難易度=(1~5)〈1=初めての人でも安心/2=自分で「やる気はあるぞ!」と言える人向き/3=1日に80km走った経験がある人向き/4=1日に160km走ってみたい健脚派向き/5=風雨の下でも160kmを完走するやる気のある人向き〉
「百哩走大王」とは、30歳以上の大人のサイクリストの全国組織である『センチュリーランを走る会』が、会員の年間活動記録に応じて与える称号。自転車百哩走大王たちが内外のレースではない長い距離を走るイベントを、実際に参加したライダーの目で紹介する。
※この記事はサイクルスポーツ2005年3月号からの転載です。現在とは情報が異なる場合もありますので、ご了承ください。 地図の拡大を見る

●川沿いのサイクリングロードを突き進む
 数日先には師走を迎えようかという2004年11月下旬、14回目となる『九州チャレンジサイクリング大会』に、今年も1年の締めくくりとして参加した。
 大会の会場となるのは大分県の最南、蒲江町の大分県マリンカルチャーセンター。この施設では春になると、地元の定置網に迷い込んだマンボウをもらい受け、海水プールで飼育している。マンボウは人によく慣れる魚で、プールサイドに人が立つと、寄ってきてエサをねだったりする。
 最寄りの駅から20km以上離れている会場には、参加者のほとんどがクルマでやってくる。前日には夕食を兼ねた懇談会が催されるため、前泊して参加する人もいる。
 当日の天候は快晴。朝はさすがに寒いものの、日中は暖かくなりそうだ。午前8時に会場に到着し、受け付けを済ます。周囲を見回すと、小学生の参加者が目につく。小学生ながら立派なロードレーサーに乗っているのがうらやましい。
 午前9時、マリンホール内にて開会式が行なわれ、終了10分後にAコースがいっせいにスタートする。海辺に沿って5kmほど走り、佐伯方面へと右折して橋を渡る。すると、轟トンネルに向かう本格的な上り坂へといきなり突入する。しばらく自転車に乗っていなかった体には、絶壁のごとく感じられる上り坂。次々と追い越していく背中を眺めつつ、あえぎながら必死で上る。
 頂上のトンネルを抜けると気持ちの良い下り坂で、メーターの表示は時速50kmを超えている。その後しばらくは、のんびりとした田舎道が続く。途中のエイドステーションでひと休みし、ハンガーノック気味の体へバナナと水の補給。早々と再スタートを切った。
 ひととき川沿いのサイクリングロードを走り、再び車道に出る。交通整理員のおじさんが、クルマを止めて先に行かせてくれた(ありがたい)。
 左手に海を眺めながら鶴見半島を回っていくと、佐伯市との境に小さな峠がある。その先には長いトンネル(新有明トンネル)があり、ここでは自転車歩行者道の通行となる。ときおりトンネル照明の間隔が空いているところがあり、前を見通せず怖い思いもした。ライトは必須である。
 トンネルを抜けて右折すると米水津村に入り、海沿いの道を走る。去年(2003年)まではこの先がヒルクライムとなり、その後に昼食だったのだが、今年は4個の台風上陸の影響でコースが一部変更となった。そのため「海風館」での昼食は、峠の手前となった。
 毎年楽しみにしているここの昼食。今年はうどん、ぶりの刺身、あじの寿司、おにぎりが、トレーに載って渡された。
 腹も満腹(食べ過ぎたようだ)、ここからトンネル付近までは折り返しとなる。風は向かい風となり、スタート前に見かけた小学生たちには追い越されてしまった。
 湾から離れ、また坂を上る。必死にペダルを回す私の目の前に現われたのは、片側通行規制区間にある信号機。足を止めたくはないが、信号は赤へと変わる。約1分の休憩となった。
 何度かのアップダウンを繰り返した後に、待望のゴール。といっても希望者のみの参加だが、ゴール後にもヒルクライムが控えている。前述のコース変更により、75kmの完走後に、改めて約2kmのヒルクライムを行なうことになったのだ。
 このヒルクライムは「ぶりレース」と呼ばれ、1位から3位まで天然のぶりがもらえる。ヒルクライムスタート地点となるゴールでは、すでに多くの人たちがヘルメットにゼッケンを張ってスタートの時を待っている。前に見えるのは10%強と思しき激坂。今からこの坂を上るのか、と思っただけでいやになる。
 スタートを待つ間にも、Bコースの参加者が坂を下ってくる(Bコースは頂上の公園が昼食会場)。なかには「こんな小さな子が上ったのか」と思わせる低学年の子供もいて、「こりゃおじさんもがんばらなきゃ」と、決意を新たにした。
 午後1時30分、全員がそろったところでクルマの通行を止めていっせいにスタート。ドンガメの私は、最後尾からぼちぼちと上っていく。ゴール後、自分の上ってきた坂を麓まで見下ろして、しばし息をつく。上ってきた坂を下ったら、本当のゴールだ。
 会場にはぜんざいが用意されている。アップダウンで疲れた体には、甘いぜんざいがバツグンにうまい。そして、最後を飾るのが閉会式での抽選会。ぶりやヒオウギ貝ほか、地元海産物がかなりの確率で当たる飛び賞抽選があり、開会式よりも出席者の数が多い。私がこの大会に参加するのも、半分はぶり目当てである。にもかかわらず、なぜかいつも手ぶらで帰路につくことに。そのため「次こそは……」との思いに駆られ、また参加を申し込むことになるのだ。

●ぶりの刺身とアジ寿司がうまかった

●もう少しでゴール。ガンバレ!

●ヒルクライムゴールより、ふもとを見下ろす

●閉会式で、ヒルクライム入賞者がぶりを受け取る
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用正泰治 大分県宇佐市在住
腰痛抑止から始まった街乗り自転車だったが、自転車の魅力に取りつかれてセンチュリーライドへ挑戦するようになる。地元開催のツール・ド・国東のほか近県の大会にも参加して、遅いながらも走りを楽しんでいる。休みには家族の冷たい視線を感じながら自転車と戯れている。
[参加データ]
('04年大会=2004年11月28日)
バイク:ブリジストンアンカーRHM-9
タイヤ:700×23C
ギヤレシオ:53・39・30T×12~25T
●コース
大分県マリンカルチャーセンター→佐伯市→鶴見町→米水津村→大分県マリンカルチャーセンター(Aコース)
大分県マリンカルチャーセンター→名護屋トンネル→森崎浦→高平展望公園→大分県マリンカルチャーセンター(Bコース)
●距離数
80km(Aコース)
26km(Bコース)
●問い合わせ先
大分県サイクリング協会
〒870-1147 大分県大分市ふじが丘南112ー6
TEL.097-554-7133
FAX.097-554-7133
●会場までのアクセス
鉄道の場合:JR日豊本線「佐伯駅」から路線バス1時間15分で大分県マリンカルチャーセンター
クルマの場合:大分自動車道「津久見インター」から県道36号線&国道388号線経由で大分県マリンカルチャーセンターまで50分