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「デュラエースR9100シリーズパワーメーター内蔵クランク」国内最速インプレッション
2017.08.24
![右クランクのセンサーユニットは、スパイダーアームになじむコンパクトさ。すっきりしたデザインは、バッテリーをBBに内蔵したからこそ実現できた 右クランクのセンサーユニットは、スパイダーアームになじむコンパクトさ。すっきりしたデザインは、バッテリーをBBに内蔵したからこそ実現できた](https://old.cyclesports.jp/sites/default/files/styles/layout_image_sneak/public/fcr9100p_02.jpg?itok=gsf3B7JF)
![左クランクのセンサーもかなり薄く、小さい。フレーム形状を問わず、ほぼすべてのモデルに装着できるという 左クランクのセンサーもかなり薄く、小さい。フレーム形状を問わず、ほぼすべてのモデルに装着できるという](https://old.cyclesports.jp/sites/default/files/styles/layout_image_sneak/public/fcr9100p_03.jpg?itok=loOGiXyP)
ライダーがペダリングによって生み出す出力を基準に行うパワートレーニングは、最も効率よく強くなる方法として注目を集めている。パワートレーニングを始めるには、ライダーの出力を測るパワーメーターと走行データを記録し、表示するサイクルコンピューターが必要だが、現在パワーメーターは各社からさまざまなモデルが登場している。その市場に満を持して登場したのが、シマノ・デュラエースR9100シリーズのパワーメーター内蔵クランク「FC-R9100-P」だ。
このモデルは、左右のクランクにひずみゲージ(クランクに加えられたトルクを計測するための電子部品)を内蔵し、BBシャフト内にリチウムイオン充電池や電子部品を収めている。外から見てパワーメーターと分かるのは、クランクアーム付近の小さなかまぼこ形のセンサーユニットと、左クランク内側のセンサーぐらいで、遠目からではパワーメーターが搭載されていることが分からないほどだ。このスマートなルックスは、コンポーネントメーカーの純正パワーメーターであるからこそ実現したものだ。
左クランクのセンサーはかなり薄く、他社のパワーメーターではクリアランスの問題が発生していた、シマノのダイレクトマウントタイプのリヤブレーキキャリパーをBB下に搭載するフレームでも、ほぼすべてのフレームで使えるという。この汎用性の高さも“純正品”である強みのひとつ。BB規格やフレーム設計の関係で、これまでクランク式パワーメーターが使えなかった人にとって朗報と言えるだろう。
高い計測精度と使いやすさを両立
![サイクルコンピューターとの通信はANT+規格に対応。ガーミンのエッジシリーズなど、パワー表示に対応するモデルと組み合わせて使える サイクルコンピューターとの通信はANT+規格に対応。ガーミンのエッジシリーズなど、パワー表示に対応するモデルと組み合わせて使える](https://old.cyclesports.jp/sites/default/files/styles/layout_image_sneak/public/fcr9100p_04.jpg?itok=5aQWgSwp)
![スマートフォンやタブレットとはBluetooth規格で通信。シマノの専用アプリe-tubeプロジェクトを使えば、パワーメーターの校正やファームウェアのアップデートなども可能 スマートフォンやタブレットとはBluetooth規格で通信。シマノの専用アプリe-tubeプロジェクトを使えば、パワーメーターの校正やファームウェアのアップデートなども可能](https://old.cyclesports.jp/sites/default/files/styles/layout_image_sneak/public/fcr9100p_05.jpg?itok=I4qqkh0K)
通信規格はANT+とBluetoothに対応。サイクルコンピューターとの通信はANT+。スマートフォンやタブレットのアプリ「e-tube」で、ファームウェアを更新する場合などの通信はBluetoothで行う。サイクルコンピューターは、ガーミンのエッジシリーズなど、ANT+対応かつパワー表示が可能なモデルのみ対応しBluetoothのサイクルコンピューター(ポラールなど)とはペアリングできない。
サイクルコンピューターとパワーメーターのペアリングは、サイクルコンピューターの電源を入れ、クランクを回せば簡単に行える。また、温度変化に対応するために必要なパワーメーターの校正も、サイクルコンピューターから簡単に行えるほか、スマートフォンやタブレットなどのe-tubeアプリを通じて行うこともできる。チェーンリングを交換しても歯数を変えても計測精度には影響を与えないという。
左右のクランクにひずみゲージを内蔵するため、パワーはもちろん、パワーの左右バランス、ペダルスムーズネス、トルクエフェクティブネスといった他社の左右独立計測式のパワーメーターと同じようなデータを取れる。ケイデンスもフレームにマグネットを貼り付けて計測する。表示のレスポンスに関してもペダリングにリニアに反応しており、短時間高強度のパワーの出方も低ケイデンス・高トルク時のパワーの出方もごく自然だった。
計測精度も±2%と非常に安定しており、電子機器をクランクに内蔵するため温度変化にも強いことが予想され、あらゆる環境で高い精度のデータを計測できそうだ。シマノの担当者によると、「大雨のレースで走っても浸水しないレベルの防水性能を有しており、高圧洗浄機で直接水をかけたりしなければシクロクロスでも使える」という。
解析ソフトはガーミンコネクト、ゴールデンチーター、WKO4などを利用する。今までこれらのソフトを利用してきた人なら、これまでのデータを生かしながら継続的にデータの解析を行えるのは魅力だ。
しかし、パイオニアのペダリングモニターにあるようなペダリング時のベクトルを表示することは現時点ではできない。「将来的にe-tubeで機能を拡張するアップデートもあり得る」(シマノ担当者)とのことだが、詳細については現時点では未定とのことだ。
![右クランク側のセンサーユニットのカバーを外すと、充電用の端子が現れる。センサー上部右側のボタンを押すと、隣のLEDの発光状態でバッテリーの残量も分かる 右クランク側のセンサーユニットのカバーを外すと、充電用の端子が現れる。センサー上部右側のボタンを押すと、隣のLEDの発光状態でバッテリーの残量も分かる](https://old.cyclesports.jp/sites/default/files/styles/layout_image_sneak/public/fcr9100p_06.jpg?itok=la86CScz)
![充電には専用ケーブルを使用する。片側は専用の端子になっていて、パワーメーター側には磁力でくっつくようになっている。ケーブルの反対側はUSB端子になっており、パソコンなどに接続して充電する 充電には専用ケーブルを使用する。片側は専用の端子になっていて、パワーメーター側には磁力でくっつくようになっている。ケーブルの反対側はUSB端子になっており、パソコンなどに接続して充電する](https://old.cyclesports.jp/sites/default/files/styles/layout_image_sneak/public/fcr9100p_07.jpg?itok=V45_OGbg)
ホビーレーサーなら3カ月程度に1度充電するようにすれば、不意にバッテリー切れに悩まされることもなさそうだ。
ちなみに、バッテリー残量はサイクルコンピューターにも送信され、残量が低下した場合は警告も表示される。ほかにも、パワーメーター本体のLEDでも残量を確認できるなど、バッテリー残量を確認する術がたくさんあるのは好ましい。
充電ポートは右クランクのセンサー部にある。磁力で端子がくっつくタイプで、端子を曲げてしまうなどのトラブルが少ないのは魅力だ。充電時間は最大2.5時間だ。
左右独立計測が可能なパワーメーターはライバルも少なくないが、シマノのパワーメーターの強みは価格にもある。チェーンリング付きでおよそ15万円。直接的なライバルと目されるパイオニアペダリングモニターが定価で19万円オーバーであることを考えると、機能の差を考えてもお値打ち感がある。
もし初めてパワーメーターを購入するなら、そして左右独立計測が可能なパワーメーターを手に入れようと思うなら、シマノのパワーメーターはかなりおすすめできる。
しかし、他のパワーメーターをすでに使っている人は、個人的な意見だが今は無理してシマノのパワーメーターに乗り換える必要はないと思う。
特にパイオニアのペダリングモニターをすでに使っている人は、今あえて乗り換える理由はない。ペダリングモニターの解析サービス・シクロスフィアを含めたシステム全体で見ると、ペダリングモニターの高度なシステムはかなり魅力的だからだ。特にシクロスフィアのコンテンツのひとつトレーニングアシストで「パワーメーターをどう活用するか」というソフト面の充実に力を入れている点は評価できる。また、ペダリングモニターは左右それぞれ独立して使うことができ、ひとつ持っていれば複数のバイクで使い回すこともできるし、片側だけしか持っていない人でも反対側のセンサーを購入すれば最小限の投資で高度な両脚計測が可能になるからだ。
楕円チェーンリングを使っている人、特にローターのQ-RINGSを使っている人は、ローターの2INPOWERやINPOWERの方がいい。Q-RINGSの楕円の位相を変えられるOCPの調整に2INPOWERやINPOWERのソフトウェアが役立つからだ。
とはいえ、シマノのパワーメーターはやはり“純正品”という強みがある。堺の本社工場で作られており、既存のクランクを改造して作るのではなく、はじめからシマノのパワーメーター付きクランクとして製造される点もポイントだ。シマノの厳しい品質管理をクリアして市場に出るので、品質の高さも折り紙付きだ。さらにアフターサービスも万全。そのあたりまで含めると、多くのユーザーにとってライバルとの性能差や価格差以上にお値打ちと言えそうだ。
もし初めてパワーメーターを購入するなら、そして左右独立計測が可能なパワーメーターを手に入れようと思うなら、シマノのパワーメーターはかなりおすすめできる。
しかし、他のパワーメーターをすでに使っている人は、個人的な意見だが今は無理してシマノのパワーメーターに乗り換える必要はないと思う。
特にパイオニアのペダリングモニターをすでに使っている人は、今あえて乗り換える理由はない。ペダリングモニターの解析サービス・シクロスフィアを含めたシステム全体で見ると、ペダリングモニターの高度なシステムはかなり魅力的だからだ。特にシクロスフィアのコンテンツのひとつトレーニングアシストで「パワーメーターをどう活用するか」というソフト面の充実に力を入れている点は評価できる。また、ペダリングモニターは左右それぞれ独立して使うことができ、ひとつ持っていれば複数のバイクで使い回すこともできるし、片側だけしか持っていない人でも反対側のセンサーを購入すれば最小限の投資で高度な両脚計測が可能になるからだ。
楕円チェーンリングを使っている人、特にローターのQ-RINGSを使っている人は、ローターの2INPOWERやINPOWERの方がいい。Q-RINGSの楕円の位相を変えられるOCPの調整に2INPOWERやINPOWERのソフトウェアが役立つからだ。
とはいえ、シマノのパワーメーターはやはり“純正品”という強みがある。堺の本社工場で作られており、既存のクランクを改造して作るのではなく、はじめからシマノのパワーメーター付きクランクとして製造される点もポイントだ。シマノの厳しい品質管理をクリアして市場に出るので、品質の高さも折り紙付きだ。さらにアフターサービスも万全。そのあたりまで含めると、多くのユーザーにとってライバルとの性能差や価格差以上にお値打ちと言えそうだ。
spec.
シマノ・FC-R9100-P
●対応プロトコル:BluetoothRLE 、 ANT+ ●クランクアーム長: (チェーンリング付き)170、172.5、175 mm、(チェーンリング無し) 165、167.5、170、172.5、175、177.5、180mm ●歯数構成:50-34T、52-36T、53-39T ●価格:14万3662円(税抜)
●対応プロトコル:BluetoothRLE 、 ANT+ ●クランクアーム長: (チェーンリング付き)170、172.5、175 mm、(チェーンリング無し) 165、167.5、170、172.5、175、177.5、180mm ●歯数構成:50-34T、52-36T、53-39T ●価格:14万3662円(税抜)