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キャノンデール SLATEが駆け抜けたカリフォルニアトレイル Vol.01
新製品
2015.12.16
2015年12月9日 アメリカ・カリフォルニアで、2016年注目のニューバイクCannondale SLATEの試乗会が行われた。シクロクロス界のレジェンド、ティム・ジョンソンや今シーズンで引退するテッド・キング(キャノンデール・ガーミン)などが参加し、マリブのトレイルを駆け抜けた。サイクルフォトグラファー辻啓さんが、その模様を全3回に渡ってレポートする。
SLATEが駆け抜けたカリフォルニアトレイル Vol.01 http://goo.gl/KYKD6I
SLATEが駆け抜けたカリフォルニアトレイル Vol.01 http://goo.gl/KYKD6I
灰色のアスファルトにオレンジがかった黄色いダブルラインの組み合わせが格好良く見えてしまう。12月というのにショートスリーブでも暑く感じるカリフォルニアの空気。ロサンゼルスから別名パシフィックコースト・ハイウェイと呼ばれるカリフォルニア1号線を西に進むと、ビーチの脇に見慣れたキャノンデール・ ガーミンの黄緑のチームバスが見えてきた。
12月上旬にカリフォルニアで行われた SLATE のグローバルメディアキャンプに参加させていただいたのは わたくし辻啓。2 日間 SLATE を乗り込む機会を光栄にもいただいた。
成田から10時間足らずで到着したそこは気温25度の汗ばむ陽気。海流の影響を受けて年中温暖なカリフォルニア。特に今年は暖かいという。東海岸からキャノンデール・ガーミンのスタッフがわざわざ 1 週間かけて 6,000kmを運転してきたチームバスの中でジャージに袖を通し、ショーツに脚を通す。渡されたMサイズのSLATE にペダルを装着し、サドル高を合わす。
そこにやってきたのは陽気なティム・ジョンソンだ。ついこのあいだ野辺山で会ったばかりのティムと挨拶を交わし、視線を落として SLATE を眺める。彼こそが今回のライドのガイド役。SLATE の開発に深く関わった彼を超えるガイドは他に知らない。
簡単な SLATE のプレゼンテーションを経て、キャノンデール・ガーミン所属のテッド・キングも加わり、 主にアメリカのジャーナリストたちで構成されたグ ループ(ロード系とMTB系が混在しているのが実に SLATE らしい)に混ざってスタートを待つ。ビーチに突然現れたイルカに送り出されるようにして、カリフォルニアのライドが始まった。
眩しいほどの朝陽と心地よい海風を感じながらパシフィックコースト・ハイウェイを走る。海が近いのに空気は乾いている。土壌も乾いているし、植生の中でサボテンが幅をきかしている。護岸工事で固められたコンクリートの川には水が流れていない。緩いアップダウンを繰り返すハイウェイの対向車線を、ショップのチームジャージを着たグループが駆け抜けていく。少し距離を置いて元メジャーリーガーで歴代最多本塁打を記録したバリー・ボンズも単独で走っていた。
42mm のスリックタイヤが響す「ナーーーーーッ」っという独特の接地音を聞きながら、改めて SLATE というバイクに向き合ってみる。無理やりカテゴリー分けするなら「グラベルロード」なのだと思う。走行感はロードバイクに近い。それもそのはず、SLATE はティムが普段ロードバイクやシクロクロスバイクで走っていた道なき道を快適に走るために作られたバイクだからだ。マウンテンバイクをロード寄りに振ったという印象ではない。
誤解を恐れずにいうと、キャノンデールのスタッフとティムが「乗りたいバイクを作ってしまおうぜ」と酒の席で話して実際に作ってしまったんじゃないかというワクワク感がある。というかおそらくその通りなのだと思う。スタッフの口から「SLATE はパッションプロジェクトとして始まった」という言葉が出てくるのだから、楽しくないはずがない。
「タイヤが細いロードバイクでは低い空気圧に限界がある。そこでトレンドである太いタイヤを 700C に装着して試した。40mm幅も試したけど、ホイール径が 700C である以上、タイヤの外径が大きくなりすぎてコントロール性が損なわれてくるし、ジオメトリーにも無理が出てくる。だからホイール径を小さくしたんだ。結果、タイヤの外径は 700Cに 23mmタイヤの組み合わせとほぼ同じ。ロードバイクに慣れたライダーが自然に入り込めるようにした」とティムは目線を落とし、トップチューブを撫でながら話す。グループのライダー全員がしっかりついてきていることを振り返って確認しながら。
パシフィックコースト・ハイウェイを離れ、レフティをロックアウトさせたまま高低差400mの上りをこなす。「舗装路の上りだけを走るなら、キャノンデール史上最悪のロードバイクかもね」とティムは笑うけど、上りの走行感が際立って重いわけじゃない。
太平洋を望む開放的な上りに別れを告げ、ゴツゴツした岩が目立つサンタモニカ山地に入っていく。いよいよトレイルが近づいてきた。
Vol.2へ続く
問 キャノンデール・ジャパン http://www.cannondale.com/
SLATEが駆け抜けたカリフォルニアトレイル Vol.01 http://goo.gl/KYKD6I
SLATE製品情報 http://goo.gl/7wFn1k