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ピレネー初日のツール・ド・フランス第16ステージはマイヨ・アポワのアラフィリップが逃げ切って今大会2勝目

レース
マイヨ・アポワを着て区間2勝目を上げた地元フランスのアラフィリップ (©Bettiniphoto)
マイヨ・アポワを着て区間2勝目を上げた地元フランスのアラフィリップ (©Bettiniphoto)
 
第105回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、休養日明けの7月24日に最終週がスタート。カルカッソンヌからバニエール・ド・リュションまでの218kmで、ピレネー山岳区間初日の第16ステージを競い、山岳賞のマイヨ・アポワを着た地元フランスのジュリアン・アラフィリップ(クイックステップフロアーズ)が独走で逃げ切って、今大会2勝目を上げた。

メイン集団はチームスカイが先頭で8分52秒後にゴール。総合上位に変動はなく、マイヨ・ジョーヌは英国のゲラント・トーマス(チームスカイ)が守った。



ツール公式サイト

 

農夫のデモでレースが一時中断

MAP : ASO
MAP : ASO
ピレネー初日の第16ステージは148選手がスタート。第15ステージのゴールで落車し、右肘を骨折したベルギーのセルジュ・パウエルス(チームディメンションデータ)と、オーストラリアのダミアン・ハウソン(ミッチェルトン・スコット)が出走しなかった。

オフィシャルスタートからレースは活発に動いたが、逃げ出せる選手はなかなかいなかった。25km地点のカテゴリー4の丘はワレン・バルギル(チームフォルチュネオ・サムシック)が先頭で通過した。

29km地点で農夫たちがデモで道を塞ぎ、レースは一時ニュートラルになった。催涙ガスが撒かれ、選手たちは手当を受けたため、ここで15分中断した。レースが正常に戻ったのは33km地点からだった。

58km地点でバルギル、アラフィリップ、ダリル・インピー(ミッチェルトン・スコット)、ジュリアン・ベルナール(トレック・セガフレード)が集団から逃げ出し、さらに選手が合流して8人になったが、72km地点のカテゴリー4の丘で集団に吸収された。この丘はマイヨ・アポワのアラフィリップが先頭で通過した。

集団の後方では、ベルギーのティム・デクレルク(クイックステップフロアーズ)が途中リタイア。参加選手は147選手になった。

100km地点でバルギルがふたたびアタックし、27選手が逃げ出すことに成功。マイヨ・アポワを守りたいアラフィリップは、チームメートのフィリップ・ジルベール(クイックステップフロアーズ)と一緒に加わっていた。総合で最も上位だったのはグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(BMCレーシングチーム)で、18分22秒遅れの総合15位だった。

そこにメイン集団からさらに選手が合流し、ゴールまで残り104kmで先頭は47人になった。この逃げ集団は残り100kmでメイン集団に5分差を付けて逃げ続けた。124km地点の中間スプリント地点は、ブランスのクリストフ・ラポルト(コフィディス)が先頭で通過した。

中間スプリント地点を通過後、5.4km続くカテゴリー2のポルテ・ダスペット峠の登坂がスタート。ここで先頭集団からジルベールが単独でアタックし、山頂まで3.5kmで後続に50秒のタイム差を付けた。カテゴリー2の山頂はジルベールが先頭で通過し、55秒遅れでマイヨ・アポワのアラフィリップが続いた。
 

先頭のジルベールが崖下に落ちた!

崖下から救出されたジルベール。幸い大きなケガはなかった (©Bettiniphoto)
崖下から救出されたジルベール。幸い大きなケガはなかった (©Bettiniphoto)
 
ポルテ・ダスペット峠の下り坂で、先頭を逃げていたジルベールがカーブを曲がり損ない、石垣を乗り越えて崖下に転落する事故が発生した。彼は数メートル下の石の上に転落したが、幸い大きな怪我はなく、すぐに助け出された。彼はTVカメラに向かって親指を立てる仕草を見せるゆとりもあり、レースを続けることができた。

続くカテゴリー1のマンテ峠はダミアーノ・カルーゾ(BMCレーシングチーム)とロベルト・ヘーシンク(チームロットNL・ユンボ)が先行したが、アラフィリップが追いつき、先頭で頂上を通過した。マンテ峠を下りきったところで、先頭の逃げ集団は17人になっていた。

この日最後の峠だったカテゴリー1のポルティロン峠が始まった時、メイン集団はすでに10分以上遅れていた。先頭集団では山頂まで3.4kmでバウケ・モレマ(トレック・セガフレード)、ゴルカ・イサギレとドメニコ・ポッゾビーボ(バーレーン・メリダ)、ヘーシンク、マルク・ソレル(モビスターチーム)、アダム・イエーツ(ミッチェルトン・スコット)の6人が先行し、マイヨ・アポワのアラフィリップは11秒遅れの後続グループにいた。

6人の先頭グループから、山頂まで3kmでイエーツがアタック。そのまま単独で抜け出すことに成功した。ゴールまで残り10kmの山頂をイエーツは単独で通過。追い上げてきたアラフィリップが15秒遅れて2位になり、さらに山岳賞ポイントを稼いだ。

そこからゴールのバニエール・ド・リュションまではテクニカルなダウンヒルだった。残り8kmで、先頭のイエーツはアラフィリップに18秒差、5人の追走グループに27秒差を付けていた。

ところが残り6kmで、先頭のイエーツが転倒。彼はすぐに自転車に乗って走り出すことができたが、その間にアラフィリップに抜かされてしまった。残り4kmで、アラフィリップはイエーツに10秒差を付けて坂を下り続けていた。後続のイエーツには、残り3.5kmでゴルカ・イサギレが追いついた。

アラフィリップは残り1kmのフラム・ルージュでイエーツたちに21秒差を付け、勝利を確信してTVカメラに笑顔を見せた。彼はそのまま独走でゴールし、アルプス初日の第10ステージに続いて今大会2勝目を開催国フランスにもたらした。しかも2勝目は、マイヨ・アポワを着ての勝利だった。

メイン集団では最後のポルティロン峠でスペインのミケル・ランダ(モビスターチーム)がアタックしたが、チームスカイがそれを許さず、この日は大きな動きがないまま、総合上位の選手は全員一緒にゴールした。

ポルテ・ダスペット峠で崖から転落したジルベールは、左膝を負傷したが、31分11秒遅れの区間142位でレースを完走。この日の敢闘賞を獲得している。しかし、彼はケガで第17ステージを出走できないようだ。



■ツールで区間2勝目を上げたアラフィリップのコメント
「ボクは大きな喜びを感じる。言葉が出ないくらいだ。苦しい過酷な一日だった。逃げ出すのにとても時間がかかった。結局、前は大きな集団になった。正直なところ、誰もが限界だった。今日はスタートから出したすべての努力を感じた。ボクは100%ではなかったが、幸運なことに疲れていたのはボク1人ではなかった。そうでなければ、ボクは勝てなかっただろう。

ここにはトレーニングキャンプで来ていたから、ボクは最後のトリッキーなダウンヒルを知っていた。アダム・イエーツは落車した。彼には同情する。彼がOKかどうか、ボクはちょっと待った。ボクもいくつかのリスクを犯し、それが報われた。勝ってスーパーハッピーだ。区間1勝がボクの目標だったのに、2つも勝てたんだ」
 
 
 
■第16ステージ結果[7月24日/カルカッソンヌ~バニエール・ド・リュション/218km]

1. JULIAN ALAPHILIPPE (QUICK - STEP FLOORS / FRA) 5H 13' 22''
2. GORKA IZAGUIRRE (BAHRAIN - MERIDA / ESP) +15''
3. ADAM YATES (MITCHELTON - SCOTT / GBR) +15''
4. BAUKE MOLLEMA (TREK - SEGAFREDO / NED) +15''
5. DOMENICO POZZOVIVO (BAHRAIN - MERIDA     / ITA) +18''
6. ROBERT GESINK (TEAM LOTTO NL - JUMBO / NED) +37''
7. MICHAEL VALGREN ANDERSEN (ASTANA PRO TEAM / DEN) +56''
8. GREGOR MÜHLBERGER (BORA - HANSGROHE / AUT) +56''
9. MARC SOLER (MOVISTAR TEAM / ESP) +01' 10''
10. PIERRE ROGER LATOUR (AG2R LA MONDIALE /FRA) +01' 18''

■第16ステージまでの総合成績
1. GERAINT THOMAS (TEAM SKY / GBR) 68H 12’ 01’’
2. CHRIS FROOME (TEAM SKY / GBR) +01’ 39’’
3. TOM DUMOULIN (TEAM SUNWEB / NED)  +01’ 50’’
4. PRIMOŽ ROGLIC (TEAM LOTTO NL - JUMBO / SLO) +02’ 38’’
5. ROMAIN BARDET (AG2R LA MONDIALE / FRA)  +03’ 21’’
6. MIKEL LANDA (MOVISTAR TEAM / ESP) +03’ 42’’
7. STEVEN KRUIJSWIJK (TEAM LOTTO NL - JUMBO / NED) +03’ 57’’
8. NAIRO QUINTANA (MOVISTAR TEAM / COL)  +04’ 23’’
9. JAKOB FUGLSANG (ASTANA PRO TEAM / DEN) +06’ 14’’
10. DANIEL MARTIN (UAE TEAM EMIRATES / IRL) +6’ 54’’

[各賞]
■ポイント賞(マイヨ・ベール):PETER SAGAN (BORA - HANSGROHE / SVK)
■山岳賞(マイヨ・アポワ):JULIAN ALAPHILIPPE (QUICK - STEP FLOORS / FRA) 
■新人賞(マイヨ・ブラン):PIERRE ROGER LATOUR (AG2R LA MONDIALE / FRA) 
■チーム成績:BAHRAIN - MERIDA
■敢闘賞:PHILIPPE GILBERT (QUICK - STEP FLOORS / BEL) 

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ピレネー2日目は今年最後の頂上ゴール

MAP : ASO
MAP : ASO
7月25日はバニエール・ド・リュションをスタートし、カテゴリー超級のサン・ラリー・スラン(ポルテ峠)頂上にゴールするピレネー山岳2日目の第17ステージが行われる。今年最後の頂上ゴールステージは、距離がたった65kmしかないのに、厳しい登坂が3カ所ある過酷なステージだ。この距離は、通常のステージでは過去30年間で最短となる。

スタートからすぐにペイルスールド峠の登坂が始まり、その頂上の先に標高1645メートルでカテゴリー1のペラギュード峠が設定されている。そこを下り終えて次に挑むのは、標高1580メートルでカテゴリー1のバルルロン・アゼット峠だ。

そしてゴールへと向かう最後の峠は、標高2215メートルで今年のツールの最高峰(スーベニール・アンリ・デグランジュ賞)であるサン・ラリー・スランのポルテ峠だ。全長は16kmで平均勾配は8.7%。

ツール総合ディレクターのクリスティアン・プリュドムは、このステージを「ダイナマイト区間」と呼び、ツールで初めてゴールになるポルテ峠は、新しいツールマレーになれると確信している。
 

第16ステージのハイライト映像