかげで吸い込まれるように加速する。