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せとうちの島々を自転車とクルーズ!「サイクルシップ・ラズリ」が就航
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2018.12.06
国際サイクリング大会である「サイクリングしまなみ」などが開催された2018年10月。広島県尾道港を拠点として、せとうちの島々を航行する新造船の「サイクルシップ・ラズリ」が初めてお披露目された。しまなみ海道をはじめとした瀬戸内の魅力的な島々、その点を線と自転車と船を活用して繋いでいくことで、この一帯の楽しみ方がより広がることとなる。
しまなみの島々へ、全速前進ヨーソロー!
広島県尾道市から愛媛県今治市を結ぶしまなみ海道。サイクリストの聖地として世界的にも評価の高いサイクリングロードが伸びる瀬戸内の島々は、そのひとつひとつに違った景色や歴史、グルメなどが盛りだくさん。そこを自転車でゆっくりと味わうのに是非オススメしたいのが、このエリアで現在も交通の足として活躍している、船の存在だ。
そして今回就航したのは、「サイクルシップ」として自転車を積んで運行する事をはじめから想定した新造船舶である。
このサイクルシップ「ラズリ」は、官民が参画する一般社団法人せとうち観光推進機構と金融機関・周辺地域内外の民間企業が参画する瀬戸内ブランドコーポレーションで構成されている、せとうちDMOが主軸となってはじまった取り組みのひとつ。
せとうちDMOは、このクルーズだけでなくサイクリングやアート、食や宿、地域産品などとエリアを横断して、地域事業者や各県・市町村とともに瀬戸内の魅力を体感できる新たな観光サービスなどを開発促進している。航空機輪行用の受託手荷物専用ボックスである「SBCON(エスビーコン)」をJALと共同開発したということも記憶に新しい。
現在しまなみ海道を中心としたサイクリングロードによって盛り上がっているなか、もっと気軽にサイクリングを楽しみたい、または尾道〜今治の全70kmを自転車で走りきるのは体力的にちょっときつい……というような、より多様化したニーズ。そしてこれまでせとうちの島々を結ぶ小型船舶では一度に多くの自転車を運ぶことができない、そういった声に応えるべく新たに就航したのが、今回のラズリなのである。
「ラズリ」は「青」を意味するペルシア語に由来し、せとうちの海や島、サイクリングロードのブルーラインをこの船が繋いでいくということをイメージし、名付けられた。
全長17.75m、幅6.30mの車体には最大で75人の旅客を収容できる。自転車では最大で約50台を積載。2階の展望デッキのサイドには、自転車のタイヤをイメージしたデザインのフェンスも施されており、海上をゆっくりと航行する姿がせとうちのワンシーンとして印象に残るだろう。
通常は広島県の尾道から瀬戸田を結ぶ定期船として運航するが、イベントなどで貸し切りチャーター船としても利用が可能。このチャーターの場合は尾道を拠点とし、東は兵庫県の高砂、西は山口県の丸尾崎までの区域を運行する。
船内の設備としても、サイクリストフレンドリーな要素が詰まっている。駐輪するためのサイクルスタンドが設けられた二階の展望デッキへは、一階から押し上げやすいようにと階段の角度やタイヤを沿わせる溝が工夫されている。また、旅客船としては初の「サイクルオアシス」として、エアポンプや工具の貸し出しサービスも常設されており、ひとつのスポットとしても機能する。
2019年からのラズリの定期便運行、かつチャーター利用の本格スタートによって、この瀬戸内のじてんしゃ旅がより魅力を増していくとともに、ここからじてんしゃ×船旅というより自由な楽しみ方が日本中に広がっていくことになるだろう。
(text&photo:江里口恭平)
●サイクルシップ・ラズリの運行予定
2018年12月6日(木)13:00~ チャーター予約受付開始
2019年1月1日(火)~ チャーター運行再開
2019年1月2日(水)~ 定期運行開始(基本土・日・祝運航)
問・瀬戸内クルージング