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【Tour速報】ツール・ド・フランス第4ステージはマルティンがアタックを決めて区間優勝しマイヨ・ジョーヌ獲得!

レース

第102回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月7日にベルギーのスランをスタートし、国境を越えてフランスに入り、カンブレまでの223.5kmで今年最長距離の第4ステージを競った。“ミニ・パリ~ルーベ”と呼ばれる石畳区間を制したのは、ドイツのトニー・マルティン(エティックス・クイックステップ)だった。

総合でマイヨ・ジョーヌのクリストファー・フルーム(チームスカイ)とたった1秒差だったマルティンは、途中後輪のパンクに見舞われて遅れたが、チームメートのマッテーオ・トレンティンの自転車を借りて先頭集団に復帰した。

彼はトレンティンの自転車に乗ったまま、ゴールまで残り3.4kmから得意のTTアタックを決め、集団に3秒差を付けて独走で区間優勝し、やっとマイヨ・ジョーヌを獲得することができた。
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第4ステージは191人が出走。前日の落車で負傷したファビアン・カンチェッラーラ(トレック)、ダリル・インピー(オリカ・グリーンエッジ)、アンドレアス・シリンガー(ボーラ・アルゴン18)が出走しなかった。スタートのスランでは、ベルギーのフィリップ国王がスタートのテープカットを行った。

オフィシャルスタートとともにアタックしたのはトーマス・ドヘント(ロット・ソウダル)で、リューウェ・ウエストラ(アスタナ)、ペリッグ・ケムヌー(ヨーロッパカー)、フレデリク・ブラン(ブルターニュ・セシェアンビロンマン)が合流した。ウエストラは昨年の石畳ステージでも最初の逃げに入っていた。

37km地点で4人と集団のタイム差は9分を越え、ジャイアント・アルペシンが集団を引き始めた。最初の1時間の平均時速は40.9km/h。この日唯一の山岳ポイントだったナミュール砦の丘(カテゴリー4)をドヘントが先頭で通過したとき、タイム差は8分を切っていた。

最初の石畳セクションが近づき、チームスカイが集団を加速させると脱落する選手が出始めた。前日の落車で肋骨を痛めたマイケル・マシューズ(オリカ・グリーンエッジ)もその一人だった。しかし、集団はすぐ1つに戻った。

103.5km地点にあった最初のナンバー7の石畳で、逃げる4人と集団のタイム差は1分25秒にまで縮まっていたが、その後はふたたび差が開き始めた。ゴールまで残り83kmで、ツール一行はベルギーからフランスに入った。

北フランスは小雨がぱらつく天気だったが、石畳は十分に乾いていた。ゴールまで残り46kmで、ナンバー6の石畳に突入したとき、逃げと集団のタイム差は22秒にまで縮まっていた。

そこからゴールまでは、パリ~ルーベで使用される石畳セクション6ヶ所通過しなければならないコースだった。石畳ではBMCやロトNL・ユンボのクラシック・スペシャリストたちが先頭を引き、集団はバラバラになった。逃げは残り40kmで集団に吸収された。

ゴールまで35kmを切り、石畳セクションを3つ残したところで先頭の集団は40人ほどに絞られていたが、総合を争う主要な選手たちは全員そこにとどまっていた。ピエール・ロラン(ヨーロッパカー)はここで遅れてしまい、チームメートたちが必死で追走したが、先頭集団には最後まで追いつけなかった。

ゴールまで残り27kmを切ったところで、先頭集団の右側を走っていたマイヨ・ジョーヌのフルームが、無理に前に出ようとしてバランスを崩す危ない場面があったが、幸い落車はしなかった。彼は昨年の石畳区間で落車し、ツールを棄権していた。

最後から2番目の石畳に入ったところで、昨年総合3位だったティボー・ピノ(FDJ)がメカニカル・トラブルに見舞われてしまった。ゴールまではまだ21kmもあった。彼は自転車の交換に手間取り、先頭集団から大きく遅れてしまった。

この日、FDJのチームカーの車列番号は皮肉にも13番目で、ピノはその到着を長く待たなければならなかった。しかも彼の場合は、自転車を貸してくれると申し出たチームメートが、彼よりもずっと長身の選手だった。
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時を同じくして、マルティンも後輪のパンクに見舞われたが、彼はチームメートのトレンティから自転車を借りてレースに復帰する方法を選択した。レース終盤に入って集団はスピードを上げていたが、マルティンはチームメートたちに引かれて残り16kmで戻ることができした。

最後の石畳セクションが始まり、ゴールまで残り12kmで集団の先頭からビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ)がアタックしたが、昨年のようにライバルたちを出し抜くことばできなかった。しかし、このアタックで集団はバラバラになり、最後の石畳を抜けた時に先頭は8人になっていた。

そのメンバーはニーバリ、フルーム、ゲラント・トーマス(チームスカイ)、ジョン・デゲンコルプ(ジャイアント・アルペシン)、ティージェイ・バンガルデレンとグレッグ・バンアーベルマート(BMC)、アレハンドロ・バルベルデ(モビスター)、ズデネク・シュティバル(エティックス・クイックステップ)で、アルベルト・コンタドール(ティンコフ・サクソ)の姿はなかった。

ここでコンタドールに差を付けたいマイヨ・ジョーヌのフルームが先頭を必死に引いたが、さすがにティンコフ・サクソ勢がそれを許しはしなかった。残り8kmを切ったところで8人は追いつかれ、先頭集団はふたたび40人ほどになっていた。

集団の先頭はトーマスが引き、ゴールのカンブレを目指した。そして残り3.4kmで、満を持してマルティンがアタックしたのだが、それを追う者は誰もいなかった。彼は残り2km地点で集団に7秒差を付け、個人タイムトライアルを続けていた。

集団はジャイアント・アルペシンが引いていたが、マルティンとの差が縮まる気配はなかった。彼はそのまま集団から逃げ切り、右手の拳を何度も突き上げてフィニッシュラインを通過した。

メカニカル・トラブルで遅れたピノは、結局3分23秒後にゴール。総合争いからは大きく後退してしまった。

ゴール後、コンタドールは壊れた車輪で最後の25kmを走り続けたことを明かしている。

■区間優勝してマイヨ・ジョーヌを獲得したマルティンのコメント「この3日間不運続きで、今日も終盤パンクに見舞われたけど、そんな出来事のあとでマイヨ・ジョーヌを取れたのはとても素晴らしい話で、ボクはスーパーハッピーだよ」

「パンクのあと、トレンティンがすぐに自転車をボクにくれたけれど、自分の自転車ではないから集中しなければならなかった。ブレーキをかけるのが難しかったし、追走でたくさんのエネルギーも使ってしまった。でもミハウ・ゴワシュが先頭集団にボクを戻すために素晴らしい働きをしてくれたんだ」

「今朝、トム・ボーネンが石畳について話すために電話をくれたし、エディ・メルクスがスタートでボクにやる気をくれた。でも、区間優勝してマイヨ・ジョーヌが取れたなんてまったく驚きだった。とくにパンクの後だったからね」

「集団のみんなはボクが限界だと思い、実際そうだった。誰もあんな早いアタックは予想していなかったし、みんな疲れきっていた。あれはボクにとって、アタックする的確な瞬間だったんだ」

「今、ボクの目標は最初の休養日までマイヨ・ジョーヌをキープすることだ。いくつか厳しいゴールがあるけれど、普通ならボクは先頭グループにとどまれるにちがいない。そしてボクたちは(休養日前の)チームTTでは優勝候補だからね」


7月8日はアラスからアミアン・メトロポールまでの189.5kmで、山岳ポイントがない第5ステージが行われる。(MAP:ASO)
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■第4ステージ結果[7月7日/スラン(ベルギー)~カンブレ/223.5km]
1 トニー・マルティン(エティックス・クイックステップ/ドイツ)5時間28分58秒
2 ジョン・デゲンコルプ(ジャイアント・アルペシン/ドイツ)+3秒
3 ペーテル・サガン(ティンコフ・サクソ/スロバキア)+3秒
4 グレッグ・バンアーベルマート(BMC/ベルギー)+3秒
5 エドワルド・ボアソンハーゲン(MTN・クベカ/ノルウエー)+3秒
6 ナセル・ブアニ(コフィディス/フランス)+3秒
7 ヤコポ・グァルニエーリ(カチューシャ/イタリア)+3秒
8 トニ・ガロパン(ロット・ソウダル/フランス)+3秒
9 ズデネク・シュティバル(エティックス・クイックステップ/チェコ)+3秒
10 ブライアン・コカール(ヨーロッパカー/フランス)+3秒
11 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター/スペイン)+3秒
13 リゴベルト・ウラン(エティックス・クイックステップ/コロンビア)+3秒
15 ビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ/イタリア)+3秒
17 クリストファー・フルーム(チームスカイ/英国)+3秒
19 アルベルト・コンタドール(ティンコフ・サクソ/スペイン)+3秒
20 ホアキン・ロドリゲス(カチューシャ/スペイン)+3秒
23 ナイロ・キンタナ(モビスター/コロンビア)+3秒
24 ティージェイ・バンガルデレン(BMC/米国)+3秒
68 ティボー・ピノ(FDJ/フランス)+3分23秒
■第4ステージまでの総合成績
1 トニー・マルティン(エティックス・クイックステップ/ドイツ)12時間40分26秒
2 クリストファー・フルーム(チームスカイ/英国)+12秒
3 ティージェイ・バンガルデレン(BMC/米国)+25秒
4 トニ・ガロパン(ロット・ソウダル/フランス)+38秒
5 ペーテル・サガン(ティンコフ・サクソ/スロバキア)+39秒
6 グレッグ・バンアーベルマート(BMC/ベルギー)+40秒
7 リゴベルト・ウラン(エティックス・クイックステップ/コロンビア)+46秒
8 アルベルト・コンタドール(ティンコフ・サクソ/スペイン)+48秒
9 ゲラント・トーマス(チームスカイ/英国)+1分15秒
10 ズデネク・シュティバル(エティックス・クイックステップ/チェコ)+1分16秒
13 ビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ/イタリア)+1分50秒
16 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター/スペイン)+2分03秒
17 ナイロ・キンタナ(モビスター/コロンビア)+2分08秒
18 ホアキン・ロドリゲス(カチューシャ/スペイン)+2分12秒
30 ティボー・ピノ(FDJ/フランス)+6分30秒
[各賞]
■ポイント賞(マイヨ・ベール):アンドレ・グライペル(ロット・ソウダル/ドイツ)
■山岳賞(マイヨ・アポワ):ホアキン・ロドリゲス(カチューシャ/スペイン)
■新人賞(マイヨ・ブラン):ペーテル・サガン(ティンコフ・サクソ/スロバキア)
■チーム成績(黄ゼッケン):BMCレーシングチーム(米国)
■敢闘賞(赤ゼッケン):ビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ/イタリア)
(http://www.letour.fr/le-tour/2015/fr/)


Summary - Stage 4 (Seraing > Cambrai) - Tour de... 投稿者 tourdefrance_en