ニュース

【Tour速報】トゥスイール頂上ゴールのツール・ド・フランス第19ステージをニーバリが独走で区間優勝!

レース

第102回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月24日にサン・ジャン・ド・モーリエンヌからラ・トゥスイール(レ・シベル)までの138kmでアルプス山岳3日目となる第19ステージを競い、イタリアチャンピオンのビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ)が独走で区間優勝した。

総合争いは、ゴールまで残り5kmでマイヨ・ブランのナイロ・キンタナ(モビスター)がアタックし、ライバルたちを引き離して区間2位でゴール。マイヨ・ジョーヌのクリストファー・フルーム(チームスカイ)はキンタナのアタックに付いて行けなかったが、遅れは最小限にとどめ、総合首位の座を守った。

区間優勝したニーバリは、前日まで8分4秒遅れの総合7位だったが、この日の成功で6分44秒遅れの総合4位にまで順位を上げている。

山岳賞争いは前日に区間優勝した地元フランスのロマン・バルデ(AG2R)が、フルームよりたった3ポイント上回って総合首位に立ち、マイヨ・アポワを獲得した。「明日ラルプ・デュエズを上るのにマイヨ・アポワが着られるなんてすごくうれしい」と、バルデは喜んでいる。地元フランスの声援もアルプス最終日はさらに大きくなるだろう。
*

アルプス山岳3日目の第19ステージは161選手が出走。この日はスタートしてすぐに15.5kmつづくショシー峠(カテゴリー1)が始まり、2km地点でマイヨ・アポワを着たホアキン・ロドリゲス(カチューシャ)が先行したのをきっかけに26人がメイン集団から先行した。

メイン集団からはアルベルト・コンタドール(ティンコフ・サクソ)がアタックし、アレハンドロ・バルベルデ(モビスター)とゲラント・トーマス(チームスカイ)が反応したが、すぐ集団に引き戻された。

つづいてニーバリがアタックし、逃げ集団に合流。さらにコンタドールとバルベルデも飛び出して先行するグループに追いついた。マイヨ・ジョーヌのフルームはすでにトーマスとウォートル・プールス(チームスカイ)しかアシストがいなかった。

15.5kmの頂上はマイヨ・アポワのロドリゲスが先頭で通過し、10ポイントを獲得した。最初の山岳ポイントでライバルのロドリゲスに後れを取ってしまったバルデは、ショシー峠の下りでアタックしたリゴベルト・ウラン(エティックス・クイックステップ)に付き従った。

下りで先行していたピエール・ロラン(ヨーロッパカー)とロドリゲスにウランとバルデが合流。ここからロランが独走を試みて20秒先行したが、ゴールまで残り100kmで20人ほどの追走グループに吸収されてしまった。

42km地点に設定されていた中間スプリントポイントで、バルデ、ロドリゲス、ウラン、ロランが加わっている21人の逃げ集団は、マイヨ・ジョーヌ集団に1分半の差を付けていた。逃げ集団では54.5kmの補給所でティム・ウェレンス(ロット・ソウダル)が落車したが、すぐ復帰した。

補給所を通過したあと、全長22.4kmのクロワ・ド・フェール峠(カテゴリー超級)の登坂がスタート。落車したウェレンスは最初に先頭集団から脱落した。

ゴールまで残り67km、クロワ・ド・フェール峠の中腹で先頭集団からロランがアタック。誰も彼を追わず、独走がスタートした。マイヨ・ジョーヌ集団からは総合4位のトーマスが脱落してしまった。

ロランは独走を続け、残り60kmでマイヨ・ジョーヌ集団に2分以上の差を付けていた。バルデとロドリゲスはクロワ・ド・フェール峠でマイヨ・ジョーヌ集団に吸収された。しかしマイヨ・アポワを着たロドリゲスはそこに留まることができなかった。

頂上まで残り5kmで、マイヨ・ジョーヌ集団からバルベルデがアタックしたが、プールスが集団を引いて彼を捕らえた。しかしここでフルームは、自転車の後輪にアスファルトが付着して動かなくなるトラブルで止まってしまった。

時を同じくして集団の前方からはニーバリがアタックし、先行するロランを追走した。フルームはすぐ集団に復帰したが、ニーバリの姿はもうなかった。

ゴールまで残り55kmのクロワ・ド・フェール峠山頂は、ロランがニーバリに1分5秒差を付けて通過した。1分56秒遅れのマイヨ・ジョーヌ集団からは山頂間近でバルデが飛び出し、3位で通過して16ポイントを獲得した。ここで山岳賞総合はバルデがロドリゲスを抜いて首位に立った。

つづくカテゴリー2のモラール峠の頂上で、ニーバリはロランを8秒差にまで追い詰めた。そして下り坂で追いつくと、一緒にゴールを目指そうと合図した。マイヨ・ジョーヌ集団は1分50秒後にバルデが先頭で頂上を通過した。

バルデはそのまま先行し、単独で坂を下り始めたのだが、ディレーラーにトラブルが発生。しかし、下り坂ではチームカーを呼ぶこともできなかった。幸い何のトラブルもなく坂を下りきったバルデはゴールまで残り20kmで自転車を交換。その間にマイヨ・ジョーヌ集団には抜かれてしまったが、すぐ復帰することができた。

ゴールまで残り18kmで、ゴールへとつづくカテゴリー1のトゥスイール登坂がスタート。ニーバリとロランはマイヨ・ジョーヌ集団にまだ1分50秒差を付けていた。しかし、2km上ったところでロランはニーバリに付いて行けず脱落。

ニーバリは単独になってもスピードが落ちることはなかった。彼はゴールまで残り15kmで、マイヨ・ジョーヌ集団に2分差を付けてトゥスイールを上り続けた。マイヨ・ジョーヌ集団からは次々と選手が脱落し、16人ほどに減っていた。

ゴールまで残り12kmで、マイヨ・ジョーヌ集団はラファウ・マイカ(ティンコフ・サクソ)が引き続け、そのすぐ後ろにはプールスにエスコートされたフルームがいた。先頭から脱落したロランは残り7kmでマイヨ・ジョーヌ集団に吸収されたが、そのままそこに留まることができた。

そしてゴールまで残り5kmになり、マイヨ・ジョーヌ集団からプールスが脱落してフルームが1人きりになった直後、キンタナが攻撃を仕掛けた。フルーム、コンタドール、バルベルデの3人は追撃を試みたが、結局フルームが1人でキンタナを追い、他の選手たちはあきらめてしまった。

しかし、ニーバリは区間優勝するのに十分なタイム差を得ていた。彼は残り3kmでまだキンタナに1分21秒差を付けていた。そしてそのまま独走を続け、ガッツポーズでゴールに飛び込んだ。

キンタナは44秒遅れでゴールし、ポーナスタイムも獲得。しかしフルームも健闘し、キンタナにたった30秒遅れの3位でゴールすることができた。アルプス最終日を残して、フルームのアドバンテージはまだ2分半以上ある。
*

■やっと区間優勝することができた前年度総合優勝者のニーバリのコメント「知ってのとおり、僕には厳しいツールだった。最初の週にトラブってしまった。2週目はより良く走れた。毎回アタックして、やっとそれが報われた」

「今日もハードだったが、スカルポーニが最初の逃げに加わって、チームとしてすばらしい仕事ができた。クロワ・ド・フェール峠でスピードを上げるという計画だった。簡単ではなかったが、(山頂まで)遠いところからアタックすることが最良の解決策だった」

「フルームがトラブっていたのは見ていなかった。後ろをふり返ったのはカンゲルトを探していたからだ。無線ではそんな情報は受け取らなかった。ボクたちが聞いていたのはタイム差だけで、それを知った時には、ボクはもう2分20秒差を付けていた」

「ボクは観客から大きなサポートを受けた。イタリアとフランスのファンだ。彼らに感謝している。今週は調子がよくなっていると感じている。去年と同じくらいのリズムと安定感はあるが、爆発的ではない」

「それぞれの年を比較するのは難しい。僕たちは人間であり、機械ではないからだ。コンタドールだってジロを取ったあとでベストな状態ではない。僕たちはいつでも勝てるわけじゃないのさ」


今年のツールもいよいよ残り2ステージ。7月25日は標高1850メートルでカテゴリー超級のアルプ・デュエズにゴールするアルプス山岳最終決戦が行なわれる。

第20ステージはモダーヌ・バルフレージュをスタートするが、4月に発生した土砂崩れの影響でテレグラフ峠とガリビエ峠を通過するルートが使えなくなり、第19ステージで通過したクロワ・ド・フェール峠をふたたび通過するルートに変更した。距離は変更前と変わらず110.5kmだ。(MAP: ASO)
*

■第19ステージ結果[7月24日/サン・ジャン・ド・モーリエンヌ~トゥスイール/レ・シベル/138km]
1 ビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ/イタリア)4時間22分53秒
2 ナイロ・キンタナ(モビスター/コロンビア)+44秒
3 クリストファー・フルーム(チームスカイ/英国)+1分14秒
4 ティボ・ピノー(FDJ/フランス)+2分26秒
5 ロマン・バルデ(AG2R/フランス)+2分26秒
6 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター/スペイン)+2分26秒
7 バウケ・モレマ(トレック/オランダ)+2分26秒
8 ロベルト・ヘーシンク(ロトNL・ユンボ/オランダ)+2分26秒
9 アルベルト・コンタドール(ティンコフ・サクソ/スペイン)+2分26秒
10 サムエル・サンチェス(BMC/スペイン)+2分26秒
11 ピエール・ロラン(ヨーロッパカー/フランス)+2分35秒
53 ゲラント・トーマス(チームスカイ/英国)+22分00秒
■第19ステージまでの総合成績
1 クリストファー・フルーム(チームスカイ/英国)74時間13分31秒
2 ナイロ・キンタナ(モビスター/コロンビア)+2分38秒
3 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター/スペイン)+5分25秒
4 ビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ/イタリア)+6分44秒
5 アルベルト・コンタドール(ティンコフ・サクソ/スペイン)+7分56秒
6 ロベルト・ヘーシンク(ロトNL・ユンボ/オランダ)+8分55秒
7 マティアス・フランク(IAM/スイス)+12分39秒
8 バウケ・モレマ(トレック/オランダ)+13分22秒
9 ロマン・バルデ(AG2R/フランス)+14分08秒
10 ピエール・ロラン(ヨーロッパカー/フランス)+17分27秒
15 ゲラント・トーマス(チームスカイ/英国)+27分24秒
[各賞]
■ポイント賞(マイヨ・ベール):ペーテル・サガン(ティンコフ・サクソ/スロバキア)
■山岳賞(マイヨ・アポワ):ロマン・バルデ(AG2R/フランス)
■新人賞(マイヨ・ブラン):ナイロ・キンタナ(モビスター/コロンビア)
■チーム成績(黄ゼッケン):モビスターチーム(スペイン)
■敢闘賞(赤ゼッケン):ピエール・ロラン(ヨーロッパカー/フランス)
(http://www.letour.fr/le-tour/2015/fr/)
 


Summary - Stage 19 (Saint-Jean-de-Maurienne... 投稿者 tourdefrance_en