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アルプス頂上ゴールのツール・ド・フランス第11ステージはトーマスが区間優勝してマイヨ・ジョーヌを獲得

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アルプス2日目にマイヨ・ジョーヌを獲得したチームスカイのトーマス (©Bettiniphoto)
アルプス2日目にマイヨ・ジョーヌを獲得したチームスカイのトーマス (©Bettiniphoto)
 
第105回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月18日にアルベールビルから標高1855メートル(カテゴリー1)のラ・ロジエール山頂上までの108.5kmでアルプス山岳2日目となる第11ステージを競い、英国のゲラント・トーマス(チームスカイ)が、逃げていたスペインのミケル・ニエベ(ミッチェルトン・スコット)をゴール手前590メートルで抜き去り、区間優勝した。

マイヨ・ジョーヌを着ていたベルギーのグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(BMCレーシングチーム)は、20分以上遅れてゴール。前日まで総合2位に付けていたトーマスが総合首位に立った。彼は昨年のツールでも初日の個人タイムトライアルで優勝し、マイヨ・ジョーヌを4日間着用した。



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38歳のバルベルデがアタックして敢闘賞を獲得

MAP : ASO
MAP : ASO
第11ステージは165選手が出走。オフィシャル・スタートの合図と共に地元フランスのロマン・シカール(ディレクトエネルジー)がアタックし、5人の逃げグループが形成された。そこに加わっていたマイヨ・ベールのペテル・サガン(ボーラ・ハンスグローエ)は、11.5km地点にあった中間スプリント地点を先頭で通過した。

ポイント賞のポイントを稼いだサガンは集団に戻り、先頭はシカール、ダニエル・ナバロ(コフィディス)、ダミアーノ・カルーゾ(BMCレーシングチーム)、ワレン・バルギル(チームフォルチュネオ・サムシック)の4人になり、この日最初のカテゴリー超級のモンテー・ド・ビザンヌ峠に挑み始めた。

上りで21人の追走集団からマイヨ・アポワのジュリアン・アラフィリップ(クイックステップフロアーズ)とティージェイ・ヴァンガーデレン(BMCレーシングチーム)がアタックし、山頂まで残り8kmで前の4人に追いつき、先頭は8人になった。その後も追走グループから合流する選手が続き、20人に膨らんだ。山頂まで残り2kmで、先頭の逃げはチームスカイがコントロールするメイン集団に5分以上のタイム差を付けた。

26km地点のモンテー・ド・ビザンヌ峠山頂は、マイヨ・アポワのアラフィリップが先頭で通過した。6分遅れのメイン集団はチームスカイのスピードについて行けない選手たちが脱落し始めていた。

つづくカテゴリー超級のプレ峠で、先頭の逃げ集団はチームフォルチュネオ・サムシックが引き、次第に小さくなっていった。メイン集団では、今年のツールで8日間マイヨ・ジョーヌを着たヴァンアーヴェルマートも遅れ始めていた。

先頭集団が山頂まで3.5km地点を通過している頃、5分遅れの集団からはスペインのアレハンドロ・バルベルデ(モビスターチーム)がアタック。反応する選手はなく、彼は前を追い続けた。先頭集団ではマイヨ・アポワのアラフィリップが遅れ、プレ峠の山頂は昨年山岳賞を獲得したバルギルが先頭で通過した。続くカテゴリー2のコルメ・ド・ロズラン峠もバルギルが先頭で通過したが、たとえ区間優勝しても、このステージでは彼が山岳賞総合首位に立つことはなかった。

コルメ・ド・ロズラン峠の下り坂で、先頭集団にいたマティアス・フランク(AG2R・ラモンディアル)が、カーブを曲がりそこなってオーバーランする落車事故が発生したが、幸い大したケガはなく、レースを続けることができた。

ゴールへと向かう17.6kmのラ・ロズィエールのふもとで、先頭はバルギルとアシストのアマエル・モワナール(チームフォルチュネオ・サムシック)、ニエベ、カルーゾ、ミケル・ヴァルグレンアナスン(アスタナプロチーム)の5人になっていた。モワナールはここで仕事を終えた。

メイン集団ではコルメ・ド・ロズラン峠の下り坂でオランダのトム・ドゥムラン(チームサンウェブ)がアタックし、先行していたバルベルデに追いついた。集団はポーランドチャンピオンのミハウ・クフィアトコフスキー(チームスカイ)が引き続けていた。

ゴールまで残り9.1kmで、バルベルデはドゥムランについて行けずに遅れてしまった。それでも彼は、この日の敢闘賞を獲得した。チームスカイが加速するメイン集団からは、ボブ・ユンゲルス(クイックステップフロアーズ)とアダム・イエーツ(ミッチェルトン・スコット)が脱落した。

先頭では残り9kmでニエベがアタックし、独走でゴールを目指した。メイン集団はイルヌール・ザカリン(チームカチューシャ・アルペシン)やヤコブ・フルサング(アスタナプロチーム)も遅れてしまい、残り7kmで10人ほどになってしまっていた。

ゴールまで残り5kmで、小さくなったメイン集団からトーマスがアタックし、総合争いの闘いが始まった。ロマン・バルデ(AG2R・ラモンディアル)やダニエル・マーティン(UAEチーム・エミレーツ)がアタックを仕掛けたが、クリストファ・フルーム(チームスカイ)を出し抜くことはできなかった。

残り4kmで、トーマスは先行していたドゥムランたちの追走グループに合流した。ゴールまで残り3kmを切り、先頭を逃げ続けるニエベとトーマス、ドゥムラン、カルーゾの3人は29秒遅れ、フルームとマーティンは50秒遅れだった。

ニエベは先頭で残り1kmのフラム・ルージュを通過したが、後方からアタックしたトーマスにフィニッシュラインの590メートル手前で追い越されてしまった。トーマスは2位のドゥムランに20秒差を付けただけでなく、10秒のボーナスタイムも獲得できた。彼は総合2位でチームメートのフルームに1分25秒差、総合3位のドゥムランに1分44秒差となった。

昨年総合2位のリゴベルト・ウラン(チームEFエデュケーションファースト・ドラパック・P/Bキャノンデール)は、アルプス2日目も大きく遅れ、総合成績は31分03秒遅れになってしまった。彼は第9ステージの落車で負傷したままレースを続けている。


■区間優勝して総合首位に立ったトーマスのコメント
「本当に計画してはいなかった。ボクは本能でアタックした。ボクはフルームが付いてこられるのを知っていたから、ドゥムランの後ろについた。これは疑いなく、ボクのキャリアで最高のステージの1つだ。明日はマイヨ・ジョーヌを着て一日楽しむよ。

アイコニックなアルプ・デュエズをマイヨ・ジョーヌで上るのはすごいことだ。チームのリーダーはフルームのままさ。彼は6つのグラン・ツールで勝っているが、ボクは3週間のパフォーマンスが未知数だ。今から何が起きようと、ボクにとっては成功したツールになるだろう。

ボクはもう数日、マイヨ・ジョーヌを守りたいと思う。最後の表彰台にも上りたいと思うが、優先されるのはレースで勝つことで、フルームはそのための我々にとっての最高のカードさ」
 
 
アルプスの頂上ゴールで区間優勝したトーマス (©Bettiniphoto)
アルプスの頂上ゴールで区間優勝したトーマス (©Bettiniphoto)
 
■第11ステージ結果[7月18日/アルベールビル~ラ・ロジエール(エハパス・サン・ベルナルド)/108.5km]

1. GERAINT THOMAS (TEAM SKY / GBR) 3H 29' 36''
2. TOM DUMOULIN (TEAM SUNWEB / NED) +20''
3. CHRIS FROOME (TEAM SKY / GBR) +20''
4. DAMIANO CARUSO (BMC RACING TEAM / ITA) +22’’
5. MIKEL NIEVE (MITCHELTON - SCOTT / ESP) +22’’
6. DANIEL MARTIN (UAE TEAM EMIRATES / IRL) +27’’
7. JESUS HERRADA (COFIDIS, SOLUTIONS CREDITS / ESP) +57’’
8. ROMAIN BARDET (AG2R LA MONDIALE / FRA) +59’’
9. VINCENZO NIBALI (BAHRAIN - MERIDA / ITA) +59’’
10. NAIRO QUINTANA (MOVISTAR TEAM / COL) +59’’

11. PRIMOŽ ROGLIC (TEAM LOTTO NL - JUMBO / SLO) +59’’
12. STEVEN KRUIJSWIJK (TEAM LOTTO NL - JUMBO / NED) +01' 07''
13. MIKEL LANDA (MOVISTAR TEAM / ESP) +01' 47''
15. ILNUR ZAKARIN (TEAM KATUSHA ALPECIN / RUS) +01' 58’’
17. PIERRE ROGER LATOUR (AG2R LA MONDIALE / FRA) +02’ 59’’ 
23. ALEJANDRO VALVERDE (MOVISTAR TEAM / ESP) +03’ 30’’
26. JAKOB FUGLSANG (ASTANA PRO TEAM / DEN) +03’ 53’’
27. BOB JUNGELS (QUICK - STEP FLOORS / LUX) +04’ 42’’
28. ADAM YATES (MITCHELTON - SCOTT /AUS) +04’ 42’’ 
36. BAUKE MOLLEMA (TREK - SEGAFREDO / NED) +11’ 29’’
37. RAFAL MAJKA (BORA - HANSGROHE / POL) +11’ 29’’
71. GREG VAN AVERMAET (BMC RACING TEAM / BEL) +22’ 23’’
111. RIGOBERTO URAN (TEAM EF EDUCATION FIRST - DRAPAC P/B CANNONDALE / COL) +26’ 07’’

■第11ステージまでの総合成績
1. GERAINT THOMAS (TEAM SKY / GBR) 44H 06' 16''
2. CHRIS FROOME (TEAM SKY / GBR) +01’ 25’’
3. TOM DUMOULIN (TEAM SUNWEB / NED)  +01’ 44’’
4. VINCENZO NIBALI (BAHRAIN - MERIDA / ITA) +02’ 14’’ 
5. PRIMOŽ ROGLIC (TEAM LOTTO NL - JUMBO / SLO) +02’ 23’’
6. STEVEN KRUIJSWIJK (TEAM LOTTO NL - JUMBO / NED) +02’ 40’’
7. MIKEL LANDA (MOVISTAR TEAM / ESP) +02’ 56’’
8. ROMAIN BARDET (AG2R LA MONDIALE / FRA)  +02’ 58’’
9. NAIRO QUINTANA (MOVISTAR TEAM / COL)  +03’ 16’’
10. DANIEL MARTIN (UAE TEAM EMIRATES / IRL) +3’ 16’’

11. ALEJANDRO VALVERDE (MOVISTAR TEAM / ESP) +04’ 28’’
12. JAKOB FUGLSANG (ASTANA PRO TEAM / DEN) +04’ 53’’
13. ILNUR ZAKARIN (TEAM KATUSHA ALPECIN / RUS)  +04’ 58’’
15. BOB JUNGELS (QUICK - STEP FLOORS / LUX) +05’ 50’’
16. ADAM YATES (MITCHELTON - SCOTT /AUS) +05’ 51’’ 
20. PIERRE ROGER LATOUR (AG2R LA MONDIALE / FRA) +11’ 46’’
22. RAFAL MAJKA (BORA - HANSGROHE / POL) +13’ 19’’
23. BAUKE MOLLEMA (TREK - SEGAFREDO / NED) +13’ 45’’
30. RIGOBERTO URAN (TEAM EF EDUCATION FIRST - DRAPAC P/B CANNONDALE / COL) +31’ 03’’

[各賞]
■ポイント賞(マイヨ・ベール):PETER SAGAN (BORA - HANSGROHE / SVK)
■山岳賞(マイヨ・アポワ):JULIAN ALAPHILIPPE (QUICK - STEP FLOORS / FRA) 
■新人賞(マイヨ・ブラン):PIERRE ROGER LATOUR (AG2R LA MONDIALE / FRA) 
■チーム成績:MOVISTAR TEAM
■敢闘賞:ALEJANDRO VALVERDE (MOVISTAR TEAM / ESP) 

 
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アルプス最終日はアルプ・デュエズ頂上ゴール

MAP : ASO
MAP : ASO
アルプス3連戦を締めくくる7月19日は、ブール・サン・モーリス・レ・ザルクをスタートして標高1850メートルのアルプ・デュエズ頂上にゴールする第12ステージが行われる。距離は175.5kmで、序盤に標高2000メートルでカテゴリー超級のマドレーヌ峠を越え、中盤には標高2067メートルでカテゴリー超級のクロワ・ドフェール峠も越える。マドレーヌ峠は全長25.3kmで平均勾配6.2%、クロワ・ドフェール峠は全長29kmで平均勾配5.2%だ。

おなじみのアルプ・デュエズの登坂は、全長13.8kmで21カ所のヘアピンカープがあり、平均勾配は8.1%。2015年にアルプ・デュエズがゴールになった時は、フランスのティボー・ピノ(グルパマ・FDJ)が優勝している。
 
 

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第11ステージのハイライト映像