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自転車活用推進法でどう変わる? 都内でセミナー
2017.02.06
「対策」ではなく「推進」
「自転車の利用は環境負荷が低く健康増進にもなるのに、自動車よりも地位が低い」と小林氏。駐輪場の整備等について定めた「自転車基本法」をはじめ、自転車に関連する従来の法律は、いずれも自転車利用への対策として作られた「対策法」だった。その背景には「自動車優先」の発想があった。
ところが今回、同法では第一条で、自転車の活用が温暖化対策や環境保全、災害に強いなどの特性から「公共の利益の増進に資する」と初めて明記。小林氏は、対策をむねとした従来から一転、自転車利用の推進を基調とした「推進法」となった点を強調した。
自転車通勤の流れが加速?
自転車通勤は徐々に普及する一方、交通事故にともなう休業や賠償などのリスクから、自転車通勤を認めていない事業者もある。
第五条では「公共交通に関する事業その他の事業を行う者は、自転車と公共交通機関との連携の促進等に努める」としているが、ここに運送事業者に限らず一般企業が含まれる、との解釈も成り立つ。
小林氏は「拡大解釈すると、(事業者は)自転車通勤を認めなければいけない、ということになりそうだ」と指摘。さらに条文では、事業者に対して「国又は地方公共団体が実施する自転車の活用の推進に関する施策」への協力も求める。このため小林氏は、「JRの車両に自転車をそのまま乗せられる時代が、ひょっとしたら来るかもしれない」とも述べた。
同法ではこのほか、第八条で自転車の活用を促す15の重点施策項目を挙げる。例えば項目4の「自転車競技のための施設の整備」は「競輪場を増やそうというのではなく、東京五輪対策」(小林氏)という。また、第九条から第十一条にかけては、こうした重点施策を着実に実施するための「自転車活用推進計画」を国や自治体がそれぞれ取りまとめることを明記している。
サイクリストは見られている
セミナーの後半はパネルディスカッションを開催。パネラーの一人で、国交省の酒井洋一・道路交通安全対策室長は国と自治体との関係を「地方分権が進んだ今、国が地方に号令をかける時代ではない」と説明。
このことを小林氏は「国が作るのは自転車活用推進計画のアウトラインまでで、具体化するのは自治体の仕事」と説く。地域ごとの実情にそくして、自治体の裁量で自転車活用推進計画を進めることができるというわけだ。
ではサイクリストは、今回の法律とどう向き合えばよいのか。「どうするかはみなさんの熱意次第。社会が自転車はダメと見なせば法律は実行できない。逆に自転車の評判が上がれば同法の追い風になる」(小林氏)。
モデルの日向涼子さんは、「スポーツバイクに乗り始めた時、周囲から『世の中の邪魔にならないように乗れ』と諭された。今日の説明を聞いて、自転車に堂々と乗っていいと思えた」と話した。これに小林氏は「自転車に堂々と乗れるようになったことで、これまで社会が見過ごしてきたことが目につくようになる」と応じた。
サイクリストは一般の自転車利用者よりも路上で目立つ存在だ。同法で自転車の市民権が認められた今、サイクリストが一層模範的に振る舞うことが求められている。
また、自転車利用のマナーが守られている地域では、自転車活用推進計画も進めやすいため、将来的には自転車利用をめぐり地域の間で格差が開くことも予想される。そうした視点に立つと、日頃安全に自転車に乗ることが、自転車活用の上で大きな意味をもつことがわかる。
このことを小林氏は「国が作るのは自転車活用推進計画のアウトラインまでで、具体化するのは自治体の仕事」と説く。地域ごとの実情にそくして、自治体の裁量で自転車活用推進計画を進めることができるというわけだ。
ではサイクリストは、今回の法律とどう向き合えばよいのか。「どうするかはみなさんの熱意次第。社会が自転車はダメと見なせば法律は実行できない。逆に自転車の評判が上がれば同法の追い風になる」(小林氏)。
モデルの日向涼子さんは、「スポーツバイクに乗り始めた時、周囲から『世の中の邪魔にならないように乗れ』と諭された。今日の説明を聞いて、自転車に堂々と乗っていいと思えた」と話した。これに小林氏は「自転車に堂々と乗れるようになったことで、これまで社会が見過ごしてきたことが目につくようになる」と応じた。
サイクリストは一般の自転車利用者よりも路上で目立つ存在だ。同法で自転車の市民権が認められた今、サイクリストが一層模範的に振る舞うことが求められている。
また、自転車利用のマナーが守られている地域では、自転車活用推進計画も進めやすいため、将来的には自転車利用をめぐり地域の間で格差が開くことも予想される。そうした視点に立つと、日頃安全に自転車に乗ることが、自転車活用の上で大きな意味をもつことがわかる。