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ミラノ発ブレーキアラートシステム「BB6S」

ロードバイクで下り坂を走るときにブレーキングで不安な思い、ホイールがロックしてスリップして怖かったという経験は、走る距離が伸びてくれば誰しもが経験することだ。その不安を解消するためのシステムがイタリアで開発された。
ブルーブレーキ社が開発した「BB6S(ブルーブレーキシックスセンス)」がそれだ。イタリア・ミラノにある会社だが、晩秋の寒い北イタリアを離れ、シチリア島でその発表会が行われた。

 
text&photo:中島丈博

サイクリストに第6感を

シックスセンス=第6感と名付けられたシステムの概要はこうだ。シートチューブ内にバッテリーと3Dモーションセンサー。フロントホイールのハブに30個のマグネットが内蔵されたリングと、そこからホイールの回転を感知するセンサー。ブレーキレバーに取り付けるアクチュエーター。ハンドルに取り付けるコントローラーで構成される。総重量は230gだ。

これらのセンサーがバイクの加減速、角速度、フロントホイールの動きを計測し総合的に解析した結果、フロントホイールがロックしそうになるとフロントブレーキレバーに取り付けられたアクチュエーターが作動、振動によってライダーに危険を知らせてくれる。それを感じたライダーがブレーキを操作し転倒を回避できる。パニックブレーキをしてしまったときにライダーへそれを知らせることが、いちばん役立つシーンだ。時速7㎞以上で作動し、リムブレーキはもちろん、ディスクブレーキにも対応する。
 
ブルーブレーキを装備したピナレロ・ガンがずらり。バッテリー、ケーブル類はフレームに内蔵され、完成度が高い
ブルーブレーキを装備したピナレロ・ガンがずらり。バッテリー、ケーブル類はフレームに内蔵され、完成度が高い
レバーの先に取り付けられた黒いカバーのようなものがアクチュエーター
レバーの先に取り付けられた黒いカバーのようなものがアクチュエーター
とてもシンプルな外観
とてもシンプルな外観
ハブには30個のマグネットを内蔵したリングを装備。フォーク先端にはそこからスピードを読み取るセンサーが
ハブには30個のマグネットを内蔵したリングを装備。フォーク先端にはそこからスピードを読み取るセンサーが
詳細なシステムのセッティングは専用のアプリから行う。ライダーの体重、バイクのフレームサイズ、重量、ホイールサイズ、タイヤの太さを入力。することで正確にバイクの挙動を把握できる。またこのアプリは走行ログを管理、クラウドでデータを蓄積する機能もある。スピード、加速、コースの勾配、バイクのロール角、推定ペダルトルク、ケイデンスが記録される。
そして実際のロードコンディションに合わせて、アクチュエーターが作動するレベルの設定を、ハンドルに取り付けたコントローラーから行う。路面状況を「ドライ」、「ウエット」から。走りのスタイルを「レーシング」、「ツーリズム」から選ぶことが可能。さらに自分好みにセッティングできる「カスタム」モードも備えている。
 
ブレーキ、シフトケーブルと一緒にブルーブレーキのケーブルも内蔵される
ブレーキ、シフトケーブルと一緒にブルーブレーキのケーブルも内蔵される
ブラケットまわりのケーブル取り回しもスマート
ブラケットまわりのケーブル取り回しもスマート
ハンドルに取り付けられたブルーブレーキのモード選択コントローラー
ハンドルに取り付けられたブルーブレーキのモード選択コントローラー

第6感を体感

実際に使ってみると、下り坂で時速50㎞以上のスピードからコーナーに進入する際にわざとハードブレーキングしてみると、グローブ越しでもはっきりとアクチュエーターからの振動を感じることができた。また、バイクを倒しこんでいっても「倒しすぎ!」と知らせてくれる。現状は専用バッテリーが必要だが、電動コンポーネントのバッテリーと共用にすることも視野に入れている。
 
将来的には自転車用ABSとなることを目指しており、その第1段階といえる。例えば、GPSセンサーを追加すれば、コースデータからブレーキングポイントを割り出し「ブレーキングして!」と知らせる機能を追加することもできる。このブルーブレーキをベースとして、サイクリストがより安全に安心して走ることができるシステムへと進化していくことだろう。
 

・ブルーブレーキ
ブルーブレーキのプロジェクトは2013年にミラノ大学でスタート。2014年に特許を取得し創業した。ピナレロとの関係は2015年から始まり、2017年春の製品化を目指している。