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エクスプローバX3 パワートレーニングにも使えるGPSサイクルコンピューター

ACER(エイサー)傘下のブランドXplova(エクスプローバ)のGPSサイクルコンピューターX3(写真左)は同ブランドの最新モデル。2.2インチカラーディスプレイとフル充電で最長20時間というバッテリーライフ、パワーメーターを始めとする各社のANT+センサーに対応し、税別ながら2万円を切る価格を実現しているのが特徴だ。その使い勝手とともに、同ブランドの上位モデル「X5エボ」や他社のライバルモデルとの比較インプレを行う。

 
text:浅野真則 photo:浅野真則、中島丈博

パワー計測にも対応し、本格トレーニングにも使える

エクスプローバ・X3 価格:1万9800 円(税抜)
エクスプローバ・X3 価格:1万9800 円(税抜)


エクスプローバX3の特徴を一言で言うなら、必要最低限の機能を備えながらも比較的安価に手に入れられるGPSサイクルコンピューターであるということにつきる。

搭載される機能は、サイクルコンピューターとウェイポイントを示すナビゲーションに絞られている。上位モデルであるX5 EVOのようにカメラは搭載されず、操作もタッチスクリーンではなく、ボタンのみで行うなど、機能はシンプルになっている分、価格も税抜定価で2万円を下回るなど、手の届きやすい価格を実現している。

ANT+規格の各種センサーに対応し、スピードセンサーやケイデンスセンサー、心拍センサーはもちろん、パワーセンサーにも対応するので、パワートレーニングにも使える。今やパワーメーターの低価格化も進んでおり、ホビーレーサーの間でもパワートレーニングは常識になりつつあるが、それでもなお心拍トレーニングと比べると初期投資はかさむのが現状だ。エクスプローバX3は「なるべくお金をかけずにパワートレーニングができる環境を整えたい」と願うサイクリストの強い味方となるはずだ。

私物のANT+センサーと組み合わせて使ってみたが、ペアリングはあっさり完了した。もちろんディスプレイに表示されるデータも、普段使っているGPSサイクルコンピューターと大差なく、走行データもしっかり取れていた。トレーニング用のヘッドユニットとしても十分使えるだろう。

データページは最大4ページまで増やせ、各ページに1項目から最大10項目まで表示することができる。表示できるデータは、タイムやスピード、ケイデンス、パワー、心拍、高度など80以上の項目から選べる。最大の10項目にしても、画面の解像度が高く、書体も太めで、ちらっと見るだけでも数字が認識しやすかった。

バッテリーも最大20時間(Bluetooth・バックライトオフ)、低電力モードなら最大27時間稼働するため、半日程度のライドではまずバッテリー切れになる不安はなかった。1日中走り続けるケースでも、バックライトの輝度を低めにしたり、Bluetoothをオフにしておけばまずバッテリーが切れることはなさそうだ。今回のインプレで3時間程度のライドを3回行ったが、バックライトの輝度を30%程度にし、Bluetoothを切っておいたら、一度も充電しなくてもバッテリーは持った。バッテリーの持ちに関しては、ブルベなどで使うのでなければ本体の内蔵バッテリーだけでも満足できるレベルにある。しかも走行中にも充電できるので、モバイルバッテリーを接続すればさらに稼働時間を延ばすことができ、400kmを越えるようなブルベでも使えそうだ。

 
メニュー画面
メニュー画面
各メニューの選択、実行はこの3つのハードキーで行う
各メニューの選択、実行はこの3つのハードキーで行う
上位機種X5エボ(右)との比較。サイズは一回り小さい。X5エボはタッチパネルも装備するがX3はハードキーのみでの操作
上位機種X5エボ(右)との比較。サイズは一回り小さい。X5エボはタッチパネルも装備するがX3はハードキーのみでの操作

ライバルはガーミン・エッジ500シリーズだが……


エクスプローバX3を使っていて感じたのは、ガーミンのエッジ500系の1世代前のモデル、エッジ510と大きさや重さがほぼ同じということだ。シンプルなGPSサイクルコンピューターという点も似ているが、さすがにエクスプローバX3は最新モデルということもあり、画面の解像度が上がっていたり、GPS機能も最新の衛星に対応してより高精度になるなど進化している。

ちなみに、エクスプローバのサイクルコンピューターのマウントは、ガーミンのエッジシリーズとも互換性がある。僕は普段ガーミンのエッジ520を使っているが、ガーミン対応のアウトフロントマウントに普通に装着できたし、走行中に外れるようなこともなかった。もしガーミンのエッジシリーズから乗り換える場合でも、ヘッドユニットだけ交換すればバイク側の使用環境は整う。

とはいえ、気になる部分もいくつかあった。

最もストレスを感じたのは、エクスプローバX3は各種設定時の操作やページ切り替えの際に「ひとつ前の項目に戻る」ことができないことだった。目的の項目やページをうっかり通り過ぎてしまった場合、ぐるっと一周して戻る必要があり、これが大いにストレスに感じられた。ちなみに、エクスプローバの上位モデルX5 EVOはタッチパネル操作でひとつ前に戻る操作は簡単にできるし、ガーミンエッジシリーズは、タッチパネル操作にせよ、ボタン操作にせよ、「ひとつ前の項目に戻る」操作が簡単にできるようになっている。操作性が犠牲になっている部分には割り切りが必要だ。

また、表示項目に使われる用語も、ガーミンのそれとは微妙に異なるので、最初はやや戸惑った。例えばトレーニング中の走行時間は、ガーミンでは「タイム」だが、エクスプローバでは「移動時間」となる。とはいえ、これは慣れの問題だろう。

 

PCとスマートフォンの専用解析サービスは今後のアップデートを期待


エクスプローバにはスマートフォンアプリとPCサイトの専用の解析サービスも用意されている。走行データはスマートフォンアプリにはBluetooth経由でワイヤレスで、PCサイトにはUSBケーブルを接続してアップロードできる。

これらのサービスでは、スピードや心拍、パワー、ケイデンスの推移や走行ルートが表示され、各ラップごとのデータも分かるようになっている。とはいえ、パワーや心拍数などはラップごとの最高値しか表示されず、平均値が分からないため、トレーニングやレースデータをより詳しく解析したいとうニーズがある人なら、トレーニングピークスやストラバなどの外部サービスにデータを転送する機能があるので、そちらを利用する方がいいだろう。

話をエクスプローバの解析サービスに戻そう。走行データをエクスプローバのアプリにアップロードする際、Bluetoothでワイヤレスでアップロードするしか方法はないのだが、筆者の環境ではなぜかうまくいかないことが多かった。ここは、使っているスマホとの相性も関係してくると思うのであくまで参考程度に。

スマホのアプリは、インストール時に連絡先など特に必要なさそうな項目の使用許可を求められ、使うのを一瞬ためらったことも記しておく。

PCのサイトにUSB経由でアップロードする場合は確実に成功する。しかし、PCのサイトとアプリでアカウントが連動していないからか、PCでデータをアップロードしてもアプリには反映されなかった。ガーミンの解析サービス・ガーミンコネクトではアカウントを登録すれば、スマホでアップロードしてもPCでアップロードしてもガーミンコネクトに反映され、どちらの端末でも走行データを確認できるので、エクスプローバのソフト面に関してはアップデートでの改善を期待したい。

 

エクスプローバX3はガーミンの牙城を崩せるか?

読者の皆さんが気になるのは、エクスプローバはガーミンエッジシリーズに代わるGPSサイクルコンピューターになり得るか?という点だろう。

個人的には、設定時のボタン操作の不便さに目をつぶることができ、トレーニングやレース用途であれば十分エッジシリーズの代役になり得るポテンシャルはあると思う。

まず、エクスプローバX3は、ガーミン・エッジ500系の最新モデル520のおよそ半額で手に入るという点が何より魅力的だ。また、表示の見やすさなど走行データを表示する機能に関しては合格点を与えられるし、表示項目の豊富さも十分。トレーニング中やレース中は表示するページを固定することが多いため、ボタン操作はほとんどしないからだ。ただし、データ解析はエクスプローバのサービスではなく、トレーニングピークスなどの外部サービスを使うことも視野に入れておきたい。

 
エクスプローバ・X3
価格:1万9800 円(税抜) 
※計測内容によっては、別途センサー類が必要

サイズ:54 x 85 x 22 mm
重量:80g

ディスプレイ:2.2 インチ
ディスプレイタイプ:半透明型カラーディスプレイ
ディスプレイ解像度:240 x 320 ピクセル 、バッテリー:充電式リチウム電池
バッテリー持続時間:
最長 20 時間(GPS 3D-Fixed/BLE およびバックライトオフ)
低電力モードで最長 27 時間 、入力:5V Micro-USB
バッテリー充電時間:5 時間でフル充電/走行中も充電可能
防水:IPX6 、動作温度:-10°C ~ 40°C
GPS:高感度 GPS/GLONASS/BeiDou システム
ナビゲーション:ウェイポイントナビゲーション
内蔵センサー:温度計、気圧高度計
インターネット接続:BLE 4.0 、データ転送:BLE/USB 経由
メモリ:64MB(最大 700 時間分の履歴を保存)
データフィールド:各データページに最大 10 件のデータ(80 件を超えるパフォーマンスデータから選択)
センサー接続(ANT+):ハートレートモニター、スピードセンサー、ケイデンスセンサー、コンボ(スピード&ケイデンス)センサー、パワーメーター
Xplova Connect アプリ:Android 5.0 以上、iOS 10 以上、BLE実装
言語:英語、オランダ語、デンマーク語、イタリア語、スペイン語、ドイツ語、フランス語、タイ語、日本語、韓国語、繁体字中国語、簡体字中国語
パッケージ内容:Xplova X3 本体、Micro-USB ケーブル、バイクマウントキット、クイックスタートガイド、保証書



 

問い合わせ先

エクスプローバ・X3
https://www.xplova.com/jp/product/X3