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【2019アジア選手権ロード】女子U23ロードレースで梶原悠未が優勝

レース

女子エリート ロードレースは樫木祥子4位

ウズベキスタン・タシュケントで2019年4月23日(火)〜28日(日)の期間で開催中の2019アジア選手権ロードレース大会。

4月27日にエリート女子、U23女子のロードレースが行われた。タシケントの中心を1周半した後、そこからほぼ平坦のコースを走りラスト9kmが上りっぱなしの112.8kmのコースで、最後の上り区間で勝負が決まることが予想された。

日本チームはエリートには樫木祥子、牧瀬翼、金子広美、唐見実世子の4人が出走。また同時スタートながら別レースというスタイルでU23女子も行なわれ、梶原悠未が出走した。



この大会でのエリート女子優勝国にはUCIランキングでオリンピック枠が取れなかった場合には1枠与えられる。そのため優勝候補筆頭のオリンピック2大会連続のメダリストZABELINSKAYA Olgaを擁する地元ウズベキスタンが上り口まで集団コントロールすることが想定された。ZABELINSKAYAと日本の選手やほかの国の選手との力差は大きく、また展開で結果が左右するコースではないためより多くのUCIポイントを獲得できるよう一つでも上の順位に複数名入れることを狙った。

2つのカテゴリーが同時にレースを行なうということで、最大1チーム8人参加のチームもあり、通常のレースと異なり大人数のチームと少人数のチームでのレースとなった。

スタートしてすぐにカザフスタンと韓国が執拗にアタックをかけるが、カザフスタン以外は真剣に逃げる意思を感じず、どのアタックも10秒以上の差が広がらない。集団は予想通りウズベキスタンがコントロールして逃げをいかせない。日本チームは平坦区間で荒れた展開になる場合は梶原に平坦を任せる予定であったが力を使わずレースが進んでいく。レース中盤からはアタックするチームがベトナム、チャイニーズタイペイに変わるが、ウズベキスタンが余裕をもって30秒ほどの差でコントロールする。レースは予想通りラスト9kmの上りで決まることとなった。

上り区間は前半4kmほどの勾配がきつく、後半は勾配が緩くなる。上り始めてから500mもしないうちにZABELINSKAYAがペースを上げるとついていけたのは韓国のNAのみ。第2集団は中国2人、イランと樫木の4人となる。その後ろに牧瀬、唐見、金子、梶原らが他国のクライマーらと続く。

先頭では2kmもいかないうちにZABELINSKAYAが独走を開始する。中盤までが勾配がきつく、向かい風、横風も強く吹いていたがZABELINSKAYAは一気にタイム差を40秒以上に広げる。樫木を含む4人の集団もばらばらとなり、そこからイランが抜け出し、樫木が単独の4番手で登る。後半勾配が緩くなるところでまた一つになる可能性もあったが、各選手ほぼ同じペースで上りそのままの着順でゴールすることとなった。

アジア選手権は入賞選手にもポイントが高いため最後まで熾烈な着順争いが続き、エリート女子では牧瀬が6位、唐見が9位、金子が11位となった。レース前の予想通り昨年のナショナル選手権後にロシアから国籍替えを行なったZABELINSKAYAが圧勝した。オーバーペースにならないように登った樫木はイランの選手と3位争いをしたが、きつい勾配で離された差を埋められなかったが4位に入った。

U23に出走した梶原は勾配のきつい上り区間で苦戦を予想していたが、素晴らしい登坂力を見せてエリート女子でも8位の順位でゴールし、U23カテゴリーで優勝した。梶原はジュニアからロードトラックを含めて16個目のアジア選手権金メダル獲得となった

 

エリート女子ロード(112.8km)
1 ZABELINSKAYA Olga(ウズベキスタン)3時間 9分5秒
2 NA Ahreum (韓国)47秒差
3 YLAZDANI Somayeh(イラン)59秒差
4 樫木祥子(日本)1分16秒差

6 牧瀬翼(日本)1分43秒差
9 唐見実世子(日本)2分1秒差
11  金子広美(日本)2分25秒差

U23女子ロード(112.8km)
1 梶原悠未(日本)3時間11分6秒
2 NGUYEN Thi Thu Mai(ベトナム) 57秒差
3 SARKULOVA Alina(カザフスタン)  1分46秒差
 

男子エリート ロードレースは増田成幸が7位

アジア選手権ロードレース 男子エリート ロードレース 166.6km
1. GIDICH Yevgeniy(カザフスタン)4h03m21s
2. LYU Xianjing China(中国)+0s
3. FENG Chun Kai(チャイニーズタイペイ)+6s

7. 増田成幸+50s
27. 別府史之+5m12s、34小石祐馬+6m49s、48窪木一茂+18m23s
57人完走/62人出走
 

男子U23 ロードレースは松田祥位が11位

アジア選手権ロードレース 男子U23個人ロードレース 120km
1. GANJKHANLOU Mohammad (イラン)2h52m48s
2. FEDOROV Yevgeniy (カザフスタン)+0s
3. MARUKHIN Daniil (カザフスタン)+2s

12. 松田祥位
25. 大前翔+16s
37. 渡辺歩+9m04s
大町健斗は途中棄権
完走38人/出走52人
 

女子ジュニア ロードレースは岩元杏奈が2位

4月26日(金)午前にジュニア女子の個人ロードレースが行われた。コースはジュニア女子の個人タイムトライアルとほぼ同じ1周21.4kmの周回を3周する62.8kmで争われた。緩い500mほどの登り区間以外はほぼ平坦コースでスプリント勝負になることが予想された。日本チームからは岩元杏奈、内野艶和の2人が参加した。

たびたびカザフスタン、モンゴルが攻撃を仕掛けるが、すぐに集団は繋がりレースは全体にスローペースで進む。途中先導車のコースミスもあり距離が伸びる形になるが、岩元、内野は落ち着いて走る。

ラスト4kmの小高い丘から地元ウズベキスタンが独走して10秒ほどの差をつけるが、集団もペースをあげラスト1kmでは集団は一つになる。岩元と内野は連携がうまくとれずバラバラでのスプリントとなり、香港のLEE Sze Wingが切れのあるスプリントで優勝した。2位に岩元、3位に内野が入った。

優勝したLEE Sze Wingはスプリント力がある強い選手であるが、日本チームはゴール前の連携を2人でうまくとりながら位置取りしていれば勝つチャンスはあったので悔やまれる2位、3位となった。

ジュニア女子ロードレース 62.8km
1. LEE Sze Wing(香港) 2時間12分1秒
2. 岩元杏奈(日本)同タイム
3. 内野艶和(日本)同タイム
 

男子ジュニア ロードレースは川崎三織が6位

ジュニア男子のロードレースは女子と同じく1周21.4kmの周回を約5周する105.6kmで争われた。日本チームは津田悠義、山田拓海、寺田吉騎、川崎三織の4人が出走。例年カザフスタンが複数名で攻撃をしかけてくるため日本もチームでまとまって戦うことが求められる。選手間での意思疎通をレース中にしっかりとることを確認してスタートした。

スタートと同時にアタック合戦となり地元ウズベキスタンの2人が逃げる。カザフスタンがそれに反応して日本も4人全員が集団前方でまとまり対応していく。ウズベキスタンの2人の逃げが捕まった後にウズベキスタン、UAE、フィリピンの逃げが決まり最大1分差となる。このあたりから大粒の雨が降り始め、風も強く吹きそうな気配で集団は落ち着かない状況となるが、カザフスタンが横風の区間でまとまり集団をコントロールする。日本チームも4人でまとまりカザフスタンのすぐ後ろにつける。

45km地点で落車が起こるが日本選手は巻き込まれず、先頭3人との差を広げ過ぎないよう今度は日本チームがコントロールする。逃げていた3人を吸収した後に日本チームで攻撃をかけ続け、カザフスタンが後手を踏む展開となる。

アタック合戦のなかでタイ、寺田、ウズベキスタン2人の4人の逃げが決まる。集団はカザフスタンの追走を期待して動きが止まり一気にタイム差が広がる。焦ったカザフスタンはアタックで前を追いかける動きをするが日本も常に複数名入れて数的有利な状況を作り続ける。先頭集団で人数を増やすため集団がばらばらとなっていくなか、日本の3人は10名ほどに減った第2集団に残る。第2集団はカザフスタンが2人となり、先頭の4人を追いかけるのに大きな仕事をしなければならず、日本チームはラスト1周で非常に良い展開に持ち込む。

体調不良で個人TTの出走をキャンセルした津田は献身的な走りを見せていたが、ここで遅れる。第2集団もアタックがかかり続け、分裂と合体を繰り返しながら最終的には6人となり、そこには山田と川崎が残る。カザフスタンの2人が先頭4人を追い続け、タイム差が30秒となったラスト10kmで先頭集団でもアタックがかかりタイとウズベキスタンの2人が先行する。

先頭では寺田が遅れたため、日本チームがカザフスタンとともに追走しないといけない展開となる。ラスト5kmで20秒差の中、緩い登り坂で川崎がアタックしカザフスタンやタイの選手を連れて追走をかける。しかしペースが上がらずそのまま先頭2名は逃げ切り、最後は1人で抜けだしたタイのSOSALAM Tullatornが優勝した。川崎は3位争いのスプリントで6位となった。

アジア選手権 ジュニア男子ロード 105.6km
1. SOSALAM Tullatorn(タイ) 2時間31分6秒
2. RAKHIMBAEV Behzodbek(ウズベキスタン) 33秒差
3. SLAMZHANOV Orken(カザフスタン) 1分7秒差

6. 川崎三織(日本) 同タイム
9. 寺田吉騎(日本)2分21秒差
10.山田拓海(日本)同タイム
13. 津田悠義 5分17秒差
 

2019アジア選手権ロードレース大会

大会期間:2019年4月23日(火)から4月28日(日)
開催場所:ウズベキスタン・タシュケント


日本代表選手団
監 督:浅田 顕(選手強化コーチ)
コーチ:柿木 孝之(選手強化コーチ)

<エリート> 9人
別府 史之(JPCA Trek-Segafredo)
増田 成幸(栃木 宇都宮ブリッツェン)
窪木 一茂(福島 TEAM BRIDGESTONE Cycling)
小石 祐馬(京都 TEAM UKYO)
牧瀬 翼(佐賀 IKEUCHI EXIT)
樫木 祥子(東京 株式会社オーエンス)
金子 広美(三重 イナーメ信濃山形)
唐見実世子(茨城 弱虫ペダルサイクリングチーム)
上野みなみ(鹿児島 CIEL BLEU KANOYA)

<U23> 5人
松田 祥位(岐阜 EQADS)
大前  翔(神奈川 愛三工業レーシング)
渡辺  歩(福島 Les Sables Vendée Cyclisme-Cube)
大町 健斗(広島 チームユーラシア・IRCタイヤ)
梶原 悠未(茨城 筑波大学)

<ジュニア> 6人
津田 悠義(愛知 愛知県立三好高校)
山田 拓海(長野 長野県飯田風越高等学校)
寺田 吉騎(静岡 静岡県立磐田北高等学校)
川崎 三織(埼玉 栄北高等学校)
岩元 杏奈(宮崎 日本体育大学)
内野 艶和(福岡 祐誠高等学校)戻る

【text&photo:日本自転車競技連盟