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全日本チャンプ初山選手を巻き込んだ! シクロクロス東京サンドスイッチエンデューロ詳報
2017.02.17
ロード全日本チャンプがシクロクロスに参戦!?
「今年もエントリーが始まったね」、「今年はどれくらい集まるんだろう」などと編集部で話していると、新卒で入ったばかりの江里口(サイクルスポーツ.jp担当。おっさん顔)が「僕出たいっす!」と一言。「お、いいねぇ!俺も出ようかな」と同じくサイクルスポーツ.jpのナカジ編集長が声をあげる。「ただカテゴリーレースに一人ずつ出るのも微妙だから、この今年からのやつに出ようぜ」とナカジ編集長が指さしたのは、サンドスイッチエンデューロという新しい種目であった。そのままその場のノリで申し込みを済ませるサイスポ.jpチーム。完全に乗り遅れた。「私も出てみたいです!」と後から言ってみたものの、何に出るか……? どうせならサイスポ内で対決とかしたほうが面白いよな……と考えつつナカジ編集長に相談。「そうだね~、ちょっと考えといて!」丸投げである。
その後1週間程考えてみた。対決するにしても、大学では自転車競技部で高校では陸上部という江里口と、元メッセンジャーのナカジ編集長が相手だ。万年かけっこドベでレースに出たこともない運動音痴の私ではそもそも勝負として成り立たない。さまざまな人を候補として考えてみた。シクロクロスが強い選手……、うーん、普通にシクロクロスのカテゴリーレースを走ってる人だと当たり前に速くて逆につまらないのか……? 知名度があってシクロクロスを主戦場としていない人……ロードレース?……誰だろう、知名度……全日本ロードチャンピオンだったらみんな分かるよな……?初山選手!!!! ロードレースのシーズンイン直前の大事な時期にまぁ無理だろうとは思いつつ、初山選手に連絡をしてみた。「いいっすね!スケジュール確認してみます!」嘘やろ!軽っ! 人選に関しては、ただの思いつきによってこんな流れで決まった。
新しく作られたサンドスイッチエンデューロのルールは、2人1組の1周交代制で、時間は1時間だ。ピット区間でバイクを置いて、砂浜区間の後半はランニングしなければならない。なお、第1走者は自転車を置いてピットまでランニングでスタートした後に1周する、というから大変だ。いろいろ理由をつけて初山選手に走ってもらおうと考えていたのは秘密である。
決戦、お台場海浜公園
サンドスイッチエンデューロは12時50分からで、12時20分から20分間試走ができる。この試走のために、同じくブリヂストンアンカーの沢田時選手もシクロクロス全日本チャンピオンのジャージを着て会場に来ていた。試走開始とともに、多くの選手がコースになだれ込む。全日本ジャージが会場内に2人いることが不思議である。一部の人は全日本チャンピオンのコスプレだと思っていたらしい。先に砂浜区間に入っていった初山選手に追い付くと、砂にホイールが埋まり、こぎ出せずにいる初山選手が後ろを振り返ってニヤッとし、「全然走れないですね(笑)」と笑っていた。(かくいう私はそのときすでに息切れしていたのだが。)
試走時間が終わり、いよいよエンデューロがスタート。試走してみて改めて第1走者を初山選手にお願いする。サイスポ.jpチームの第1走者は体力を持て余す男、江里口。(ナカジ編集長に逆らえないだけ、ともいう。)ナカジ編集長と私はピットでスタートを見守る。スタートしたのは39組だ。自転車の大会でランニングスタートというのは何ともシュールな光景である。ほとんど最後尾からスタートした二人だったが、ピット手前に走ってくるまでの間になんと江里口がトップに!! 初山選手も後ろから3~4番目をスタートしたはずなのに、先頭から5番目ほどに上がってきている。「これ、いけるんじゃ……!?」とナカジ編集長。ピットで自転車を拾い、林間区間に入ると江里口が抜かされてしまった。しかし、2人とも前方はキープ。そのまま1周し、ピットに戻ってくる。「いいぞ!江里口ー!」だったり、「初山さん頑張れ!」だったり言ってみるものの、いよいよ人ごとではなくなってきた。
あとから聞いた話によると、初山選手は1周目でパンクに見舞われ、2周目は全てランニングでこなしていたという。ブリヂストンアンカーのブースに向かって代わりのホイールを要求したが、「ない!」と言われてそのまま走ったそうだ。そして私が走っている間、1分足らずでチューブを交換してもらっていたらしい。何事もなかったように交代したように見えたのだが……さすがプロ……。
計測チップを再び受け取り、走り出す。1周目よりも応援してくれる人が増えているような気がするが、顔が上げられない程キツい。というか、顔を上げても死んだような顔しかできないから下を向いている方がマシだ。ただでさえ初山さんが抜いてきた人たちを私の番でどんどん抜かせてるんだから、歩くのは絶対ナシ!と自分ルールを設け、走り続けるも体の様々な箇所が悲鳴を上げる。初山選手にバイクを渡し、ランニング区間。走っている途中で自転車をお借りしたPAX CYCLEの方に「頑張れー!」と応援されるも、「キツイ!」と答えることしかできない。前を向くと、死にそうな私を見かねた初山選手が一番手前で待っていてくれている。全日本チャンピオンジャージが一層輝いて見えたのは言うまでもない。「ありがとうございます……、ほんと、すみません……」としか発することができなかったが。
初山選手も戻り、私も3周目に入る。「これで最後だぞー!!頑張れ!」と応援され、時計に目をやると残り10分程であった。どう考えてもキツいが、一周して楽しくなってきた。死んだ顔ばっかり誌面に残るのはマズイと考え、カメラを持った人の前では精一杯の引きつった笑顔を向ける。ピット手前までたどりつくと、バイクを受け取る初山選手に「滝沢さん! 男気見せて!」と応援(?)され、「男じゃ……ない……!」と息絶え絶えに突っ込むことしかできなかった。そんなことをしている間に江里口が「っすー!」と言って抜かしていった。はや!
結果はナカジ編集長&江里口のサイスポ.jpチームが堂々の4位。初山選手&私のサイスポ本誌チームが18位。サイスポ対決としては惨敗だったが、思わぬサイスポ.jpチームの好成績に喜ぶ一同。初山選手の「走り」にも会場を沸かせることができた。サイスポとしては満足である。しかし、悔しい! 次こそは接戦を!!とこっそりリベンジを誓うのであった。
初山選手コメント
もともと僕はMTBでオフロードやっていたので、そのときの技術は全てもうないんですけど、やっぱり面白いなぁと思いましたね。砂浜とか走れたらもっと面白いだろうなぁと。またやってみたいと思いますよ。でも寒くないところにしましょう(笑)。」
jpチームコメント
砂地獄にはすっかりやられてしまっう……。ことは予測できたので、これも対策を講じていた。先に説明したカリフォルニア取材の宿は、砂浜に面したシェアハウスだったため、暇を見つけてビーチでランニングをしていたのだ。自画自賛ではあるが、我ながら完璧すぎる準備!
だが、付け焼き刃であることにかわりはない。表彰台に上がった日々シクロクロスで闘っている猛者たちには遠く及ばず、悔しい思いをしたと同時に、尊敬の念を抱いた。
レースをしっかりと楽しめたことは間違いないし、初山選手のおかげで会場を盛り上げることができたので、サイクルスポーツとしては目標達成だ。来年も何かしら記憶に残る走りを仕掛けたいと思う。」
いくら企画とはいうものの、闘う相手は全日本チャンプをエースに据えたチーム。下手に自転車の練習をしても勝ち目はないので、レース1ヶ月前から自転車に乗らず走り込みの練習ばかりしていた。
せっかく出場するのだから少しは目立っておこう!と思い1周目のラン区間で飛び出したら、かなり走りやすい位置に。しかし林道区間では後続の選手が次々と抜かしていくので、自分のバイクコントロールのへたくそ具合を改めて感じた。
一周目のラン区間後半で黄金級にタレてしまったところ、僕の隣を颯爽と初山選手が抜いて行った。自転車選手はバイクを下りたら遅い(ランなどの自転車で走ること以外の筋肉は鍛えていない)などとよく言われているけど、アレは嘘だ。全日本チャンプクラスは、脚で走っても速い。
ちなみに今回選んだ機材は、編集部にあったロードバイクに、グラベル用のタイヤを履かせてみた。それが結果的には非常に軽量なバイクに仕上がったので、砂浜でバイクに気を取られること無くランに専念することができた。でも自転車メディアの編集部員なのだから、ちゃんと自転車で速く走れるようにならなきゃいけない…」