DOWNHILL SERIES #3 国内屈指のハードコースを制した浦上太郎が初優勝
8月1日、2日に開催された、DOWNHILL SERIES #3 ウイングヒルズ白鳥リゾート。国内最高峰の ダウンヒルトラックとして、また、レンタルバイクでも楽しめる初心者向けフィールドとしてのコースリニューアルを行なうにあたり、国内トップライダーである井本はじめ(SRAM/LITEC)を起用した今会場。「上級コースという名に恥じないテクニカルなコースをお届けしたい」と、手を入れたコースが今回の舞台となった。
スタートは、昨年までのジャパンシリーズ参加者にはおなじみのゴンドラから 少し下った丘の上。コースディレクターである井本のコンセプトは、「リズム良く、まっすぐに、気持ち良いダウンヒル」。その言葉の通り、スタート直後 からいきなり高速セクションが始まる。
名物のシングルトラックは、よりシンプルにレイアウトされた。轍は深く、急斜面。ブレーキングに気を使う、国内屈指のシングルをシンプルに区切ることにより、あらゆるレベルのライダーが挑戦することを考えられたレイアウトとなっている。
ゲレンデ中腹に位置する レストラン「ルック」の下を通過し、オープンなゲレンデセクションへと抜けたゲレンデには今回優勝した浦上太郎(Transition Airlines/Cleat)、井本、そしてエリートクラスエントリーの下垣大樹(Lapierre)らによってつくられたパークのような人工のバンクとジャンプが用意され、最後は急斜面を走り抜けてフィニッシュに飛び込むというコースレイアウトとなった。
ゲレンデ中腹のレストラン「ルック」の地下を抜けるコースレイアウトが 採用された
昨年は雨のイメージの強かった DOWNHILL SERIES だが、今年は初戦から3戦続 けての快晴。朝晩は高原らしく涼しいが、標高 1000m のメイン会場はジリジリと太陽が照りつけ、朝8時の時点で 30度を超える暑さとなった。
全エントリー65 人のうち、タイムドセッションには 51 人が参加。#2 SRAMPARKで優勝候補の筆頭とされながらもパンクに終わった加藤将来 (AKIFACTORY/ACCEL)が 2 分 50 秒 571 のタイムを叩き出す。
2 位には浅野善亮 (TEAM GIANT)、3 位には浦上が入った。総合ランキングを見ると、4 位には SRAMPARK でプロライダー全員を下して 10万円を持ち帰った高校2年生井岡佑介(Hott Spin NUKUPROOF)、4 位には下垣大樹選手(Lapierre)らエリートクラスの2人が続いた。
先日の全日本でダブルタイトルを獲得した末政実緒。「やっぱりダウンヒルは楽しい!」と笑顔の勝利
日曜日も快晴。コースの評判は抜群で、先月の全日本選手権で DH16 連覇に加え、 XC でも優勝を飾りダブルタイトルを手にした末政実緒(SRAM/LITEC)も「こういうハードなコースが楽しい! もっと荒れてほしいくらい」と楽しそうな笑顔を見せる。
今回のレースには女子が7人エントリー。今までで最多の人数であり、運営側としてもうれしい限り。一方で、エリート男子クラスでの優勝、 そして PROクラスへの挑戦権「下克上システム」を狙うライダーたちは黙々と 試走を繰り返す。
今回、会場には来てくれたものの、ケガのため DNS となった PRO クラスライダー井手川直樹(AKIFACTORY/STRIDER)には、せっかくの機会とばかりにセッティングのアドバイスを受けた参加者もいたようだ。そういったトップライダーとの交流も、DOWNHILL SERIES が目指しているひとつの形である。
エリート男子表彰台
13 時 30 分、本戦開始。ファーストタイマー男子では幸前憲治(K-Z-P)、 スポーツ男子選手では長縄亮磨が優勝し、次回からのクラス昇格を決める。 エキスパート男子では#2 SRAMPARK で初出場ながらスポーツクラスからの一発昇格を決めた 14歳の山田淳一(Try-J TARGET)が 2 位に 4 秒近い差をつけて 宣言通り優勝し、次戦からのエリート男子クラス昇格を果たした。
エリート女子は危なげなく貫禄ある走りで末政が優勝。レース後、「ダウンヒルサイコー!と思えるレースでした」と言いながら、総合順位で 51人中 11位につけるのはさすが。
続く、エリート男子クラスは、やはりどの会場でもピリピリ感が漂う。#1 十種 ヶ峰 WOODPARK で優勝して以来の藤村飛丸(BlankyDog/MADDY CHOCOLATE)、 「タイムドセッションではやらかしちゃったので…」と試走を繰り返した東京から参戦の金子匠(Team Yellow 小川輪業)、実力は十分ながらなかなか優勝に手が届かない下垣大樹(Lapierre)、そして前戦優勝の井岡佑介など毎度強豪ひしめく混戦のクラスである。
結果、レース後に「自分らし い走りができました!」と話した井岡佑介が明らかに速いスピードでフィ ニッシュに飛び込んで優勝。2 位に 4 秒の差をつけ、前戦から 2 戦続けての「下克上」挑戦権を得た。
PRO クラス表彰台
まず、エリート男子優勝者・井岡選手がスタートする。エリート優勝を決めた 自身のタイムを 0.5 秒ほど縮めて 2 分 49 秒台でフィニッシュ。土曜日のタイムドセッションの結果では、総合 1 位のタイムである。しかし、2 戦続けて「下克上」を成功させるわけにはいかないPROライダーたち。
井岡のタイムに会場が驚きの声を上げていると、第 3 走者、浦上選手が 46 秒台というタイムを叩き出 し、会場は拍手と歓声に包まれる。これで、一番高いところに立たせることは なくなった。続く浅野選手も 47 秒台、そして「あと 5 秒は縮めます」と自信満々 の表情でスタートへ上がっていったタイムドセッション 1 位で最終走者の加藤は残念ながら木に激突してワンストップながらも 49 秒台。この 3 人のワン、 ツー、スリーが決まり、ひとまず PRO ライダーとしての意地を見せつけた結果となった。
今年、井本はじめと共にウイングヒルズのコースリニューアルに携わった 浦上太郎。「どうしても勝ちたかった」とダウンヒルシリーズ初優勝を決めた
レース後、浦上は「今回のコースは井本はじめ選手と造成に携わっていたので、勝つしかないと思っていました。自分の作ったコースで勝つというのは 気持ちいい。勝てて良かったです。」と、らしい笑顔で話した。 九州の星、浦上太郎。DOWNHILL SERIES 初優勝。表彰式後、誰からも愛され るキャラクターの浦上選手の周りには人が絶えなかった。
次戦、#4 は 8/15-16 に福井和泉 MTB PARK(福井県)にて行われる。 エントリーはこちら。 http://goo.gl/forms/NqoeioBhSQ