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浜名湖サイクルツーリング2016ガイドライド「旧東海道サイクリングコース!」参加レポート

イベント

2日間でガイドライド、試乗会、サイクリング大会開催

3月26日(土)、27日(日)の2日間“浜名湖サイクルツーリング2016”が、静岡県浜松市の浜名湖ガーデンパークを中心に開催された。2015年まではサイクリング大会“ぐるっと浜名湖サイク・ツーリング”のみの1日開催だったが、今年から土曜日にスポーツサイクルの“大試乗会”と“ガイドライド”が加わり、2日間で3イベント開催に規模が拡大した。

 
自転車向きのルートを厳選。こんなに湖水が近い道も含まれている
自転車向きのルートを厳選。こんなに湖水が近い道も含まれている


大試乗会は、10時から16時に南側駐車場特設会場で開催された。参加も駐車も無料。20ブランド以上のスポーツサイクルに試乗ができ、走行イベントに不参加の人でも参加できる。出展したブースは22で、試乗のほか展示・即売も行われた。

同じく土曜日にはガイドライドが開催され、浜名湖地域に個性的なA〜Dの4コースが設定された。スタート・フィニッシュは浜名湖ガーデンパークで、走行距離は40km台。定員は各コース15人、参加費4,000円、参加資格は高校生以上。全コースに、ガイドライダー3〜5人と伴走車が付く。9時出発で15〜16時に帰着なので所要時間は6〜7時間、ツーリスト向けのゆっくり旅を楽しむサイクリングだ。

 
浜名湖ガーデンパークで同時開催された“大試乗会”。ガイドライド後に参加する人多数
浜名湖ガーデンパークで同時開催された“大試乗会”。ガイドライド後に参加する人多数

旧東海道を巡る線の旅には自転車が最適

訪れたことがないという理由で選んだBコース「旧東海道サイクリングコース 約42km」に参加した。メンバーは参加者8人+ガイド4人+サポートカー1人。ガイドはすべて男性、浜松自転車協会から和田哲幸さんと山田裕一さん、ゆるゆる遠州ガイドライドから小林尚さんと林聖久さんの編成。参加者は10人で中高年主体の男性が9人で、女性は1人。自転車はロードバイクが多いが、クロスバイクとカーゴバイクも混じる。

昨年のイベントでは遠州名物の空っ風が吹きまくったが、今年は晴天微風に恵まれた。スタート前には、コース別にブリーフィングが行われ、コースと立ち寄り場所の説明を受ける。次は、昼食をメニューから選ぶ。これは食堂にあらかじめ注文して、昼食の待ち時間を短くするため。最後に自転車の走行前点検。ガイドが、ブレーキの効き具合や固定部に緩みがないか1台1台点検していく。

 
スタート前のミーティング。ベスト着用は浜松自転車協会のガイド諸氏
スタート前のミーティング。ベスト着用は浜松自転車協会のガイド諸氏
スタート&フィニッシュは浜名湖ガーデンパーク。出発前にはガイドが車両点検をするなど安全管理は入念
スタート&フィニッシュは浜名湖ガーデンパーク。出発前にはガイドが車両点検をするなど安全管理は入念


スタートしてしばらくは浜名湖南岸沿いの道。右手に青い湖水のパノラマが続く。同じ遠州からの参加者が「この道を走るのは初めて」と、感心するほど細かい道をつないで走る。道は細いが、交通量が少ないので、ストレスがない。

湖西市に入る。最初の立ち寄り場所は、湖に面して鳥居が立つ二宮神社。山道を登ると、参道両側の巨大な狛犬がお出迎え。次は本興寺。参道の両側に塔頭が並ぶ規模の大きな寺院。整備されたばかり参道を進むと正面に茅葺き入母屋作りの本堂。国指定重要文化財である。帰り道、スケッチブックを持った男性がにこにこ顔で、我々に境内の解説をしてくれる。何と、スケッチ大会に参加していた湖西市の三上元(みかみはじめ)市長だった。

湖から離れ、進路を南西に取る。丘陵地帯に入りアップダウンが続く。目的地は、豊田佐吉記念館。トヨタグループの創業者、豊田佐吉による発明品の展示室と生家を見学。敷地は広大な丘陵の斜面を占め、移動には自転車が威力を発揮した。

 
湖西市の本興寺。両側に塔頭が並ぶ参道を進むと正面に茅葺きの建物。重要文化財指定の本堂だ
湖西市の本興寺。両側に塔頭が並ぶ参道を進むと正面に茅葺きの建物。重要文化財指定の本堂だ
後半は旧東海道をたどる。東海道五十三次32番目の白須賀宿(しらすかしゅく)木造の低い家並みが続く
後半は旧東海道をたどる。東海道五十三次32番目の白須賀宿(しらすかしゅく)木造の低い家並みが続く


さらに南西に進み、旧東海道に至る。まずは五十三次32番目の白須賀宿。木造の低い家並みが狭い道の両側に並び、街道の雰囲気が残っている。ここから新居宿を経て舞坂宿までほぼ旧東海道をたどる。

ゆるい坂を上りきり海岸段丘の上へ出る。歴史文化に関する展示がされている交流休憩所、おんやど白須賀を見学。館内では、施設スタッフによる白須賀宿の説明も聞くことができた。津波の被害により街を低地から丘の上へ移した歴史があるという。決して長い時間ではないが、この説明で訪れた場所の理解が深まる。これが、ガイドライドの良いところ。

春の陽光にきらめく遠州灘を見渡せる段丘から潮見坂を下る。坂の途中で国道1号線を横断して、昼食を取る “汐見茶屋”へ。店は下りカーブの途中にある。一旦先までを下って、見渡しの良いところで行動を横断して上り返して店へ。思い返せば、交差点ではガイドが先回りしての左右確認が励行されていた。スタート前の車検もそうだが、安全管理が徹底していたのが印象に残った。

汐見茶屋は名前どおり、遠州灘を見渡せる高台に建つドライブイン。出発前に注文してあったので待たずに料理が次々と運ばれてくる。出発前に選んだカツ丼・貝汁定食は大正解。ボリュームたっぷりで濃い目の昭和の味がした。

 
新居関跡。自由時間があり、参加者の一人である地元ライダーが五十三次31番目の新居宿を自転車で案内してくれた
新居関跡。自由時間があり、参加者の一人である地元ライダーが五十三次31番目の新居宿を自転車で案内してくれた


旧東海道の南に並行して国道1号線が通る。このバイパスのお陰で交通量が少ない生活道路になっている。サイクリングに最適のルートだ。1号線に合流した地点で北へ折れ、五十三次31番目の新居宿へ。日本で唯一現存する関所の新居関所(1855年建立)に到着。国指定の特別史跡である。ここは45分ほどの自由時間が設けられた。自転車ガイドは、予定時間と進行具合を較べ、休憩時間や立ち寄り場所を調節する。この臨機応変が参加者には心地よかった。

参加者の一人が新居を活性化する活動に携わっている人だった。「宿場を案内します。おいしいコロッケとかありますよ」に誘われ、自転車で宿場を散策。 旧東海道沿いの肉屋でコロッケを“立ち食い“。うまい、安い! 75円で1分間ほど口福を味わうことができた。

狭い路地を折れては曲がりして、最後に間口が広大な木造の建物に着いた。国登録有形文化財の小松楼まちづくり交流館だ。小松楼は大正時代から昭和20年まで芸者置屋を営んでいた。内部が公開され、茶の接待が受けられる。べんがら壁やガラス障子、鏡台が保存され往時の賑わいが伝わってくる。

東海道線、東海道新幹線と並行する西浜名橋を過ぎると水辺に沿って弁天島海浜公園ヘ。遠くに浜名バイパスの浜名大橋が長い弧を描くパノラマが広がる。東海道新幹線の車窓から見える景色だ。

 
パノラマが広がる弁天島海浜公園を通って、次の宿場、舞坂へと向かう
パノラマが広がる弁天島海浜公園を通って、次の宿場、舞坂へと向かう


もう一度橋を渡ると、五十三次30番目の舞坂宿。史跡の北雁木(きたがんげ)に立ち寄る。ここは浜名湖今切渡しの舞坂宿側渡船場跡。水辺に続く石垣と常夜灯が残っている。

街並みに入ると、青地に白文字で「しらす」と書いたのぼりがあちらこちらに翻る。旬の生シラスを売る海産物店だ。店の前に駐輪し、土産物購入タイム。生と釜揚げのシラスが何種類も並び、選ぶのに迷う。北海道からの参加者が、土産としてシラスを購入。「買った物はクルマに積めます」と伴走車のドライバー。自転車で運ぶ心配なしで、心置きなく買い物ができるのがいい。

舞坂の入り口を示す石垣に到着。ここから道は直線で、両側に松並木が濃い緑の列をなし、路面にくっきりと影を作る。“ザ・東海道”という景色。浜名湖方面へ進み、湖を渡る中之島大橋を通って浜名湖ガーデンパークへ帰着した。アンケートを記入すると、お汁粉が振る舞われ、記念品が進呈される。

前半と最後はレークサイドコース、中間が旧東海道をたどる線の旅だった。参加してみて、改めて旧街道の旅とサイクリングの相性の良さが分かった。時速20kmで遮る物なしに沿線の景色を楽しめ、見たいところで停車や駐輪に手間が掛からない自転車の特性が存分に生かされたガイドライドだった。

 
舞坂宿の東入り口、見附石垣から約700m続く見事な松並木
舞坂宿の東入り口、見附石垣から約700m続く見事な松並木

1,750人が出走の人気サイクリング大会

翌27日(日)にはサイクリング大会“浜名湖サイクルツーリング2016”が開催された。浜名湖を一周するレギュラーコース約90㎞と湖東岸のサイクリングロードを往復するファミリーコース約70㎞の、2コースを設定。出発は8時から9時40分の時間帯に。300人ごと5回に分けて行う。レギュラー5個所、ファミリー3個所チェックポイントを巡ってスタンプを集め、17時までに帰着する。

出走者数はレギュラーが1,474人、ファミリーが276人、合計で1,750人の大規模大会。鈴木康友浜松市長も、コルナゴのクロスバイクを駆ってゲスト参加した。

浜名湖サイクルツーリングは、今年から週末の2日間で、ツーリスト向けのガイドライド、幅広い車種を用意した屋外のスポーツサイクル試乗会、アスリート向けのサイクリング大会という異なる3種類のイベントが開催された。幅広い層に対応して多くの参加者を集め、また運営もスムーズだった。来年以降も、このスタイルが定着することを期待する。

 
“浜名湖サイクルツーリング2016”には、鈴木康友浜松市長(左から2人目)も参加した
“浜名湖サイクルツーリング2016”には、鈴木康友浜松市長(左から2人目)も参加した