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【Tour速報】ツール・ド・フランス第10ステージ、ピレネー山岳初日の頂上ゴールでフルームが圧勝!

レース

第102回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、休養日明けの7月14日にタルブからカテゴリー超級のラ・ピエール・サン・マルタンまでの167kmで頂上ゴールの第10ステージを競い、マイヨ・ジョーヌを着た英国のクリストファー・フルーム(チームスカイ)が残り6.4kmでアタック。そのまま独走でゴールし、ピレネー山岳初日で総合を争うライバルたちに大差を付けた。
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第10ステージは183選手が出走。休養日の検査で精巣ガンと診断されたイタリアのイバン・バッソ(ティンコフ・サクソ)と、発熱でレースが続けられなくなったオランダのラルス・ボーム(アスタナ)がスタートしなかった。

ボームは開幕前の血液検査でコルチゾール値が正常よりも低かったのだが、アスタナチームはMPCCのルールに違反して彼を出場させていた。

7月14日は革命記念日で、フルームはルコック社のロゴにフランス国旗のトリコロールカラーが入った特別なマイヨ・ジョーヌを着ていた。

7.5km地点で最初にアタックしたのは地元フランスのピエリック・フェドリゴ(ブルターニュ・セシェアンビロンマン)だった。彼はすでにツールで区間4勝しているが、栄誉ある革命記念日の勝利はまだなかった。

45km地点で先頭のフェドリゴにベルギーのケネット・バンビルゼン(コフィディス)が合流。集団とのタイム差は11分20秒だった。晴天に恵まれ、最初の1時間の平均時速は45.6kmという高速レースだった。

2人は75.5km地点の補給地点で、モビスターチームがコントロールする集団に13分55秒のタイム差を付けて逃げ続けた。補給地点ではワレン・バルギル(ジャイアント・アルペシン)が転倒するアクシデントが発生。彼は右ヒザを負傷したが、すぐレースに復帰した。

ゴールまで残り55kmで集団は地元フランスのFDJが引き始め、10km後にタイム差は9分30秒にまで縮まっていた。残り43kmの中間スプリントポイントは、アンドレ・グライペル(ロット・ソウダル)が集団の先頭で通過。彼はペーテル・サガン(ティンコフ・サクソ)に3ポイント差を付け、ふたたびポイント賞首位に立った。
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最後の登坂が始まり、集団の先頭をティンコフ・サクソとモビスターが引き始めると、たった4ポイントでマイヨ・アポワを着続けていたエリトリアのダニエル・テクレハイマノット(MTN・クベカ)や、マイヨ・ベールのサガンが集団から脱落した。

先頭は残り14kmでバンビルゼンが脱落し、36歳のフェドリゴが単独でゴールを目指したが、集団はすぐ後方に迫っていた。

集団はモビスターが引き続け、次々と脱落する選手が続出してマイヨ・ジョーヌ集団は次第に絞りこまれていった。フランス期待のクライマーだったティボ・ピノー(FDJ)も早々に姿を消した。

ゴールまで残り11.5kmでロベルト・ヘーシンク(ロトNL・ユンボ)がアタック。フェドリゴは捕まり、ヘーシンクが独走で先頭に立った。残り10kmでラファエル・バルス(ランプレ・メリダ)が合流するも1.5km先で脱落し、ヘーシンクはふたたび単独に。

残り10.5kmでディフェンディングチャンピオンのビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ)が早くも脱落。ここですでにマイヨ・ジョーヌ集団は20人ほどに絞られていた。

残り8kmで、チームスカイが引くマイヨ・ジョーヌ集団からスペインチャンピオンのアレハンドロ・バルベルデ(モビスター)がアタック。しかし、チームスカイは慌てず彼を引き戻した。

そして残り7kmを切って、リッチー・ポート(チームスカイ)が先頭を引き始めると、今度はアルベルト・コンタドール(ティンコフ・サクソ)が脱落。マイヨ・ジョーヌ集団はバラバラになり、ポートとフルームについて行けたのはマイヨ・ブランを着たナイロ・キンタナ(モビスター)だけだった。

先頭を走っていたヘーシンクを捕らえたあと、ゴールまで残り6.4kmでフルームがアタック。キンタナはついて行けず、マイヨ・ジョーヌの独走が始まった。

フルームはそのまま後続に1分差を付けてカテゴリー超級のラ・ピエール・サン・マルタンにゴールし、今大会で初区間優勝を上げた。彼はこの日、山岳賞でもトップに立ってマイヨ・アポワにもソデを通した。

その後方では、フラム・ルージュを通過したポートが2番手のキンタナに追いつき、ゴール手前でスパートして2位に入り、わずかなボーナスタイムを奪い取った。

たった1日の山岳で、マイヨ・ジョーヌのフルームはキンタナに1分以上、コンタドールに3分近く、そしてニーバリには4分半近いタイム差を付けてしまった。総合成績でも、2位のティージェイ・バンガーデレン(BMC)ですら、すでに2分52秒遅れという状況になってしまった。

■マイヨ・ジョーヌで圧勝したフルームのコメント「僕たちは必ずしも攻撃的に走りたかったわけではなかった。喜んで逃げを行かせ、他のチームに追わせて、いつもより守りの体制だった。でも、ビッグネームたちが苦しみ、脱落していると聞いて、ポートとトーマスに前進しよう、と言ったんだ」

「休養日のあとでライバルたちはトラブってると感じ、チームメートたちは僕のために終盤のお膳立てをしてくれた。道が平坦になる前の急勾配でアタックしたのは夢のシナリオだ」

「しかしレースはゴールまでまだ遠い。2013年にコンタドールは横風や下りで勝負を仕掛けた。そういうことがまた起きると予測できる。明日は今日の成果のツケをどれくらい払わなければならないか知るだろう」

「2年前に、僕たちはピレネーの2日目にトラブったからだ。それが繰り返されないことを望んでいる。しかし、皆はどれだけチームTTで強かったかを見たはずだ。僕たちは過去の試練から学んでいるのさ」


ピレネー山岳2日目の7月15日は、ポーからカテゴリー3のコートゥレ・バレー・ド・サン・サバンまでの188kmで第11ステージが行われる。コースには標高1490メートルでカテゴリー1のアスパン峠と、標高2115メートルでカテゴリー超級のツールマレー峠越えが含まれる。ゴールのコートゥレ山は標高916メートルで全長6.4km、平均勾配は5%だ。(MAP:ASO)
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■第10ステージ結果[7月14日/タルブ~ラ・ピエール・サン・マルタン/167km]
1 クリストファー・フルーム(チームスカイ/英国)4時間22分07秒
2 リッチー・ポート(チームスカイ/オーストラリア)+59秒
3 ナイロ・キンタナ(モビスター/コロンビア)+1分04秒
4 ロベルト・ヘーシンク(ロトNL・ユンボ/オランダ)+1分33秒
5 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター/スペイン)+2分01秒
6 ゲラント・トーマス(チームスカイ/英国)+2分01秒
7 アダム・イエーツ(オリカ・グリーンエッジ/英国)+2分04秒
8 ピエール・ロラン(ヨーロッパカー/フランス)+2分04秒
9 トニ・ガロパン(ロット・ソウダル/フランス)+2分22秒
10 ティージェイ・バンガーデレン(BMC/米国)+2分30秒
11 アルベルト・コンタドール(ティンコフ・サクソ/スペイン)+2分51秒
21 ビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ/イタリア)+4分25秒
28 リゴベルト・ウラン(エティックス・クイックステップ/コロンビア)+5分54秒
34 ホアキン・ロドリゲス(カチューシャ/スペイン)+6分07秒
■第10ステージまでの総合成績
1 クリストファー・フルーム(チームスカイ/英国)35時間56分09秒
2 ティージェイ・バンガーデレン(BMC/米国)+2分52秒
3 ナイロ・キンタナ(モビスター/コロンビア)+3分09秒
4 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター/スペイン)+4分01秒
5 ゲラント・トーマス(チームスカイ/英国)+4分03秒
6 アルベルト・コンタドール(ティンコフ・サクソ/スペイン)+4分04秒
7 トニ・ガロパン(ロット・ソウダル/フランス)+4分33秒
8 ロベルト・ヘーシンク(ロトNL・ユンボ/オランダ)+4分35秒
9 ワレン・バルギル(ジャイアント・アルペシン/フランス)+6分12秒
10 ビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ/イタリア)+6分57秒
11 バウケ・モレマ(トレック/オランダ)+7分15秒
12 リゴベルト・ウラン(エティックス・クイックステップ/コロンビア)+7分22秒
16 ホアキン・ロドリゲス(カチューシャ/スペイン)+10分09秒
[各賞]
■ポイント賞(マイヨ・ベール):アンドレ・グライペル(ロット・ソウダル/ドイツ)
■山岳賞(マイヨ・アポワ):クリストファー・フルーム(チームスカイ/英国)
■新人賞(マイヨ・ブラン):ナイロ・キンタナ(モビスター/コロンビア)
■チーム成績(黄ゼッケン):チームスカイ(英国)
■敢闘賞(赤ゼッケン):ケネット・バンビルゼン(コフィディス/ベルギー)
(http://www.letour.fr/le-tour/2015/fr/)


Summary - Stage 10 (Tarbes > La Pierre-Saint... 投稿者 tourdefrance_en