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初夏の那須高原をキャノンデール・スレートで走り倒す!「スレート エクスペリエンス @ 那須」DAY1
2017.07.10
那須の自然を体感するスレートライド
待ち合わせ場所でそのお誘いの主に再会する。元MTB、ロード、シクロクロスを走ったプロライダーで引退後はキャノンデールジャパンの一員として全国を飛び回っている山本和弘さん。通称カズさんだ。そしてこの人の別名は「ミスタースレート」。
そう、今日僕がここに来た理由はキャノンデールのアドベンチャーバイク・スレートに乗って那須の地を遊びつくす、というのが大きな目的だ。
そして今回ライドをアテンドしてくれるのは、山本徹也氏。那須に根を張り、自転車文化を発展させていくという目的のもとに「ライドエクスペリエンス」を立ち上げた張本人。これまでこの地で開催された、ロードバイクでグラベルを含むコースをチームで走り切るライドイベント「ラファ・プレステージ」のコースディレクターも勤めるなど、様々な方法で自転車文化の発信を行っている。
そんな「ダブル山本」の2人がアテンドしてくれるのが「SLATE EXPERIENCE @ NASU」。
1日目は主にオフロードを含む総距離60kmのコース。かなりの割合でグラベルを含むとの前情報に、普段ロードばかり乗っている僕は少し身構えてしまう。ちなみにそのまま那須のリゾートホテルに宿泊し温泉を楽しんだ後の2日目は、オンロード主体で那須の市街地を一望できるヒルクライムが楽しめるコースだという。
さて早速今回の主役のひとつ、キャノンデール・スレートをカズさんからレンタル。今回のライドイベントに集ったスレート乗りの皆さんとあいさつを済ませ、早速ライドへとスタートだ。
山本さんが脇道に入る。「もうここからダート区間です。」と、ダートの上りへ進んでいくとさっそく本日の前菜、砂利道の上りが登場だ。けっこう勾配がある。これはロード乗りにはなかなかきついぞ……カズさんに言われたとおりに、フロントサスペンションを開放気味に変えて、ペースにあわせて上っていく。
普段同社のスーパーシックスエボを愛車にする本間さんは、今回が初めてのオフロード体験。突然登場した上りに「初めは少し不安でしたが、行ってみたら上れちゃいました。全然遅かったけど、オフロードをこうしてサクサク上ることができるなんて意外で楽しい!」と、上り切った後に話す。
さあここからがご褒美のダートダウンヒル。その前にカズさんから下りのコツを伝授してもらい、一気に駆け下りる! 前日までの雨のせいか、砂利はいい感じに固まってくれているので絶好のコンディション。あっという間に全員が下り切った。山本さんも「今日のライダーは皆さんレベルが高いですね!」と驚きを見せる。
再び舗装路区間を移動して途中のコンビニで休憩。「コンビニ前にこれだけの数のスレートが並んでいると壮観ですね」とは普段からスレートで遊んでいる森茂さんが笑う。
舗装路の平地は山本さんの軽快な引きに続いて、アップダウンをこなしていく。ライドに同行して撮影もこなす筆者に「ちょっと先回りして撮影してきてくださいね」と注文を受けていたのだが、こんな良いペースから抜け出すには、もはやロードで言うアタックをかけなければいけない! 上りで踏み込むと、想像していたよりもはっきりとスレートが反応してくれたので、先回りしてカメラを構えた。
スレートにうってつけの道
実はこのコースはかつて山本さんがコースをプロデュースした「ラファ・プレステージ」にて、使用する予定だったコース。その時に実際に走った森重さんは「前回はロードバイクでこのあたりのコースを走りましたが、その時はロードを操ることに必死でコースの記憶がほとんどありませんね(笑)。でも今は自分のスレートで、走りも景色も楽しめています」と話す。
新緑に包まれた渓流をゆっくり上っていく。すると突如その緑に交じって見覚えのあるテントが現れた。キャノンデールのテントだ。「ではここでランチにしましょう」と、山本さんが声をかける。ライドエクスペリエンスのメンバーによって、大自然の真っただ中にブースがセッティングされる。ランチボックスの中には那須で人気の「SHOKO'S KITCHEN」で作るサンドイッチが。スープは那須で取れた玉ねぎが丸々ひとつづつ入ったオニオンスープ。しかも食後はこれまた那須で有名な「NASU SHOZO CAFE」のコーヒー豆で煎れたコーヒーでブレイクだ。
「これまで自分のスレートで何度かダートのライドに出ていましたが、今日はライドに加えておいしいものが用意されるのはすごくうれしいですね、これは参加してよかった。」とは平野さんの談。
大自然の中で飲むコーヒーってどうしてこんなにおいしいんだろう! このスレートライド常連の藤城さんが持ち寄った自家製のミックスナッツをアテに、参加者の皆さんの話がはずむ。グループライドをするなかで、楽しさを共有する輪のようなものが生まれてきていた。
シングルトラックの上りを満喫
「ここから先はもうずっとダートなので、空気圧はもう下げちゃいましょう」とカズさんが参加者のスレートのタイヤから空気を少しずつ抜いていく。こういった細かい気配りはグラベルに不慣れな人にはうれしいものだ。
今回のコース、実は国有林道を多く含んでいる。それはつまり本来は立ち入ることのできない道。しかしそれはライドエクスペリエンスが自治体と掛け合うことで、この日のライドのために特別に開放してもらっているのだ。
そんな非日常が詰まった道はまさに日本の山と言えるように深く茂り、そこをスレートでがしがしと上っていく。けれどこれはレースでなく、あくまで楽しむためのライド。仙台から参加した千葉さんは「このライドに出る前に少し落車してしまって、他の人と一緒のペースで走れるか不安でしたけど、こうしたグループライドなので楽しめますね」。スレートに乗るのは初めてで「こういった本格的なダートコースで、ずっと気になっていたスレートの走りを体感できたのはうれしいです。」と話しつつ順調に上って行った。
倒木をクリアし、先行したメンバーに追いつくために「じゃあちょっと上りましょうか!」と僕の前を引き始める。ちょっとこれ、めっちゃ良いペースですね……いやちょっと速いっす……。元プロライダーのカズさんに置いて行かれまいとくっついていくが、この上りは僕がここのところ経験した中で最もきついクライムでした。
無事に皆が揃い、あとは下るだけ!と進んですぐに、突然「パン!」と破裂音が。どうやらコーナーの縁石で森重さんのタイヤがサイドカットしてしまったらしい。こんな山の中でサイドカットなんて、通常はかなり厳しい状況になりかねない。けれどライドエクスペリエンスのサポートカーが駆けつけて、カズさんの手でスムーズに修理を終えて、気を取り直してダウンヒルだ。
下り切った最後にもグラベルを高速で走る区間もあり、スレートの本領を発揮して走り切る。夕陽で色づき始めた棚田を横目に、無事にスタート地点にゴール。何とか皆でたどり着いて、集合写真をぱちり。
1日目から参加者の皆さんとともに、スレート遊びを満喫してしまった。しかし明日は何が待っている?
〜day2へつづく〜