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キャノンデール SLATEが駆け抜けたカリフォルニアトレイル Vol.02

新製品
2015年12月9日 アメリカ・カリフォルニアで、2016年注目のニューバイクCannondale SLATEの試乗会が行われた。シクロクロス界のレジェンド、ティム・ジョンソンや今シーズンで引退するテッド・キング(キャノンデール・ガーミン)などが参加し、マリブのトレイルを駆け抜けた。サイクルフォトグラファー辻啓さんによるレポート第2弾、いよいよダートセクションに突入!オンロードもオフロードもこなすSLATEの本領発揮だ。

SLATEが駆け抜けたカリフォルニアトレイル Vol.01 http://goo.gl/KYKD6I
SLATEが駆け抜けたカリフォルニアトレイル Vol.02 http://goo.gl/lEbkF4

 


今から半年前に見た、ユタ州で撮影された SLATE のティーザー的なプロモーションフィルムは、思わず体に力が入ってしまうような強烈なインパクトを自分の中に残した。まだプロトタイプと思われるアルミ剥き出しの SLATE に乗ってグラベルロードを自由自在に駆けるティム・ジョンソンを映したそれは、SLATE の性格を最大限表現したものだと思う。

プロモーションフィルムの中で見た背中を追って、舗装路を経てトレイルヘッドに到着した。玄関からトレイルの入り口までと、トレイルからその先を1台で済ませてしまえる。それが SLATE の強みだと思う。「新しいことを始めたのではなく、今まで走っていたスタイルに適したバイクを作っただけ」というティムの言葉が的を得ている。

 


太平洋からせり上がったサンタモニカ山地の中に、バックボーントレイル(Backbone Trail)はあった。その名の通り、背骨(バックボーン)の如く稜線に沿うようにグネグネとトレイルが続いている。ところどこ ろ駐車場も整備されている自転車にも開放されたトレイルだ。

ライド前もライド中もライド後も、ティムの口からはくどいほど「空気圧」という言葉が出てきた。「空気圧はとても大事」。それが彼の元来の口癖であるかのように。ロードバイクの感覚だと7気圧ぐらい入れてしまいそうなものだが、エアボリュームのあるタイヤでそこまで入れても意味がない。ティム先生の教えに反して高めの空気圧も試してみたけど、なるほど舗装路の凹凸を拾ってしまうので細かく跳ねて逆に進まない。

 


幅 23mm のロードタイヤと比べて 40g 重いだけという 42mm のチューブレスタイヤ(パナレーサー製) を指でへこまして空気圧を確認するティム。タイヤゲージを使って、体重に合わせて手際よく 2.6〜3.2BAR の範囲に調整していく。体重 62kg の自分は 2.7BAR でスタート。もちろんレフティのロックは解除する。 ハンドルに力を込めるとサスペンションは沈み込み、タイヤが扁平する具合に。

シクロクロスの印象が強いティムだが、過去にはサウニエルデュバルに所属して国内外のロードレースを転戦した。つまりオンロードからオフロードまで、舗装路からトレイルまで、考えうる限りの路面状況の走り方を心得ている。そんな彼だからこそ言える説得力のあるセッティングでトレイルの入り口に差し掛かる。

 


長らく雨が降っていないためトレイルはドライ。ところどころ砂が溜まっているが、急なターンはバンクになっているので慣れればバイクを倒して攻めることが出来る。スリックタイヤは確かに見た目が不安で、実際にぐいぐいとグリップさせてコーナリングできるわけじゃない。一旦グリップが抜けるとどうしようもなく、コーナーの内側の脚を出してリカバリーする。

バイクをコントロールする楽しさにのめり込んでいく。 イタリアのストラーデビアンケ(未舗装路)や日本のグラベルをロードバイクで散々走ってきた自分に言わせてもらうと、その懐の深さはロードバイクの比じゃない。

 


「調子に乗ってティムのラインを真似して食らいついていくが、さすがにめちゃくちゃ速い。一連の動きが流れるようにスムーズ。頭の先からつま先まで、全身を使ってバイクをコントロールしている。何度か崖下に落ちそうになりながら付いていくうちに、やがて彼の背中は見えなくなった。さすがに走りながら写真は撮れなかった。

スイッチの入ったティムが消えてしまったので、立ち止まってプシューっともう少し空気を抜いてみる。タイヤの使い方が分かってくるとラインが見えて来る。マウンテンバイクが残した凸凹のタイヤパターンをスリックタイヤの痕が塗り替えていく。岩が浮いた荒れた上りも、急なドロップも、タイヤのトラクションを感じながら進んで行く。

快適なトレイルを何マイルも夢中になって走るうちに、フェラーリ・カリフォルニアが走っていそうな舗装路のワインディングに出た。下りで攻め過ぎたテッド・キングの脚からは血が出ているが、本人は構わず楽しそう。

ロードバイクに乗ったグループが羨望の眼差しをこちらに送っている(気がする)。舗装路を走って次なるトレイルへ。このスタイル、病みつきになりそうだ。

Vol.3へ続く

問 キャノンデール・ジャパン http://www.cannondale.com/
SLATEが駆け抜けたカリフォルニアトレイル Vol.01 http://goo.gl/KYKD6I
SLATE製品情報 http://goo.gl/7wFn1k