左右独立計測が可能なパワーメーターはライバルも少なくないが、シマノのパワーメーターの強みは価格にもある。チェーンリング付きでおよそ15万円。直接的なライバルと目されるパイオニアペダリングモニターが定価で19万円オーバーであることを考えると、機能の差を考えてもお値打ち感がある。
もし初めてパワーメーターを購入するなら、そして左右独立計測が可能なパワーメーターを手に入れようと思うなら、シマノのパワーメーターはかなりおすすめできる。
しかし、他のパワーメーターをすでに使っている人は、個人的な意見だが今は無理してシマノのパワーメーターに乗り換える必要はないと思う。
特にパイオニアのペダリングモニターをすでに使っている人は、今あえて乗り換える理由はない。ペダリングモニターの解析サービス・シクロスフィアを含めたシステム全体で見ると、ペダリングモニターの高度なシステムはかなり魅力的だからだ。特にシクロスフィアのコンテンツのひとつトレーニングアシストで「パワーメーターをどう活用するか」というソフト面の充実に力を入れている点は評価できる。また、ペダリングモニターは左右それぞれ独立して使うことができ、ひとつ持っていれば複数のバイクで使い回すこともできるし、片側だけしか持っていない人でも反対側のセンサーを購入すれば最小限の投資で高度な両脚計測が可能になるからだ。
楕円チェーンリングを使っている人、特にローターのQ-RINGSを使っている人は、ローターの2INPOWERやINPOWERの方がいい。Q-RINGSの楕円の位相を変えられるOCPの調整に2INPOWERやINPOWERのソフトウェアが役立つからだ。
とはいえ、シマノのパワーメーターはやはり“純正品”という強みがある。堺の本社工場で作られており、既存のクランクを改造して作るのではなく、はじめからシマノのパワーメーター付きクランクとして製造される点もポイントだ。シマノの厳しい品質管理をクリアして市場に出るので、品質の高さも折り紙付きだ。さらにアフターサービスも万全。そのあたりまで含めると、多くのユーザーにとってライバルとの性能差や価格差以上にお値打ちと言えそうだ。