ブエルタ・ア・エスパーニャ2019第6ステージはエラダが区間初優勝/トゥーンスが総合首位

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ブエルタ・ア・エスパーニャ2019第6ステージはエラダが区間初優勝/トゥーンスが総合首位

(photo : Unipublic / Luis Ángel Gómez)

スペインで開催中の第74回ブエルタ・ア・エスパーニャ(UCIワールドツアー)は、2019年8月29日にモラ・デ・ルビエロスからアレス・デル・マエストラトまでの198.9kmでカテゴリー3頂上ゴールの第6ステージを競い、地元スペインのヘスス・エラダ(コフィディス)とベルギーのディラン・トゥーンス(バーレーン・メリダ)が逃げ切り、エラダがゴール勝負を制して区間初優勝を果たした。

トゥーンスは区間初優勝こそ逃したが、総合首位に立って真紅のラ・ロハを獲得することができた。

第6ステージは中盤の105km地点で大きな落車事故が発生し、コロンビアのリゴベルト・ウランと英国のヒュー・カーシー(EFエデュケーションファースト)、スペインのビクトル・デラパルテ(CCCチーム)がリタイアした。この落車には前日まで総合首位で真紅のラ・ロハを着ていたアイルランドのニコラ・ロッシュ(チームサンウェブ)も巻き込まれた。彼は一度レースに復帰し、メディカルカーで治療も受けたが、数km先でリタイアした。

ブエルタ・ア・エスパーニャ2019第6ステージはエラダが区間初優勝/トゥーンスが総合首位

(©Bettiniphoto)

11人の逃げが決まった

ブエルタ・ア・エスパーニャ2019第6ステージはエラダが区間初優勝/トゥーンスが総合首位

第6ステージのコースプロフィール(MAP : UNIPUBLIC)

第6ステージは173選手が出走。スタートからアタックが続いたが、逃げはなかなか決まらなかった。この日最初のカテゴリー2の上り坂でウァウテル・プールス(チームイネオス)がアタックし、21km地点の山頂を単独で通過した。

下りで数名の選手が追いついたが、プールスはすぐにまた1人になり、36.5km地点のカテゴリー3の丘のトップも先頭で通過した。しかし、彼は41km地点で集団に捕まった。

そこからカウンターで11選手が集団から逃げ出し、そこにエラダとトゥーンスも加わっていた。11人の中で最も総合が上位だったのはダビ・デラクルス(チームイネオス)で、4分35秒遅れの23位だった。次がトゥーンスで、4分43秒遅れの25位だった。逃げは100km地点で2分半のタイム差を付けていた。

集団では105km地点で大きな落車事故があり、ウラン、カーシー、デラパルテ、ロッシュがリタイアした。139km地点のスプリント地点はデラクルスが先頭で通過した。

ゴールまで残り40kmで、11人はアスタナプロチームがコントロールする集団に4分差を付けて逃げ続けた。残り30kmを切り、カテゴリー3の上り坂がスタートすると、先頭の逃げからツガブ・グルマイ(ミッチェルトン・スコット)がアタックして先行した。

追走グループでは、ティージェイ・ヴァンガードレン(EFエデュケーションファースト)がコースアウトして転倒するアクシデントが発生。彼はレースを続行することができたが、最下位でゴールした。

ゴールまで残り20kmで、グルマイにネルソン・オリヴェイラ(モビスターチーム)が追いつき、先頭は2人になった。しかし、残り8kmのプエルト・デ・アレス山のふもとで追走とのタイム差はたった34秒しかなかった。集団はその時点で6分近く遅れていた。

ゴールまで残り4kmで、追走グループからブルーノ・アルミライユ(グルパマ・FDJ)がアタックしたのをきっかけに、エラダとトゥーンスが抜け出し、残り3kmで先頭の2人に追いついた。しかし、グルマイとオリヴェイラには、2人に付き従う力は残っていなかった。

総合で上回っていたデラクルスとのタイム差を広げたいトゥーンスは先頭を引き続け、ゴールまで残り300mでエラダがスパートした時には、もう追いかける足は残っていなかった。エラダはそのまま独走でフィニッシュラインを通過し、29歳でブエルタ区間初優勝を勝ち取った。兄のホセも前日逃げ切ったが、区間3位でレースを終えていた。

6分近く遅れていた集団では、この日新人賞総合2位で白いリーダージャージを着ていたタデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ)がゴール手前でアタックし、2秒先行してゴールした。

■区間初優勝したヘスス・エラダのコメント
「リベンジではない。ただ、新しいチャンスがあったんだ。このステージはスタートと最後の上りをとてもよく知っていたから狙っていた。この勝利は昨日もう少しで勝てた兄のためだ。このステージに来ていた家族とパートナーの為でもある。そしてもちろん、チームの為だ。

逃げ出すのは大変だった。ステージの中盤で、ボクたちはそれができるのかわからなかった。トゥーンスが加速した時、ボクは彼の後輪にぴったり付いて行って、スプリントのエネルギーを貯めていた。それで勝てたんだ。区間優勝することも、リーダージャージを着ることも、どちらも素晴らしい。でも、この勝利はボクにとって、グランツールで初優勝するという今年の目標だつた。そしてボクは狙ったステージで勝てたんだ」

■総合首位に立ったトゥーンスのコメント
「ボクはブエルタに来る前からこの赤いジャージが念頭にあった。今日ボクは区間の為に走り、最後の上りでは残り4kmをエンジン全開で走った。区間も勝てればより良かっただろうが、ラ・ロハに満足しているよ。自分に付いてきた選手がとても強かったのは不運だったし、最後の300mでスプリントする脚はもうなかった。このジャージをどうやって守れるかを見なければならない。明日はとてもハードで最後の上りはキツい。総合を争う選手たちが本当に強いのは昨日見たよ」

■ラ・ロハを失ったロペスのコメント
「(チームの)ボスたちはラ・ロハを失う方が良いと決断した。我々は日々積み重ねていく。明日は素晴らしいゴールで、日曜日はもっと良い。このブエルタではまだたくさんのことを起きるし、ボクたちは調子が良い。それが一番重要なんだ。

ポガチャルのアタックはとても厳しかった。彼はとても若い選手で、とても才能があり、このレースで成長している。彼はとても調子がいいみたいだから、素晴らしいブエルタにすると思う。彼はすでに見せたようにとても強いから、我々が注意しなければならないライバルだ」

ブエルタ・ア・エスパーニャ2019第6ステージはエラダが区間初優勝/トゥーンスが総合首位

(photo : Unipublic / Luis Ángel Gómez)

ブエルタ・ア・エスパーニャ2019第6ステージはエラダが区間初優勝/トゥーンスが総合首位

(photo : Unipublic / Luis Ángel Gómez)

■第6ステージ結果[8月29日/モラ・デ・ルビエロス~アレス・デル・マエストラト/198.9km]
1. JESUS HERRADA (COFIDIS, SOLUTIONS CREDITS / ESP) 04H 43′ 55”
2. DYLAN TEUNS (BAHRAIN – MERIDA / BEL) + 07”
3. DORIAN GODON (AG2R LA MONDIALE / FRA) + 21”
4. ROBERT GESINK (TEAM JUMBO – VISMA / NED) + 21”
5. BRUNO ARMIRAIL (GROUPAMA – FDJ / FRA) + 21”    
6. PAWEL POLJANSKI (BORA – HANSGROHE / POL) + 39”
7. NELSON OLIVEIRA (MOVISTAR TEAM /POR) + 39”
8. GIANLUCA BRAMBILLA (TREK – SEGAFREDO / ITA) + 47”
9. DAVID DE LA CRUZ MELGAREJO (TEAM INEOS / ESP)  + 50”
10. TSGABU GEBREMARYAM GRMAY (MITCHELTON – SCOTT / ERI) + 02′ 35”

11. TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO) + 05′ 42”
14. MIGUEL ANGEL LOPEZ MORENO (ASTANA PRO TEAM / COL) + 05′ 44’’
161. YUKIYA ARASHIRO (BAHRAIN – MERIDA / JPN) + 22’ 52’’

■第6ステージまでの総合成績(ラ・ロハ)
1. DYLAN TEUNS (BAHRAIN – MERIDA / BEL) 23H 44′ 00”
2. DAVID DE LA CRUZ MELGAREJO (TEAM INEOS / ESP) + 38’’
3. MIGUEL ANGEL LOPEZ MORENO (ASTANA PRO TEAM / COL) + 01’ 00’’
4. PRIMOŽ ROGLIC (TEAM JUMBO – VISMA / SLO) + 01’14’’
5. NAIRO QUINTANA (MOVISTAR TEAM / COL) + 01’23’’
6. ROBERT GESINK (TEAM JUMBO – VISMA / NED) + 01’23’’
7. ALEJANDRO VALVERDE (MOVISTAR TEAM / ESP) + 01’28’’
8. JHOAN ESTEBAN CHAVES RUBIO (MITCHELTON – SCOTT / COL) + 02’ 17’’
9. RAFAL MAJKA (BORA – HANSGROHE / POL) + 02’18’’
10. TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO) + 02’ 47’’
121. YUKIYA ARASHIRO (BAHRAIN – MERIDA / JPN) + 39’ 52’’

[各賞]
■ポイント賞 : SAM BENNETT (BORA – HANSGROHE / IRL)
■山岳賞 : ANGEL MADRAZO RUIZ (BURGOS BH / ESP)
■新人賞 : MIGUEL ANGEL LOPEZ MORENO (ASTANA PRO TEAM / COL) 
■チーム成績 : MOVISTAR TEAM
■敢闘賞 : JESUS HERRADA (COFIDIS, SOLUTIONS CREDITS / ESP) 

ブエルタ公式サイト

第7ステージは今年最初の山岳区間

8月30日はオンダをスタートし、標高985mでカテゴリー1のマス・デ・ラ・コスタ山頂にゴールする183.2kmの第7ステージが行われる。主催者は第5ステージと第6ステージを丘越え区間として設定している為、このステージが今大会最初の山岳区間になる。

コースは序盤が平坦だが、74km地点から峠越えが始まり、カテゴリー2とカテゴリー3の峠を4カ所越えた後、カテゴリー1のマス・デ・ラ・コスタ山に挑む。最後の坂はたった4.1kmしかないが、平均勾配は12.3%で、最後の数100mが急峻だ。

ブエルタ・ア・エスパーニャ2019第6ステージはエラダが区間初優勝/トゥーンスが総合首位

第7ステージのコースプロフィール(MAP : UNIPUBLIC)

ブエルタ・ア・エスパーニャ2019第6ステージはエラダが区間初優勝/トゥーンスが総合首位

マス・デ・ラ・コスタ山(MAP : UNIPUBLIC)

第6ステージのハイライト映像

ciclissimo no61 ツール・ド・フランス 21日間の神話