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全日本MTB選手権XCO、男子は山本幸平が9度目の、女子は小林可奈子が18年ぶりのタイトル獲得
2017.07.24
「誰にも前を行かせない」山本幸平9度目の勝利 XCO男子エリート
XCOとは、いわゆるクロスカントリー競技のことだ。現在のクロスカントリーはオリンピックを頂点とするレースシステムとして組み上がっている、XCOのOとはもちろんオリンピックのOである。
その全日本選手権XCOのタイトルを、確実に手にしておきたい選手がいる。山本幸平(BH SURUNTOUR KMC)、2008年からこのタイトルを取り続け、2014年を除き8回の勝利、そして今年の9回目に挑む。
全日本にしか出場しない山本の走りを、U23クラスからエリートクラスへ上がってきたライダーが、前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム)、沢田時(ブリヂストン アンカー サイクリングチーム)が待つ。
また平野星矢(ブリヂストン アンカー サイクリングチーム)、恩田祐一(MIYATA-MERIDA BIKING TEAM)といったリオ五輪への出場を共に闘った選手たちがいる。そして今季はシーズン当初から、世界レースでの結果を出し切れていない山本。2020年の東京五輪も見据えたさまざまな思惑が、渦を巻く。
当日は軽い雨が降ったりやんだり、という天候になった。そんな中でも路面は泥になることはないが、それでも滑りやすいという、高速で繊細なライン取りが必要なレースとなった。無駄なラインは湿った路面では重みになる、疲労となって少しずつ脚に溜まっていく。
その全日本選手権XCOのタイトルを、確実に手にしておきたい選手がいる。山本幸平(BH SURUNTOUR KMC)、2008年からこのタイトルを取り続け、2014年を除き8回の勝利、そして今年の9回目に挑む。
全日本にしか出場しない山本の走りを、U23クラスからエリートクラスへ上がってきたライダーが、前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム)、沢田時(ブリヂストン アンカー サイクリングチーム)が待つ。
また平野星矢(ブリヂストン アンカー サイクリングチーム)、恩田祐一(MIYATA-MERIDA BIKING TEAM)といったリオ五輪への出場を共に闘った選手たちがいる。そして今季はシーズン当初から、世界レースでの結果を出し切れていない山本。2020年の東京五輪も見据えたさまざまな思惑が、渦を巻く。
当日は軽い雨が降ったりやんだり、という天候になった。そんな中でも路面は泥になることはないが、それでも滑りやすいという、高速で繊細なライン取りが必要なレースとなった。無駄なラインは湿った路面では重みになる、疲労となって少しずつ脚に溜まっていく。
レースは、スタート後に平野が飛び出した。スタートループでは先頭を守ったものの、その後山本が前に出る。「誰にも前を行かせないと決めていた」(山本)。その言葉通りに先頭をひた走る。
2位は周回を追うごとに変わっていった。先ず平野が山本の走りに同調していたが少しずつ差が開き、2周目に前田が平野に変わって山本の後ろに付き、追い続ける。
しかし「流れに乗れなくて、一つミスしたところで焦ってしまいました」(前田)と山本から前田が離れていく中を、後ろから恩田が上げてきた。
「調子良く、脚は軽かった。(山本)幸平以外の選手は体がキレてる感じでもなく、自分には余裕があった。潰れたら仕方ないなと、一気に離すしかない思い、得意な上りで、一気に行きました」(恩田)
恩田が2位に、前田が3位と、それぞれ40秒ほどの間を開けてなったところで、山本のペースが少し下がっていた。「4周目に脚が吊ってしまって。そこで恩田さんが差を縮めて来ました。そこで水分をしっかり採って、ラスト1周半、ペースを上げてゴールしました」(山本)
2位は周回を追うごとに変わっていった。先ず平野が山本の走りに同調していたが少しずつ差が開き、2周目に前田が平野に変わって山本の後ろに付き、追い続ける。
しかし「流れに乗れなくて、一つミスしたところで焦ってしまいました」(前田)と山本から前田が離れていく中を、後ろから恩田が上げてきた。
「調子良く、脚は軽かった。(山本)幸平以外の選手は体がキレてる感じでもなく、自分には余裕があった。潰れたら仕方ないなと、一気に離すしかない思い、得意な上りで、一気に行きました」(恩田)
恩田が2位に、前田が3位と、それぞれ40秒ほどの間を開けてなったところで、山本のペースが少し下がっていた。「4周目に脚が吊ってしまって。そこで恩田さんが差を縮めて来ました。そこで水分をしっかり採って、ラスト1周半、ペースを上げてゴールしました」(山本)
最終周回にまたペースを上げ、恩田との差を1分以上に広げた山本は、そのペースのままゴールする。ゴールラインを切る瞬間に、9のサインを出した。9度目の全日本選手権勝利となった。
「レースが始まったら自分を信じるしかないので、周りを見て、状況を見て、勝つ。今回も絶対勝つために走ったということです」(山本)
・XCO男子エリート 4.46km x 6周=26.76km リザルト
1 山本幸平(BH-SRSUNTOUR-KMC)1:35:41
2 恩田祐一(MIYATA-MERIDA BIKING TEAM)+1:06
3 前田公平(弱虫ペダル サイクリングチーム)+2:08
4 沢田時(ブリヂストン アンカー サイクリングチーム)+2:32
5 平野星矢(ブリヂストン アンカー サイクリングチーム)+2:42
「レースが始まったら自分を信じるしかないので、周りを見て、状況を見て、勝つ。今回も絶対勝つために走ったということです」(山本)
・XCO男子エリート 4.46km x 6周=26.76km リザルト
1 山本幸平(BH-SRSUNTOUR-KMC)1:35:41
2 恩田祐一(MIYATA-MERIDA BIKING TEAM)+1:06
3 前田公平(弱虫ペダル サイクリングチーム)+2:08
4 沢田時(ブリヂストン アンカー サイクリングチーム)+2:32
5 平野星矢(ブリヂストン アンカー サイクリングチーム)+2:42
U23男子 平林安里が大転倒からの独走で連覇
前週にはCJ(クップ・ドゥ・ジャポン)シリーズ・たざわ湖戦で優勝した平林安里(SPECIALIZED RACING JAPAN)が、U23のスタートダッシュで飛び出すが、その直後の混乱で大転倒を喫し、後退する。ただそこからの追い上げは凄まじく、1周を終えた時点ですでにトップに立っていた。平林の言葉に引き継いでもらう。
「慌てたりはしなかったですね。(転倒が)1周目でラッキーだと思いましたね。タイム差はないので、この1周目を上げれば、追いつくと思いました。ただそこで飛ばしすぎて途中、回復するのに時間がかかるようになって、思うような走りができなかったんですが。
最後の2周目ぐらいに、水を多めに取るようにしたら脚が回ってきました。落車してから追い上げる時に水を飲む余裕もなかったので、軽い脱水症状だったんでしょうね、水を多めに補給したら回復しました。
その後は、自分の全力を出すことだけを考えていたので、中盤にはペースを上げすぎに注意してましたね。後半まで体力を消耗させないよう、ペースを調整して走りました。
「慌てたりはしなかったですね。(転倒が)1周目でラッキーだと思いましたね。タイム差はないので、この1周目を上げれば、追いつくと思いました。ただそこで飛ばしすぎて途中、回復するのに時間がかかるようになって、思うような走りができなかったんですが。
最後の2周目ぐらいに、水を多めに取るようにしたら脚が回ってきました。落車してから追い上げる時に水を飲む余裕もなかったので、軽い脱水症状だったんでしょうね、水を多めに補給したら回復しました。
その後は、自分の全力を出すことだけを考えていたので、中盤にはペースを上げすぎに注意してましたね。後半まで体力を消耗させないよう、ペースを調整して走りました。
・XCO U23男子 4.46km x 5周=22.3km リザルト
1 平林安里(SPECIALIZED RACING JAPAN)1:21:41
2 竹内遼(drawer the RACING)+2:18
3 山田将輝(MIYATA-MERIDA BIKING TEAM)+2:46
エリート女子 18年ぶりの全日本優勝、小林可奈子
2020年五輪を控え、1996年アトランタ五輪の女子エリートは、日本代表であった小林可奈子(MTBクラブ安曇野)が、18年ぶりに全日本選手権を優勝した。
スタート直後の混戦の中で落車があり小林は巻き込まれたが、ここで彼女の闘志に改めて火が付く。「今日は絶対勝つ、という気持ちがあった。前との秒数を縮めて、コース中盤で先頭を抜いて、あとは着実に差を開いていきました」。
他クラスとの混走だったため男子選手を抜きながら、小林はそのまま女子トップを走り続け走りきった。彼女の初めての全日本選手権優勝は1994年、前回は1999年、そして今年、2017年も優勝を果たした。
「勝負はパンクも落車もあって最後の最後までわからないし、こんなに絶対勝つという気持ちで、冷静に走ったのは、今までで初めてでした」。
47歳の初代MTB女子オリンピアンである彼女は「今年が最後だから、今年こそと思って(笑)」。次の五輪出場の夢は、今日ユース・チャンピオンになった娘の小林あか里選手に託すのだろうか。
XCO 女子エリート 4.46km x 4周=17.84km リザルト
1 小林可奈子(MTBクラブ安曇野)1:21:43
2 今井美穂(TEAM SCOTT)+3:54
3 樋口陽子(Team 轍屋)+5:58
全リザルトはこちら
http://wakitasoft.com/Timing/Results/2017/20160723/
スタート直後の混戦の中で落車があり小林は巻き込まれたが、ここで彼女の闘志に改めて火が付く。「今日は絶対勝つ、という気持ちがあった。前との秒数を縮めて、コース中盤で先頭を抜いて、あとは着実に差を開いていきました」。
他クラスとの混走だったため男子選手を抜きながら、小林はそのまま女子トップを走り続け走りきった。彼女の初めての全日本選手権優勝は1994年、前回は1999年、そして今年、2017年も優勝を果たした。
「勝負はパンクも落車もあって最後の最後までわからないし、こんなに絶対勝つという気持ちで、冷静に走ったのは、今までで初めてでした」。
47歳の初代MTB女子オリンピアンである彼女は「今年が最後だから、今年こそと思って(笑)」。次の五輪出場の夢は、今日ユース・チャンピオンになった娘の小林あか里選手に託すのだろうか。
XCO 女子エリート 4.46km x 4周=17.84km リザルト
1 小林可奈子(MTBクラブ安曇野)1:21:43
2 今井美穂(TEAM SCOTT)+3:54
3 樋口陽子(Team 轍屋)+5:58
全リザルトはこちら
http://wakitasoft.com/Timing/Results/2017/20160723/