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ガーミン・エッジ1030 タッチパネル式の大型ディスプレイを搭載した、エッジシリーズの最高峰
2018.01.12
大画面、充実した機能、拡張性の高さ、あらゆる面で最先端
エッジ1030の最大の特徴は、3.5インチフルカラーディスプレイを採用していることだ。高精細のフルカラー液晶は画面の視認性が高く、地図の描写力も高いので、ナビゲーション利用時や現在地の確認などの際に地図が見やすくなっている。タッチパネル方式で指先での操作が可能となっており、直感的な操作が可能だ。
ナビゲーション機能では、サイクリングロード対応で高度情報も収録された詳細道路地図を収録。ガーミンコネクトに蓄積された膨大なルートデータを蓄積した「トレンドライン・ポピュラリティー・ルーティング」により、高架橋などの自転車の通行に適さないなルートを避けたサイクリングに最適なルートを提供する。目的地の指定は、住所検索のほか、ラウンドトリップ(いわゆる1周サイクリング)という指定も可能だ。
スマートライト・バリアシリーズやパワーメーター・ベクター3、心拍センサーなど、ガーミンのアクセサリーとペアリングすることで、機能を拡充できる。センサーはANT+規格に加え、新たにBluetooth規格のものもペアリング可能になったのもトピックだ。
ライダー間メッセージ機能で、エッジシリーズを使用するライダー同士の定型文によるメッセージ送受信が可能。グループライドではぐれてしまったときや、メカトラブルなどでサポートが必要な際にもコミュニケーションをとれる。
スマートフォンともBluetoothで連携可能。サイクリング中でもスマートフォンを携行していれば、着信やメッセージの受信などのプッシュ通知を画面に表示してくれるだけでなく、不在着信やメッセージに提携メッセージで応答することもできる。ガーミンコネクトへワイヤレスでデータをアップロードしたり、コネクトIQストアからアプリやウィジェットを入手し、画面を好みの状態にカスタマイズすることも可能だ。
ストラバやトレーニングピークスなどのアプリを収録し、各アプリに走行ログを同期可能。ストラバに走行ログを各アプリにアップロードしてセグメントの記録更新を目指したり、トレーニングピークスでワークアウトの計画を立てて実行したりでき、モチベーションアップを図ることができる。
稼働時間は本体内蔵バッテリーのみで約20時間。別売りの拡張バッテリーを併用することで、40時間のバッテリーライフを実現している。ロングライドやブルベなどでもバッテリーの残量を気にすることなく使用できる。
マウントは、ハンドル前方にステムとほぼ同じ高さで装着できる専用のアウトフロントマウントのほか、好みの位置にシリコンバンドで固定できるEDGEシリーズ共通のマウントも付属。用途に応じて選べる。アウトフロントマウント下部には、ヴァリアシリーズ(ライト)などを取り付けることも可能だ。
見やすく、直感的に操作しやすいので、ストレスなく使える
「まるでスマホみたい」
これが偽らざる第一印象だ。試しにスマホとしては比較的コンパクトな部類に入る4.7インチディスプレイのスマホと比較してみたが、本体のサイズはスマホより一回りほど小さいぐらいだった。
当たり前だが、その分ディスプレイは大きい。自分が知る限り、GPSサイクルコンピューターでは最大の3.5インチ。しかもフルカラーで高精細だ。エッジ1030では1画面に最大で10項目表示することができるが、最大の10項目表示しても一つひとつの表示がかなり大きいので、とても見やすい。地図だって細かな路地まで見やすいので、知らない道をナビ頼みで走るようなときも、進むべき道や現在地が把握しやすかった。
トレーニング目線で言うと、ハードに追い込むような練習をしているときでも、モニターをちらっと見ただけで数値がはっきりと分かるのでストレスを感じない。サイクリストのボリュームゾーンであるアラフォー以上の世代はそろそろ老眼が気になり始めたり、すでにそうである人もいるだろうが、そういう人たちにも優しいに違いない。
操作は、本体側面のボタンと、タッチパネル式の画面をタップしたりスワイプすることで行う。ボタンは本体側面の左側に電源ボタン、手前側の左にラップボタン、右にスタート/ストップボタンがある。このあたりのボタンの配置はエッジ510Jや520Jシリーズのころから変わっていないので、歴代エッジシリーズを使っている人ならスムーズに移行できるだろう。ただ、エッジ520Jなどはディスプレイ面のボタン付近にラップやスタート/ストップを示すアイコンがあったが、それがなくなっている。慣れてしまえば問題ないのかもしれないが、初めてエッジシリーズを使う人にはちょっと不親切になった気がする。
タッチパネルは直感的に操作できるのがよい。走行中のデータ画面の切り替えは左右へのスワイプで行い、設定画面の呼び出しは上から下へのスワイプで行う。指切りタイプのグローブや素手、スマホ対応のフルフィンガーグローブでの操作性は良好。一方でスマホ対応ではないフルフィンガーグローブでは、タッチパネルの感度を最高にしても操作性がやや落ちたので、冬場はスマホ対応のグローブが必須だ。
ナビゲーションはガーミンコネクトの膨大のデータから走りやすい道を提案してくれるので安心して使える。贅沢を言えば、車のVICSのように、工事や渋滞も分かると嬉しいが、それは贅沢な望みというものだろうか。
Bluetooth規格のセンサーにも対応し、拡張性がさらにアップ
センサー類の拡張性は非常に高い。ガーミンの純正品ではペダル型のパワーメーター・ベクターシリーズやスピードセンサー、ケイデンスセンサー、心拍センサーのほか、スマートライトのバリアシリーズともペアリング可能。ガーミンと言えばANT+センサーと組み合わせるのが定番だが、エッジ1030からはBluetoothセンサーともペアリングできるようになった。もちろんガーミン以外のセンサーにも対応するので、ガーミンユーザーだけでなく、ポラールなどからの乗り換えも可能になった。
Bluetoothセンサー対応になることのメリットは、通信データの大容量化に対応できることだ。スピードやケイデンス、パワー、心拍などのデータであれば、ANT+規格でも十分通信可能で、むしろANT+の消費電力の少なさやヘッドユニットとのデータのやりとりの安定性というメリットが生かされる。しかし、一部のパワーメーターではパワーだけでなく左右バランスやペダリング効率の表示、ペダリングの可視化まで行えるようになり、走行ログの大容量化が進んでいる。この先さらにセンサーの機能が充実すると、大容量通信をやや苦手とするANT+規格ではハード面の限界を迎えることも予想されるが、Bluetooth規格ならより大容量のデータ通信にも対応できる。今後予想されるさらに高度なシステムにも対応するポテンシャルを秘めていると言える。
細かな機能もアップデートされている。例えばラップ一覧では、自分がプライベートで愛用するエッジ520Jでは最新のラップは表示されなかったが、エッジ820J同様このモデルでは現在進行中のラップも表示されるようになった。インターバルトレーニング時にラップ一覧の使い勝手が向上していて密かに感心した。
ハイエンドモデルにふさわしい高い機能を有し、さらにエッジ520Jで気になっていた箇所が改善されるなど、機能面では間違いなくエッジシリーズ史上最高と言って良い。しかも操作方法はこれまでのエッジシリーズを踏襲しているので、同シリーズのユーザーならほぼ今までのモデルと同じような感覚で使いこなせる。高機能でありながらストレスなく使えるというのは魅力だ。
ただ、レース目線で考えると、やはり重量は気になる。個人的にはロングライドなど、重量があまり気にならないシーンで使いたい。