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「ピナレロ・ドグマF8 Xライト」注目の最新モデルをインプレッション!

2016年のツール・ド・フランスにおいて、チーム・スカイのクリス・フルーム選手の総合優勝を支えたバイクとして記憶に新しい「ピナレロ・ドグマF8 Xライト」。
完成の域とされた「F8」からさらに80gの軽量化を果たした最新モデルを、本サイト編集長兼インプレッションライダー、ナカジが試乗&紹介する。
text:中島丈博 photo:吉田悠太

完成されたバランスを維持し、80g削る難しさ

フレームセット価格/85万円(税抜)
フレームセット価格/85万円(税抜)
各社のフラッグシップモデルが専用ブレーキ、専用クランク、専用ハンドルなど独自規格を搭載して、剛性や空気抵抗、軽量化という問題に取り組んでいくなか、それらと比較するとピナレロのドグマシリーズは、堅実な進化を遂げている。

F8登場のときに衝撃的だったのは、それまでピナレロのアイコンであった、大きくうねる形状のオンダフォークを捨て、それと比べるとプレーンな逆ベンドフォークになったことだ。フォーク以外、フレームの形状も一斉にプレーンに変更された。全ては空気抵抗を低減するため、ジャガーの風洞実験施設を使った開発によるものだ。チューブ断面はカムテール形状を採用。それでもパーツ類は、汎用 規格の使用にこだわった。その走行性能は、近年のチームスカイの活躍が物語っている。
 
そんなF8にリミテッドモデルが発表された。それがこのXライト。素材にトレカT1100UDカーボンと、樹脂量が少なくても大丈夫なプリプレグを使用し、約80gの軽量化を達成。この素材を使うために専用の金型が必要になり、工数も増え、複雑化したがゆえに生産に時間がかかり、生産数が限られている。サイズバリエーションもノーマルF8の最大サイズがなくなる。それでもサイズ展開と非常に細かいもの。軽量モデルらしく体重制限を設けており、ライダーの重量は装備込みで最大75kg。2016年のツール・ド・フランスにおいてC・フルームの総合優勝を支えたのもこのバイク。歴史的な名車が手に入るのだ。

どうしても軽いドグマが欲しいなら

ドグマシリーズには、カーボンフレームになった60.1から試乗をしている。モデルチェンジするたびに、がっちりとしたバイクへと進化を繰り返してきた。最近の多くのトップレンジに言えること、個人的に感じているところだが、前作程度の剛性が恋しくなる。新作はもはや、より高いレベルのライダーに向けたものになっているのか。乗り比べると、しなりが残っている前のモデルのほうがいいな、なんて少しは思う。でもそれからしばらくして最新モデルに乗ってみると、旧モデルに後ろ髪を引かれていた気持ちはどこへやら。なんてこともある。F8もそう感じたバイクの一つだ。

 
F8になって感じたのは"ゾーン"に入るという感覚。自分が競技者としてゾーンに入ったことはないが、おそらくこんな感じなんだろうと思わせるようにスピードが乗る帯域がある。そこでは上りでも不思議と速度が維持できるのだ。そのベースモデルを軽量化したXライト。走行性能を大きく変えることなく軽量化できていると思う。インナーギヤを使っているときが特にそう。ハンドリングの安定感はさすが、ダンシングで前荷重にしても、ヘッド、フォークはしっかりしていてよれる感じがない。微細なレーンチェンジは思いのまま。ふらつくという評価になる一歩手前で踏みとどまる。F8との重量差80gに対して価格差23万5000円。1g約3000円の計算で、プラチナとまではいかないが、かなりの値段。体重制限はあるが、ドグマの乗り味の延長上で、ただもっと軽いバイクがあったらいいのに、と感じていたわがままなユーザーにとっては、またとない相棒を手に入れられるチャンスだ。
 
細部の仕様はF8と同じ。コンポーネントも機械式、電動の両方に対応できるよう、同社のシンク2規格を採用している。ワイヤ類内蔵のためのケーブルエンド小物もクオリティが高い
細部の仕様はF8と同じ。コンポーネントも機械式、電動の両方に対応できるよう、同社のシンク2規格を採用している。ワイヤ類内蔵のためのケーブルエンド小物もクオリティが高い
ジャガーとの共同開発によって作られた、空気抵抗を低減するためのヘッドチューブ形状。フォークの肩からダウンチューブへのつながりも滑らか。ノーマルブレーキなのも扱いやすい
ジャガーとの共同開発によって作られた、空気抵抗を低減するためのヘッドチューブ形状。フォークの肩からダウンチューブへのつながりも滑らか。ノーマルブレーキなのも扱いやすい
BBはスレッドのイタリアンタイプを採用している。他の規格よりも、異音が発生するリスクが低いための選択だ。なぜJIS規格でないかというとイタリアンブランドだから
BBはスレッドのイタリアンタイプを採用している。他の規格よりも、異音が発生するリスクが低いための選択だ。なぜJIS規格でないかというとイタリアンブランドだから
F8にモデルチェンジしたときに、我々に衝撃を与え たフォーク形状。ホイールとのクリアランスを大きく取ることで、空気の抜けを良くし抵抗を低減している。軽快なハンドリングにも寄与する
F8にモデルチェンジしたときに、我々に衝撃を与え たフォーク形状。ホイールとのクリアランスを大きく取ることで、空気の抜けを良くし抵抗を低減している。軽快なハンドリングにも寄与する
カムテール形状のダウンチューブとシートチューブ。ダウンチューブの根元にはT1100の文字が。ちょっと握ってみると、チューブの素材が驚くほど薄いことが手に伝わってくる
カムテール形状のダウンチューブとシートチューブ。ダウンチューブの根元にはT1100の文字が。ちょっと握ってみると、チューブの素材が驚くほど薄いことが手に伝わってくる

試乗車spec.

フレームセット価格/85万円(税抜)
フレーム●トレカ T1100G ナノアロイカーボン
フォーク●トレカ T1100G ナノアロイカーボン
メインコンポ●シマノ・デュラエース9000
ホイール●フルクラム・スピード40T
タイヤ●パナレーサー・レースAエボ2 700×23C
ハンドルバー●シマノプロ・ ヴァイブ7Sラウンド
ステム●モスト・タイガーウルトラ3Kマットブラック
サドル●フィジーク・アリオネR1レギュラー
シートポスト●ピナレロ・エア8
カラー●カーボンスカイ、カーボンレッドストライプ、カーボンイエロー、カーボンイエロー×ライノ、カーボンレッド×チームスカイ2016×ライノ、チームスカイ2016×ライノ、BOB×チームスカイ2016、BOB×ライノ×チームスカイ2016
サイズ●42SL、44SL、46.5SL、47SL、50、51.5、53、54、55、56、57.5、59.5
試乗車実測重量●6.23kg(50サイズ・ペダルなし)

※インプレッション車は市販モデルと仕様が異なる場合があります。

 

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