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ガーミン・ヴァリアUT800をインプレ 周囲の明るさによって点灯モードが自動で変わる!
2018.01.31
エッジシリーズと組み合わせてスマートライトに
ヴァリアUT800の最大の特徴は、ガーミン・エッジ1030など環境光センサーを搭載したサイクルコンピュータとANT+通信でペアリングすることで、周囲の明るさや走行スピードなどの条件に応じて、点灯モードが自動的に変化するスマートライトとしても活用できるようになることだ。
ペアリングすることで、サイクルコンピュータから点灯モードをコントロールできるようにもなる。
もちろん、エッジシリーズとペアリングしないで、ライト単体で使うこともできる。
ペアリングすることで、サイクルコンピュータから点灯モードをコントロールできるようにもなる。
もちろん、エッジシリーズとペアリングしないで、ライト単体で使うこともできる。
点灯モードは、ハイ(明るさ800ルーメン・稼働時間1.5時間)、ミディアム(400ルーメン・3時間)、ロー(200ルーメン・6時間)、ナイトフラッシュ(100〜300ルーメン・6時間)、デイフラッシュ(700ルーメン以上・25時間)の5つ。
これらの点灯モードをライトのスイッチ、またはエッジシリーズの画面から切り替えて使用できる。
自動モードの場合は、周囲の明るさや走行スピード、バッテリー残量に応じて点灯モードを自動調整してくれ、最大4時間連続照射が可能だ。
充電式のバッテリーを内蔵し、充電は付属のUSBケーブルをパソコンなどに接続して行う。重量は130g、全長もおよそ10cmと比較的コンパクトだ。
取り付けは、アウトフロントマウントを使ってハンドル前方に装着できるほか、ヘルメットマウントまたはフリクションマウント2を使ってヘルメットに簡単に取り付けることができる。
実際使ってみたらどうなのか、気になる使用感をレポートしよう。
点灯モードを切り替えるというストレスから解放してくれる
自転車に乗るなら、ライトの装着は義務だ。
さらに、安全走行のためには、ライトを装着しただけではダメで、活用して初めて意味がある。とはいえ、本音ではライトを付けたり消したりするのは面倒だと感じることが全くないわけではない。個人的な意見だが、ライトを活用しない人の多くは「点灯したり消したりするのが面倒くさい」と感じているのではないかと推測する。
ヴァリアUT800は、「ライトの点灯・消灯が面倒くさい」というネガティブな感情を解消してくれる。
その恩恵を受けるには、ガーミンのエッジシリーズの環境光センサーを内蔵するモデルとペアリングして使う必要がある。ヴァリアUT800の点灯モードは点灯がハイ、ミディアム、ローの3通り、点滅がデイフラッシュ、ナイトフラッシュの2通りの計5通りある。
ライトのスイッチやANT+通信でペアリングしたエッジシリーズのサイクルコンピュータの画面を操作することで、これらの点灯モードから好みのモードに切り替えることが可能だが、エッジシリーズとペアリングした場合のみ、周囲の明るさや走行速度、バッテリー残量などを考慮し、自動的に点灯モードを切り替える自動モードという6通り目のパターンが使えるようになる。
この自動モードが非常に素晴らしい。
日中はデイフラッシュを基本に、トンネルや山間部の日陰などにさしかかると自動的に点灯モードに切り替わる。
早朝や夜間など暗い場所では、「停車時にローモードの明るさ、そこから時速1kmスピードが上がるごとに少しずつライトが明るくなっていき、時速約20kmに達したときに最大の800ルーメンで照らすようにプログラムされている」(ガーミンジャパン)というのだ。
ライトは暗いところや走行速度が高いときほど明るさが求められるが、それをサイクルコンピュータとライトが一つのユニットとなって勝手に切り替えてくれるわけだ。
ライトを自動点灯にすることのメリットは計り知れない。「暗くなったからそろそろライトを付けよう」とか「トンネルを出たからライトを消そう」なんて考える必要もなく、トンネルを出てからしばらくライトを付けっぱなしのまま走ってしまうような失敗もない。自動モードを活用することで、ライダーはライトのスイッチ操作をするという一切のストレスから解放されるのだ。
さらにこまめに明るさを変えることで、安全面とバッテリーの持ちを最適化してくれるというメリットもある。
事故を未然に防ぐアクティブセーフティのためにデイライトを活用しよう——というムーブメントが盛んになっているが、デイライトの活用に際してもライダーは特に気負うことも気構えることもなく、ライト任せにしてしまえばいいのだ。
エッジシリーズとペアリングさせるメリットはもうひとつある。それは、ライトのバッテリー残量が分かることだ。
充電式LEDライトの最大の弱点は、外出先でバッテリーが切れてしまったときに電源が確保できなくなって使えなくなることだ。個人的に他社製の充電式LEDライトを使っているが、一度夜道でバッテリーが切れてしまい、サブライトを点灯モードにして乗り切ったことがある。これはバッテリー残量が分からなかったために起こったことだ。
ヴァリアUT800をエッジシリーズとペアリングすると、エッジシリーズのディスプレイ上にヴァリアのバッテリー残量が表示されるため、バッテリーがあとどのぐらい持つのか、すぐに充電する必要があるかを事前に判断できる。通勤ライドの帰宅時や夜の実走トレーニングで、バッテリー切れにおびえながら走ることも、不安だからと必要以上にマメにバッテリーを充電する必要もなくなるのだ。
数少ない弱点は自動モードの稼働時間
インプレに際して日中に山岳エリアを約120km、4時間程度走ったがバッテリーが途中でなくなりそうになった。
他社製の同等クラスの明るさの充電式LEDライトと比べた場合、稼働時間ではヴァリアUT800を上回るモデルもあるのも事実だが、自分でライトの点灯モードを切り替える必要があり、バッテリーの残量も分からない。
ヴァリアUT800でも、長距離・長時間走ることがあらかじめ分かっているときは、最初から自動モードにするのではなく、デイライトモードに固定する時間を増やすことで稼働時間をより長くできる。
また、サイクルコンピュータ・エッジシリーズと連携させる際は、本体側のバッテリー容量も重要だ。特にパワーメーターや心拍計、ヴァリアなど多くのANT+規格の周辺機器とペアリングするなら、気をつけた方がいいだろう。
20時間連続稼働をうたうエッジ1030の場合は、4時間以上走ったときも本体のバッテリー残量は十分だったが、念のため走り終えたら毎回本体のバッテリー残量も確認し、必要に応じて充電した方が安心だと思われる。
エッジ1030よりバッテリー容量が少ないエッジ820Jや520Jと組み合わせて使う場合は、特に本体のバッテリー残量にも気をつけた方が良さそうだ。
ヴァリアUT800に現在より長いバッテリーライフを期待するのは欲張りすぎなのかもしれない。なぜなら「ライトを操作するというサイクリストのストレス」を解消してくれたというだけでも画期的だからだ。
個人的に新しいデバイスを使って「いいな」と思うことはあっても、熱烈に「ほしい」とまで思えることはなかなかない。ヴァリアUT800は久しぶりに本気で「ほしい」と思わせてくれる逸品だった。