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ピレネー最終日のツール・ド・フランス第19ステージはログリッチェが区間優勝、マイヨ・ジョーヌはトーマスがキープ

レース
ツールで2度目の区間優勝を果たしたログリッチェ (©Bettiniphoto)
ツールで2度目の区間優勝を果たしたログリッチェ (©Bettiniphoto)
 
第105回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月27日にルルドからラランスまでの200.5kmで今年最後の山岳区間となるピレネー最終日の第19ステージを競い、最後に越えたオービスク峠のダウンヒルで抜け出したスロベニアのプリモシュ・ログリッチェ(チームロットNL・ユンボ)が区間優勝した。

マイヨ・ジョーヌを着た英国のゲラント・トーマス(チームスカイ)は、19秒遅れのグループでゴールし、総合首位の座を守った。彼は区間2位で6秒のボーナスタイムも獲得した。チームメートのクリストファ・フルーム(チームスカイ)もトーマスと同じグループでゴールしたが、ログリッチェに総合3位の座を奪われてしまった。

今年のツールは最終日前日の31kmの個人タイムトライアルを残し、総合首位はトーマス、総合2位のトム・ドゥムラン(チームサンウェブ)が2分5秒遅れ、総合3位のログリッチェが2分24秒遅れ、総合4位のフルームが2分37秒遅れという展開になった。



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トーマスがマイヨ・ジョーヌを守り、最後の個人TTに挑む (©Bettiniphoto)
トーマスがマイヨ・ジョーヌを守り、最後の個人TTに挑む (©Bettiniphoto)

今年最後の山岳ステージ

MAP : ASO
MAP : ASO
ピレネー最終日の第19ステージは146人が出走。2日前にダウンヒルで落車して負傷したマイヨ・ベールのペテル・サガン(ボーラ・ハンスグローエ)には厳しい一日となり、スタートしてすぐに越えたカテゴリー4の丘ですでに集団から遅れてしまった。

この最初の丘でダミアン・ゴダン(ディレクトエネルジー)、ルーカス・ポストルベルガー(ボーラ・ハンスグローエ)、シルヴァン・ディリエ(AG2R・ラモンディアル)がアタックし、この日最初の逃げが決まった。

そこに21km地点でアダム・イエーツ(ミッチェルトン・スコット)がアタックし、ルクセンブルクチャンピオンのボブ・ユンゲルス(クイックステップフロアーズ)とタネル・カンゲルト(アスタナプロチーム)が合流し、先頭は6人になった。

集団からはさらに12人がアタックし、前の6人を追いかけた。そこにはワレン・バルギル(チームフォルチュネオ・サムシック)のアタックに反応したマイヨ・アポワのジュリアン・アラフィリップ(クイックステップフロアーズ)も加わっていた。

58km地点で12人は6人に合流し、先頭は18人になった。1.5km後に中間スプリント地点を通過し、カテゴリー1のアスパン峠がスタート。先頭集団からはここで6人が脱落した。78.5km地点の山頂はマイヨ・アポワのアラフィリップが先頭で通過し、メイン集団は4分20秒遅れだった。先頭集団で総合成績が最も上位だったのはユンゲルスで、14分20秒遅れの総合13位だった。集団はチームカチューシャ・アルペシンが引いていた。

アスパン峠を下り終え、90.5km地点からツールマレー峠がスタート。メイン集団では最初にイルヌール・ザカリン(チームカチューシャ・アルペシン)とミケル・ランダ(モビスターチーム)がアタックし、ロマン・バルデ(AG2R・ラモンディアル)、ラファウ・マイカ(ボーラ・ハンスグローエ)、ヤコブ・フルサング(アスタナプロチーム)も抜け出した。

ゴールまで残り100kmで、先頭の逃げは8人、バルデ、ザカリン、ランダが2分30秒差で追走し、集団は15秒後方だった。

108km地点のツールマレー峠の山頂もアラフィリップが先頭で通過し、ジャック・ゴデ賞を獲得。集団は2分50秒遅れていた。ツールマレー峠を下り終え、ゴールまで残り65kmで先頭にバルデ、ランダ、マイカが追いついた。

つづくカテゴリー2のボルデール峠で、マイヨ・アポワのアラフィリップはこの日の仕事を終え、先頭集団から後退した。ゴールまで残り40kmで、先頭の9人と集団のタイム差は1分40秒だった。

 

 
ログリッチェは上りでも下りでも強かった (©Bettiniphoto)
ログリッチェは上りでも下りでも強かった (©Bettiniphoto)
 
今年のツールでカテゴリーの付いた最後の峠だった超級のオービスク峠の16.6kmの登坂が始まった時、先頭の逃げと15人ほどに絞られたマイヨ・ジョーヌ集団とのタイム差は1分49秒だった。

チームスカイのミハウ・クフィアトコフスキーが引くマイヨ・ジョーヌ集団では、オービスク峠が始まってすぐにスティーフェン・クライスウエイク(チームロットNL・ユンボ)が抜け出したが、誰も追いかけなかった。先頭では、山頂まで14.5kmでランダがアタックし、バルデとマイカが追走した。

山頂まで13.7kmで、ドゥムランが攻撃を開始。すぐログリッチェとマイヨ・ジョーヌのトーマスが反応し、フルームも付いて行ったが、ここでナイロ・キンタナ(モビスターチーム)がマイヨ・ジョーヌ集団から脱落してしまった。クフィアトコフスキーは仕事を終え、エガン・ベルナル(チームスカイ)がフルームのエスコートを開始した。

山頂まで12kmで、今度はログリッチェが攻撃を開始。ベルナルが遅れ、フルームは1人でその攻撃に耐えていたが、遂に遅れ始めた。ログリッチェ、ドゥムラン、トーマスの3人は、先行していたクライスウエイクに追いつき、ザカリンが加わって4人になった先頭の逃げを追った。

フルームはマイヨ・ジョーヌのグループから一時25秒ほど遅れたが、ふたたびベルナルに引かれてタイム差を詰め、山頂まで10.2kmで追いつくことができた。その後もフルームが遅れるたびに、ベルナルは献身的にアシストし、彼をライバルたちの元へと運んだ。オービスク峠の山頂まで2.5kmで、マイヨ・ジョーヌのグループは逃げを視界に捉えた。そこでマイカがアタックし、単独で山頂を目指した。

ゴールまでまだ20km残っている山頂はマイカが単独で通過し、7秒遅れでマイヨ・ジョーヌのグループが続いた。フルームは山頂で20秒遅れだったが、下りでマイヨ・ジョーヌのグループに合流できた。


オービスク峠の下り坂は霧で視界が悪かった。先頭を逃げていたマイカは、ゴールまで残り13kmでマイヨ・ジョーヌのグループに捕まってしまった。そこから残り12kmでログリッチェが先行し、次第にその差を広げていった。ゴールまで残り2.7kmで、ログリッチェは12秒の差を付けることに成功した。

昨年セッレ・シュバリエがゴールの山岳ステージで優勝していたログリッチェは、そのまま単独で逃げ切り、2度目のツール区間優勝を勝ち取った。彼は総合のライバルたちに19秒差を付けただけでなく、10秒のボーナスタイムも獲得。フルームを抜いて総合3位へと浮上した。

制限時間内にゴールできるか心配されていたマイヨ・ベールのサガンは、38分23秒遅れのグルペットで完走。何とかピレネーを越えることができた。


■区間優勝と総合3位の座を手に入れたログリッチェのコメント
「クレイジーだが、とても素晴らしい気分だ。今日は脚の調子がすごく良かった。ボクは本当に何度もトライした。完璧だった。ダウンヒルに入ってわずかな差を付け、誰かがその差を埋めるのは難しいとわかったから、もっと頑張った。ゴールまでちょうど5kmで、ボクは10秒くらいのリードを持っていると聞いた時、最後まで全力を出し尽くした。

表彰台(総合3位)のことは考えていなかった。ボクは区間優勝のために戦って、それがとてもうまくいったんだ。このタイムトライアルはボクにとても向いているが、それは皆も同じだ。明日は新しい日で、新しい焦点だ。ドゥムランもフルームも気にしてはいない。ボクは自分自身のことだけを気にしているよ」

 
 
■第19ステージ結果[7月27日/ルルド~ラランス/200.5km]

1. PRIMOŽ ROGLIC (TEAM LOTTO NL - JUMBO / SLO) 5H 28' 17''
2. GERAINT THOMAS (TEAM SKY / GBR) +19''
3. ROMAIN BARDET (AG2R LA MONDIALE / FRA) +19''
4. DANIEL MARTIN (UAE TEAM EMIRATES / IRL) +19''
5. RAFAL MAJKA (BORA - HANSGROHE / POL) +19''
6. TOM DUMOULIN (TEAM SUNWEB / NED) +19''
7. MIKEL LANDA (MOVISTAR TEAM / ESP) +19''
8. CHRIS FROOME (TEAM SKY / GBR) +19''
9. STEVEN KRUIJSWIJK (TEAM LOTTO NL - JUMBO / NED) +31’’
10. ILNUR ZAKARIN (TEAM KATUSHA ALPECIN / RUS) +31’’

■第19ステージまでの総合成績
1. GERAINT THOMAS (TEAM SKY / GBR) 79H 49' 31''
2. TOM DUMOULIN (TEAM SUNWEB / NED)  +02’ 05’’
3. PRIMOŽ ROGLIC (TEAM LOTTO NL - JUMBO / SLO) +02’ 24’’
4. CHRIS FROOME (TEAM SKY / GBR) +02’ 37’’
5. STEVEN KRUIJSWIJK (TEAM LOTTO NL - JUMBO / NED) +04’ 37’’
6. MIKEL LANDA (MOVISTAR TEAM / ESP) +04’ 40’’
7. ROMAIN BARDET (AG2R LA MONDIALE / FRA)  +05’ 15’’
8. DANIEL MARTIN (UAE TEAM EMIRATES / IRL) +6’ 39’’
9. NAIRO QUINTANA (MOVISTAR TEAM / COL)  +10’ 26’’
10. ILNUR ZAKARIN (TEAM KATUSHA ALPECIN / RUS) +11' 49''

[各賞]
■ポイント賞(マイヨ・ベール):PETER SAGAN (BORA - HANSGROHE / SVK)
■山岳賞(マイヨ・アポワ):JULIAN ALAPHILIPPE (QUICK - STEP FLOORS / FRA) 
■新人賞(マイヨ・ブラン):PIERRE ROGER LATOUR (AG2R LA MONDIALE / FRA) 
■チーム成績:MOVISTAR TEAM
■敢闘賞:MIKEL LANDA (MOVISTAR TEAM / ESP) 


ツール公式サイト
 

最終決戦は31kmの個人タイムトライアル!

MAP : ASO
MAP : ASO
MAP : ASO
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最終日前日の7月28日には、サン・ペ・シュル・ニベルからエスプレットまでの31kmで、個人タイムトライアルの第20ステージが行われる。コースは平坦ではなく起伏に富み、終盤には900メートル上る平均勾配10.2%の難所も設定されている。
 
 (ツール公式サイト
 

第19ステージのハイライト映像