「ラズリ」は「青」を意味するペルシア語に由来し、せとうちの海や島、サイクリングロードのブルーラインをこの船が繋いでいくということをイメージし、名付けられた。
全長17.75m、幅6.30mの車体には最大で75人の旅客を収容できる。自転車では最大で約50台を積載。2階の展望デッキのサイドには、自転車のタイヤをイメージしたデザインのフェンスも施されており、海上をゆっくりと航行する姿がせとうちのワンシーンとして印象に残るだろう。
通常は広島県の尾道から瀬戸田を結ぶ定期船として運航するが、イベントなどで貸し切りチャーター船としても利用が可能。このチャーターの場合は尾道を拠点とし、東は兵庫県の高砂、西は山口県の丸尾崎までの区域を運行する。
船内の設備としても、サイクリストフレンドリーな要素が詰まっている。駐輪するためのサイクルスタンドが設けられた二階の展望デッキへは、一階から押し上げやすいようにと階段の角度やタイヤを沿わせる溝が工夫されている。また、旅客船としては初の「サイクルオアシス」として、エアポンプや工具の貸し出しサービスも常設されており、ひとつのスポットとしても機能する。
2019年からのラズリの定期便運行、かつチャーター利用の本格スタートによって、この瀬戸内のじてんしゃ旅がより魅力を増していくとともに、ここからじてんしゃ×船旅というより自由な楽しみ方が日本中に広がっていくことになるだろう。
(text&photo:江里口恭平)