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たった13秒で出庫!「超高速」な立体地下駐輪場のしくみとは?
その他
2016.02.02
地下に設けられた円柱状の空間に自転車を収納し、平均13秒で出庫が可能な駐輪施設が注目を集めている。高知市の建設機械メーカー、技研製作所が20年ほど前に開発。駐輪施設への需要が急速に高まる中、圧倒的とも言える入出庫の速さや費用対効果の良さなどが注目され、各地で導入が進む。
駐輪施設の名前は「エコサイクル」。円柱状の地下空間に1基当たり204台の自転車を収納可能だ。東京都港区は2010年、品川駅に隣接する「こうなん星の公園」地下にエコサイクル5基を設置。駅前周辺に約1千台あった放置自転車が一掃された。
エコサイクルの最大の特徴は自転車の入出庫の速さだ。操作も簡単で、入庫時には自転車を入出庫口にセットすると、自転車に装着されたICタグを検知して自動で収納を開始。出庫時もICカードをカードリーダにかざすだけ。公園では、通勤通学で混みあう時間帯でも利用者が5基に分散するため、ほとんど待たされることがないそうだ。
入出庫の速さの秘密はその構造にある。地下空間の中央に垂直リフトがあり、円柱内部のパレットから自転車を出し入れする。しかもパレットは千鳥状に配置され、無駄なスペースがない。こうすることでリフトの移動距離を最小にできる。
実際に施設内部に降りてみた。自転車を保持したリフトが向きを変えながら高速で降下し、空きパレットに自転車を素早く収納。地下空間とあって、内部の温度は十数度前後で一定している。
ロードバイクやMTB、電動アシスト車など、幅広い車種に対応。地下空間に全自動で入出庫するため、自転車は「盗難の恐れがない」(同社)ことも利点だ。同駐輪場のオープン後、近隣の駐輪場から高級スポーツ自転車の利用者が「移転」してきたという。
4月には新橋にお目見え
工法もユニークで、土留めなどに用いる矢板(杭材)の開発や施工で培った同社のノウハウを活用。最初に厚さ13ミリの鋼製矢板を連続して円状に打ち込み、耐震構造壁を形成。次いで内部の土砂を掘削した後に機械を設置する。このため施工期間は約2ヶ月と短くて済む。
駅周辺には他にも1千台を収容する区の地下駐輪場があるが、利用者自身が地下に降りる「自走式」で設置費用は10億円ほど。エコサイクルは1基1.5億円のため、「こうなん~」では利便性を向上しつつ、設置費用を4分の3に節約できたことになる。
「区の人口は毎年5千人ずつ増え、自転車の需要も高まっている。地上に駐輪施設を設けるのが難しい場合には今後も導入を検討したい」と区の担当者。4月には新橋駅近くの桜田公園にもエコサイクルを用いた地下駐輪施設がオープン予定だ。(斉藤円華)
駅周辺には他にも1千台を収容する区の地下駐輪場があるが、利用者自身が地下に降りる「自走式」で設置費用は10億円ほど。エコサイクルは1基1.5億円のため、「こうなん~」では利便性を向上しつつ、設置費用を4分の3に節約できたことになる。
「区の人口は毎年5千人ずつ増え、自転車の需要も高まっている。地上に駐輪施設を設けるのが難しい場合には今後も導入を検討したい」と区の担当者。4月には新橋駅近くの桜田公園にもエコサイクルを用いた地下駐輪施設がオープン予定だ。(斉藤円華)