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新城幸也 7回目のツールを終えて

7回目のツール・ド・フランスを無事に完走した新城幸也(バーレーン・メリダ)。日本人として最多出場、そして完走記録の更新である。ツールスタート前にインタビューを行い、そして完走した今、再びその心境を聞いた。

前回同様、大前 仁氏がインタビュー。

 
text&photo:大前 仁

今年も無事シャンゼリゼに

新城幸也、7回目のツールが終わった。大きな落車もケガもなく、チームメイト6人とともにシャンゼリゼのフィニッシュゲートをくぐった。

総合109位、区間成績でベストは23位(第2ステージ)、最終ステージは28位と数字こそ振るわないが、内容は32歳のユキヤにとって満足のいくものだったはずだ。シャンゼリゼは「強いチームの列車を利用して最後にまとまってスプリントを狙う作戦。スプリンターでないポジッチが6位に入った(エーススプリンターのコロブレッリは12位)から、作戦は間違ってなかった」。

どこかまだ力を余した感じでフィニッシュしたユキヤは、凱旋門バックの撮影に応じてくれた。

「ラスト3kmで前に出切って、ちゃんと放送でも呼ばれてたでしょ?」と、そんなところでも回りがちゃんと見えているユキヤらしさが素敵だ。

2009年、ヨーロッパプロになってそのままストレートでツールに出場したユキヤ。2011年と15年、ツールのセレクションから漏れたユキヤ。そして敢闘賞を獲得して2度もポディウムに上がったユキヤ。いずれも忘れられない印象的なシーンだ。今年のユキヤもまた、驚くような成長で我々の前に姿を現した。

スプリントのために列車を牽引する姿、山岳でエースをアシストするためにそばを走る姿は見慣れてきたが(それだけで十分スゴイ)、今年は、イマイチ切れの悪い自チームのスプリンターのために、チームカーまで下がって口頭で監督に頼み事をしにいくというシーンがあったらしい。

それを聞いたジャーナリスト陣からは「それはキャプテンの仕事じゃないの?」という声が上がったが、「いや、キャプテンはポジッチです。彼の方が歳が上だし」とユキヤが遮る。しかし僕にはその後も、イタリア語やフランス語が混ざりつつも英語で動くチーム全体を、ユキヤが持ち前の気配りでうまくまとめ、その動きのなかで自分を位置づけているように見えた。
 

監督のフィリップ・モデュイはユキヤを「彼はすごくよい目を持っていて、いつ、何をすべきかをよくわかっている。だからどの選手も彼を必要とする。(ツールのメンバーは)僕だけが決めているんじゃないよ」と笑いながら話した。そのフィリップの期待に応えて、ユキヤはチームを陰でまとめていた。

7回目を無事に走り終えてユキヤは「チャレンジはしたけど、逃げに乗ることはできなかった。今年は僕のツールじゃなかったってことですね」と、巡ってこなかったチャンスを口にした。

「でもやっぱりツールはツール、次元が違います。アムステルでもドーフィネでもない。どこを走っても応援されるし、速さも段違いに速い。ツールに関してはみんなが100%の状態でくるので、そのなかで勝負していかなきゃいけない。自分自身のスイッチも入るので、そういう部分でごまかしがきかない。みんなが全開で3週間走る。そういう、自分がアマチュアでレースを始めたころ、『こいつに勝ってやる!』という気持ちが思い出される。頑張りたい! という気持ちが大きくなります。また来年もツールを走りたいですね」と話す。


まもなく誕生日を迎えるユキヤ、コンコルド広場での共同会見は「もう33歳ですから!」という彼の笑顔で締めくくられた。