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サイクルスポーツ編集部・滝沢のツール観戦日記 ~2日目~
レース
2018.08.11
1日目の記事はこちら!
やはり現地での観戦が一味も二味も違う。ぜひ今後の現地観戦に向けての参考に読んでみてほしい。
text&photo:滝沢 佳奈子
TTは見所たくさん
今日はプレスパスをとって、ひたすら写真を撮影。チームカー周辺はパスチェックが必要で、VIPや関係者などしか入れないが、それでも多くの人が思い思いの場所で選手が出てくるのを待ち構えていた。なお、VIPでなくともチームカーが停まる周辺に柵が置かれ、その外からであればアップする選手たちは見られるようなレイアウトにはなっていた。
チームカーの周辺で一番賑わっていたのはやはりペテル・サガンがいるボーラ・ハンスグローエ。そこだけ結構な音量で音楽が流れていた。
チームカーから出てきてアップをし始めるのが出走のだいたい30分~1時間前ほど。スタート地点はかなり小さい町で、人がぎゅうぎゅうに詰まっているので、移動するのになかなか苦労する。
キャラバンカーが走り始めると大人も子どももグッズをゲットするのに躍起になっていた(自分も見てるだけにしようと思っていたが、いざ目の前にグッズが落ちてくると体が反応してしまう)。
実は、早く来て沿道で待っていると歩いてグッズを配ってくれたりするので、確実にもらいたい場合はスタート周辺やゴール周辺、各山岳ポイントやスプリントポイントで陣取っていた方が確率は高いのかもしれない。
初日に落車して肩甲骨を骨折しながらも、厳しいステージを乗り越え、いよいよ残すところラスト2ステージとなったローソン・クラドック(チームEFエデュケーションファースト・ドラパック)は総合順位が最下位のため、本日の第一走者だ。序盤に出走順が来ている選手たちは、わりかしリラックスした表情をしていた。
もし今後、ツールのTTを観に行こうという人は是非ともスタート台の掲示板にも注目してみてほしい。テレビ中継ではどうしても全選手のスタートが見られるわけではない。ましてや掲示板だけずっと映っているという可能性も低い。というのも、スタート5秒前から掲示板に、これからスタートする選手のちょっとしたムービーが流れるのだが、これが選手それぞれの個性が出ていて面白い。めちゃくちゃはっちゃけて謎のポーズをする選手もいれば、硬派に腕を組むだけという選手もいる。もちろんそれぞれの選手のスタート前の生の表情も、どのステージよりもしっかり確認することができる。
だいたいフランス人選手の出走時は、現地実況の方が観客を盛り上げてくれるからスタート前からニッコニコである。アラフィリップなんかは、実況が「ジュリアーン?」と言って、観客たちが「アラフィリーップ!」というコールが何回もあったため、それはもうスタートを切ってからも笑みがこぼれていたほどだった。
多くの観客を前にスタート台に立って、ジョン・デゲンコルプ(トレック・セガフレード)のようにサムズアップをする選手もいるし、非常に真剣な表情でスタートを待つ選手もいた。
自分が一番気になったのは、チームスカイのルーク・ロウとヨナタン・カストロビエホのロードスーツの薄さだった。半透明で裸より恥ずかしそうな、なんだか某アイドルグループのデビュー曲の衣装を思い出した(もちろん本人たちは恥ずかしそうな様子などは全くない)。こういった細かいところまで全て見られるのも現地観戦ならではである。
アップの様子を見ながら現地を離れる
モビスターのトリプルエースがそろってアップしている姿は壮観だった。ナイロアレクサンドル・キンタナ(モビスター)を応援するコロンビア勢は本当にどこにでもいた。熱心に追いかけているのだろう。そういえば前日のトゥルマレでも「NAIRO」と大きく書かれたコロンビア国旗を持って歩いていた。
また、スペインのバスク地方と隣接していることもあり、バスク出身であるミケル・ランダ(モビスター)の応援もたくさん駆けつけていた。写真を撮っていたら、後ろのお姉様がバスクの旗を掲げながら、「●*※#%! ランダ!」と叫んだ。何を言ってるのかまるで分からなかった。ただ、そのおかげでちょうど良くランダの目線が自分のレンズに向いた。
総合狙いの選手が好きだと離れるのが辛いところだが、それらの選手は勝負がかかっているだけあって、実は早いうちに試走に出かけていることも多い。早く行ったならば見られるチャンスもあるはずだ。
自分が第一走者スタートの1時間ほど前にウロウロしているだけで、トム・デュムラン(チームサンウェブ)やエガンアルレイ・ベルナル(チームスカイ)、ミハウ・クフィアトコフスキー(チームスカイ)なども試走に出かけて行った。
フランスあるあるのトラブル
バイヨンヌ駅からは、TGVでパリのモンパルナスへ向かう。23時ごろにパリに着くという予定であった。自分は以前、TGVに乗って痛い目を見たことがあったので、時間通りに進むはずがないと確信していたが、結局その通りになってしまった。
モンパルナスへ向かうはずのTGVは、ボルドーで乗り換えろと途中でアナウンスがあったと添乗員さんから告げられる。みんなで慌ててスーツケースやら荷物をまとめて違うTGVに乗り換えるが、これがなかなか発車しない。なんと後ろの電車を待つために1時間そのまま待機ということだった。
ボルドーを出発したのは22時過ぎ。行き先も変更でモンパルナス駅ではなく、ベルシー駅に深夜1時前に到着すると、バスが待っていてくれた。幸いその駅の方がホテルに近く、ホテルに着いたのは1時を回った頃だった。ツアーのお客さんも自分も疲れ果てていた。
もしフランスに行かれる際は、日本の新幹線のような時間ぴったりに出発し、到着するはずだと思わない方がいい。遅れる・来ない・停まる・行き先変更は当たり前である。これを念頭に置いておくだけで、「あぁ、またか」と思えてだいぶストレスが軽減されるはずだ。自分の場合は、次回以降予定どおりに着くことがあれば祝杯でもあげようかと思う。
ちなみに車内のアナウンスはフランス語のみ。ツアーの場合、添乗員さんに確認できるのも心理的に非常に助かるし、駅からバスで移動させてもらえるので、自分でタクシーなど拾う必要もないし、深夜の街中を歩いて危険な目に遭う必要もない。リーピーターが多いのもうなづける。
バス内では、パリ在住の添乗員さんが物語調で街のことを教えてくれた。「パリはね、本当にスリが多いんですよ。それもね、少女たちなんです。住んでいる僕たちは、どれがスリだかすぐ見分けがつきますけどね、最初は難しいんです」。
自分は過去にパリで少女たち7~8人に囲まれてスマホを盗られたことがあったので、添乗員さんに「どうやって見分けるんですか?」と聞いてみた。「僕たちは見分けがつくんですけどね、最初は難しいんですよね」と、コツを教えてもらうことはできなかった。住んでみないと分からないのかもしれない。
いよいよ最終日、シャンゼリゼへ向かう。