ジャイアント初のエアロロード「プロペル」を発表
ジャイアントが初となるエアロロード「プロペル」シリーズの発売を発表した。開発に際し同社ではF1のボディデザインなどの実績を持つフランスのACE社を新たにパートナーとして迎え、実際の走行環境に近づける独自の”動的マネキン”を開発するなど、空力性能を徹底的に研究。さらにプロチームのラボバンク(現ベルキン)による実戦テストを行ない、その結果をふまえて、じつに88回におよぶ形状変更、2年以上に渡る開発期間を経て誕生したバイクだ。
最高の空力を求めた結果、フレーム形状はジャイアントのシンボルであるスローピング形状をあえて捨て、ホリゾンタル形状を採用している。ブレーキはフレームのラインに溶け込むような独自形状の小型Vブレーキを開発。さらにウォーターボトルを装備した状態で最高の空力を発揮する実戦的な形状設計、オリジナルのハンドルやホイールも同時に開発するなど、完成車としての総合的な空力性能を追求している。
これらの結果、時速40km、ヨー角10度の風を受けて走行した場合、競合他社の代表的な車種よりも、最大でパワーを14.5W抑えることができるという。
プロペルシリーズは空力性能もさることながらその軽さも特筆すべき点だ。フロントまわりの高剛性を実現するため、上側に1-1/4インチ径、下側に1-1/2インチ径のヘッドセットベアリングを採用した、独自の大径ステアリングコラム「オーバードライブ」。BB部はPF86対応の「パワーコア」を構造によって大きな断面積が確保され、エアロロードにありがちなねじれ剛性の低下を抑えつつ軽量化が追求される。
フレーム重量では1090g(プロペルアドバンスドSL Mサイズ)だが、フォークやブレーキなどフレームモジュールとしての重量比較では、ライバルメーカーに対し、93~406g軽量に仕上げられている。
ラインナップは、カーボン素材に東レのT800を採用し、ISP構造を搭載した「プロペルアドヴァンスドSL」(写真中)の完成車が4機種(冒頭の写真は旗艦機のプロペルアドヴァンスドSL0)、フレームセットを1機種展開。
その下には素材を東レT700に変更し、分割式のシート構造とした「プロペルアドヴァンスド」(写真上)が完成車で3機種、フレーム1機種を用意する。さらにプロペルのエアロコンセプトを女性用に適正化した「エンヴィ」(写真下)も2機種投入され、充実のエアロロードラインナップとなっている。
●ライター吉本司のファーストインプレッション
試乗はトップグレードの下に位置する「プロペルアドヴァンスドSL1」で行なった。パリッとした軽いペダリングフィールで加速が気持ちいいバイクだ。上りでの走りも軽く、最新のオーソドックスなハイエンドレースバイクと比べても不満を覚えることはないだろう。平坦路の高速巡航や下りは、高速域になるほどに明らかに空気の抜けの良さがあり、エアロロードとしての魅力を存分に楽しめる。ブレーキ性能はVタイプ構造にありがちな前後のしなりによって、コンポメーカーのサイドプル式と比べると制動力は劣るものの実用レベルにはある。上位機種に装備されるカーボン製よりも、下位グレードのアルミ製の方がカッチリしたレバータッチと制動力で、個人的にはこちらの方が好みだった。
問・ジャイアント http://www.giant.co.jp/giant13/