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【Tour速報】ツール・ド・フランス第20ステージ、ラルプ・デュエズでピノー優勝!マイヨ・ジョーヌはフルーム

レース

第102回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月25日にモダーヌ・バルフレージュをスタートしてアルプ・デュエズ頂上にゴールする110.5kmの第20ステージを競い、地元フランスのティボ・ピノー(FDJ)が逃げ切って区間優勝した。

区間2位にはナイロ・キンタナ(モビスター)が18秒遅れで入った。マイヨ・ジョーヌのクリストファー・フルーム(チームスカイ)は1分38秒遅れてゴールしたが、総合首位の座は揺るがなかった。

7月26日はいよいよパリに到着。セーブル(グラン・パリ・セーヌ・ウエスト)からパリ・シャンゼリゼまでの109.5kmで最終区間の第21ステージが行なわれる。
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アルプス山岳最終日の第20ステージは160選手が出走。スタートとともに地元フランスのアレクサンドル・ジュニエズ(FDJ)が集団からアタックした。彼にラムナス・ナバルダウスカス(キャノンデール・ガーミン)、ニコラ・エデ(コフィディス)、ラルス・バク(ロット・ソウダル)が合流し、20km地点で集団に4分差を付けていた。

29kmつづくクロワ・ド・フェール峠のふもとで、その差は6分40秒にまで開いていた。メイン集団ではクロワ・ド・フェール峠の登坂が始まった時に、6人が飛び出して先頭の4人を追いかけた。集団はAG2Rが引いていた。

追走グループで生き残ったのはラファウ・マイカ(ティンコフ・サクソ)、ルベン・プラサ(ランプレ・メリダ)、ウイネル・アナコナ(モビスター)だった。ここにロマン・シカール(ヨーロッパカー)が合流したが、マイカが加速するとアナコナだけが付いて行った。しかし、この追走グループは山頂まで12kmでメイン集団に吸収された。

クロワ・ド・フェール峠の山頂まで残り6kmで先頭の4人からジュニエズがアタックし、独走を開始した。彼は山頂まで残り3kmでマイヨ・ジョーヌ集団に3分40秒差を付けていた。

マイヨ・ジョーヌ集団からはピノーやゲラント・トーマス(チームスカイ)が脱落していた。山頂まで残り10km地点でアレハンドロ・バルベルデ(モビスター)がアタックし、数10秒差を付けて先行した。さらにキンタナもアタックしたが、マイヨ・ジョーヌのフルームにはすでにリッチー・ポート(チームスカイ)しかアシストがいなかった。

56km地点のクロワ・ド・フェール峠山頂をジェニエズは後続に50秒差を付けて単独で通過。キンタナとバルベルデは2分20秒遅れ、ビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ)と一緒に山頂を通過したフルームはキンタナたちに15秒遅れていた。

クロワ・ド・フェール峠の下りで、フルームの集団はキンタナとバルベルデを吸収した。遅れていたピノーもここでマイヨ・ジョーヌ集団に合流した。さらにピノーは下りでアナコナ、プラサ、ライダー・ヘシェダール(キャノンデール・ガーミン)とともにアタック。ピエール・ロラン(ヨーロッパカー)とホセ・セルパ(ランプレ・メリダ)も合流した。

ゴールまで残り26km地点で先頭はジェニエズ、1分40秒遅れでバクとエデ、3分10秒遅れでピノーのグループ、そして4分遅れでマイヨ・ジョーヌ集団が続いていた。残り20kmでバクとエデはピノーのグループに捕まった。

ラルプ・デュエズへの玄関口であるブール・ドワザンに設定されていた中間スプリントポイントで、ジェニエズは追走グループに1分50秒差を付け、マイヨ・ジョーヌ集団は3分50秒遅れ。

マイヨ・ジョーヌ集団ではラルプ・デュエズのふもとでニーバリがパンクに見舞われてしまった。彼は自転車を交換するために停まり、ライバルたちから後れを取った。この不運で表彰台を目指すニーバリの野望は打ち砕かれてしまった。

一方、マイヨ・ジョーヌ集団ではラルプ・デュエズの登坂がスタートすると、キンタナがふたたび攻撃を開始したが、フルームはウォートル・プールス(チームスカイ)とポートに守られていた。

先頭のジェニエズにはゴールまで残り9kmでチームメートのピノーが合流。ヘシェダールも追いつき、逃げは一時3人になったが、役目を終えたかのようにジェニエズはすぐに脱落した。ヘシェダールのアタックに耐えたピノーは残り5.7kmから先頭に立ち、熱狂的な観客の波の間を駆け上がり、ゴールを目指した。

マイヨ・ジョーヌ集団では、すでにチームスカイが制御力を失っていた。彼らはここでもバルベルデとキンタナのアタックを許してしまったのだ。しかし、フルームにはまだ総合成績で十分なタイム差があった。

ゴールまで残り8kmで、バルベルデはキンタナのスピードに付いて行けず脱落。キンタナは先行していたアナコナをアシストにしてラルプ・デュエズを上り続けた。ピノーが残り5kmで独走を開始した時、キンタナは1分後方に迫っていた。

フラム・ルージュを通過した時、先頭のピノーとキンタナのタイム差は21秒しかなかったが、キンタナの目標は区間優勝ではなく、マイヨ・ジョーヌのフルームに少しでも多くの差を付けることだった。ピノーは辛くも逃げ切り、2012年につづいて2度目の区間優勝をラルプ・デュエズで勝ち取った。

その後方では、ポートの護衛も失ったマイヨ・ジョーヌのフルームがバルベルデとともにゴールを目指していた。フルームはここでキンタナに1分20秒遅れていたが、それでもまだ1分以上のタイム差を付けたまま、マイヨ・ジョーヌを着て2年ぶりでパリへと凱旋できることになった。


混戦の山岳賞争いは、アルプス最終日で32ポイントを獲得したフルームが119ポイントで首位を獲得。108ポイントのキンタナが2位になった。マイヨ・アポワを着てラルプ・デュエズを上ったロマン・バルデ(AG2R)はこの日1ポイントも稼ぐことはできず、総合3位になった。しかし、フルームはマイヨ・ジョーヌ、キンタナはマイヨ・ブランを着用するため、バルデはパリへと到着する最終日にもマイヨ・アポワを着られる。

ラルプ・デュエズのふもとで総合4位のニーバリが遅れたおかげで、スペインのバルベルデは山岳最終日に総合3位の座を脅かされずにすんだ。彼は35歳にして初めてパリの表彰台へ上がる。


■ラルプ・デュエズを制したピノーのコメント「ラルプ・デュエズを上がる時の雰囲気は感動的だった。オランダ人コーナーでヘシェダールを蹴落としたから、観客に後押しされたんだ。最高の気分だった。今年のツールでは厳しい時を過ごしたけれど、僕はけっしてあきらめなかった」

「僕のやる気はボネがひどい落車をしたあとに落ちこんだ。病気になり、石畳ではメカトラに遭った。不運はスポーツの一面で、落車とパンクは自転車競技の一面だ。それは自転車競技を美しいものにする」

「それでも、FDJチームの雰囲気はすばらしいままだった。僕にはそういう環境が必要で、最後まで闘うことができた。チームメートも最後まであきらめなかった」

「だから今日、ジュニエズはスタートの合図から飛び出し、僕が合流するまですばらしい仕事をしてくれたんだ。目標は悔いを残さずにパリへ到着することで、それは達成された。待っていた甲斐があったよ」(MAP: ASO)
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■第20ステージ結果[7月25日/モダーヌ・バルフレージュ~アルプ・デュエズ/110.5km]
1 ティボ・ピノー(FDJ/フランス)3時間17分21秒
2 ナイロ・キンタナ(モビスター/コロンビア)+18秒
3 ライダー・ヘシェダール(キャノンデール・ガーミン/カナダ)+41秒
4 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター/スペイン)+1分38秒
5 クリストファー・フルーム(チームスカイ/英国)+1分38秒
6 ピエール・ロラン(ヨーロッパカー/フランス)+1分41秒
7 リッチー・ポート(チームスカイ/オーストラリア)+2分11秒
8 ウイネル・アナコナ(モビスター/コロンビア)+2分32秒
9 ウォートル・プールス(チームスカイ/オランダ)+2分50秒
10 ルベン・プラサ(ランプレ・メリダ/スペイン)+2分50秒
■第20ステージまでの総合成績
1 クリストファー・フルーム(チームスカイ/英国)81時間56分33秒
2 ナイロ・キンタナ(モビスター/コロンビア)+1分12秒
3 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター/スペイン)+5分25秒
4 ビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ/イタリア)+8分36秒
5 アルベルト・コンタドール(ティンコフ・サクソ/スペイン)+9分48秒
6 ロベルト・ヘーシンク(ロトNL・ユンボ/オランダ)+10分47秒
7 バウケ・モレマ(トレック/オランダ)+15分14秒
8 マティアス・フランク(IAM/スイス)+15分39秒
9 ロマン・バルデ(AG2R/フランス)+16分00秒
10 ピエール・ロラン(ヨーロッパカー/フランス)+17分30秒
[各賞]
■ポイント賞(マイヨ・ベール):ペーテル・サガン(ティンコフ・サクソ/スロバキア)
■山岳賞(マイヨ・アポワ):クリストファー・フルーム(チームスカイ/英国)
■新人賞(マイヨ・ブラン):ナイロ・キンタナ(モビスター/コロンビア)
■チーム成績(黄ゼッケン):モビスターチーム(スペイン)
■敢闘賞(赤ゼッケン):アレクサンドル・ジュニエズ(FDJ/フランス)
(http://www.letour.fr/le-tour/2015/fr/)
 


Summary - Stage 20 (Modane Valfréjus > Alpe d... 投稿者 tourdefrance_en