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ピレネー2日目のツール第8ステージでフルームが区間優勝し、早くもマイヨ・ジョーヌを獲得!
レース
2016.07.10
第103回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月9日にポーからバニェール・ド・ルションまでの184kmで、峠を4つ越えるピレネー山岳区間の第8ステージを競い、最後のペイルスールド峠山頂でアタックしたディフェンディングチャンピオンのクリストファー・フルーム(スカイ)が、そのまま独走で15kmを逃げ切って区間優勝した。
メイングループは13秒遅れてゴール。フルームがピレネー2日目で早くもマイヨ・ジョーヌを獲得した。
今年のツールは開幕から7日間経っても誰もリタイアせず、記録を更新しつづけていたが、この日ついにデンマークのミケール・モルコフ(カチューシャ)が途中リタイアしてしまった。彼は第1ステージのゴールスプリントで落車し、負傷したままレースを続けていて、この日は最初に越えたツールマレー峠の山頂ですでに23分遅れていた。
山岳賞のマイヨ・アポワは、この日逃げたポーランドチャンピオンのラファウ・マイカ(ティンコフ)が獲得した。マイカと一緒に逃げた地元フランスのティボー・ピノ(FDJ)は、たった1ポイント差でマイヨ・アポワを逃している。
活躍を期待されていたピノは、前日のピレネー初日で遅れて早々に総合争いから脱落してしまったが「マイヨ・アポワは新しい目標になるにちがいない。それについてチームと話し合うよ」と、レース後に語っていた。
ピレネー2日目は最初の1時間の平均時速が51km/h!
ピレネー2日目はカテゴリー超級のツールマレー峠(86km地点/標高2115メートル/全長19km)、カテゴリー2のウルケット・ダンチザン峠(120km地点/標高1564メートル/全長8.2km)、カテゴリー1のバル・ルロン・アゼ峠(148km地点/標高1580メートル/全長10.7km)、カテゴリー1のペイルスールド峠(168.5km地点/標高1569メートル/全長7.1km)を越える厳しいステージだった。
スタートからアタックが続いたが、逃げ出せる選手はなかなか出なかった。ピレネーの山岳ステージにもかかわらず、最初の1時間の平均時速は51km/にまで達していた。
59km地点でミカエル・シェレル(AG2R・ラモンディアル)とダニエル・ナバロ(コフィディス)が飛び出したのをきっかけに、13選手が先行。ツールマレー峠のふもと(67km地点)にあった中間スプリントポイントは、その逃げに加わっていたマイケル・マシューズ(オリカ・バイクエクスチェンジ)が先頭で通過した。
集団からは中間スプリントポイントでフランスのティボー・ピノ(FDJ)がアタック。ポーランドチャンピオンのラファウ・マイカ(ティンコフ)とフランスのアルノー・ジャネソン(コフィディス)が合流し、ツールマレー峠の上り坂で先頭に出た。
ジャネソンはすぐに脱落したが、山頂まで6km地点でドイツのトニー・マルティン(エティックス・クイックステップ)が追いつき、先頭は3人になった。
メイン集団では最初のツールマレー峠越えですでにマイヨ・ジョーヌのグレッグ・バンアーベルマート(BMC)が集団から遅れ始めていた。彼はけっきょくこの日、26分近く遅れてゴールしている。
ツールマレー峠の山頂まで残り1km地点で、先頭はマルティンが脱落。賞金5000ユーロ(約56万円)のスーベニール・ジャック・ゴデ賞が懸けられていた山頂はピノが先頭で通過した。下りでマルティンが追いつき、先頭はふたたび3人になった。チームスカイがコントロールするメイン集団は山頂で2分20秒後方にいた。
つづくカテゴリー2のウルケット・ダンチザン峠の山頂(ゴールまで残り68km)もピノが先頭で通過し、山岳賞総合で暫定トップに立った。集団は1分10秒後に迫っていた。
この日3カ所目のバル・ルロン・アゼ峠(カテゴリー1)のふもとで、先頭の3人とメイン集団のタイム差は1分を切っていた。この登坂でまずピノとマルティンが集団に吸収され、最後まで粘っていたマイカも捕まり、ゴールまで残り43kmでレースはふり出しに戻った。
メイン集団はバル・ルロン・アゼ峠ですでに40人ほどになっていたが、フルームを擁するチームスカイはまだ5人残っていた。山頂はフルームを引くオランダのウォートル・プールス(スカイ)が先頭で通過。マイカは3位通過でポイントを稼ぎ、たった1ポイント差でピノを上回り、山岳賞のマイヨ・アポワを獲得した。
バル・ルロン・アゼ峠の下り坂で、先頭のメイン集団ではウィルコ・ケルデルマン(ロトNL・ユンボ)がすべって転倒したが、幸い大したケガはなく、自転車を交換しただけですぐレースに復帰できた。
ゴールまで残り21kmで最後のペイルスールド峠(カテゴリー1)越えがスタート。チームスカイが引き続ける先頭集団は30人ほどだった。山頂まで残り2kmで、集団の先頭を引いていたセルヒオ・エナオ(スカイ)かアタックしたのを皮切りに、総合争いの攻撃が始まった。
ここでフルームもアタックしたが、すぐにナイロ・キンタナ(モビスター)が反応し、抜け出すことは許さなかった。先頭集団の後方では、負傷しているスペインのアルベルト・コンタドール(ティンコフ)が付いて行けずに苦しんでいた。
山頂まで残り1kmで地元フランスのロマン・バルデ(AG2R・ラモンディアル)もアタックしたが抜け出せず、先頭集団は10数人に減って山頂に到着した。
フルームが下りでアタック!
そこでまさかのアタックを仕掛けたのがフルームだった。ゴールまで残り15kmの山頂を先頭で通過したフルームは、そのまま単独で峠を下り始めた。彼は残り6kmで追走グループに21秒差、コンタドールのグループに1分18秒差を付けていた。
フルームを追走するグループでは、下りでピエール・ロラン(キャノンデール・ドラパック)が転倒。彼はすぐレースに復帰したが、この落車でタイムを失ってしまった。
フルームはそのままリードを保ち、ガッツポーズでフィニッシュラインを通過。ツールで6度目の区間優勝を上げ、総合首位に立った。
追走グループからは最後にイタリアのファビオ・アルー(アスタナ)が飛び出したが、ライバルたちを出し抜くことはできず、2位争いのスプリントを制したのはダニエル・マーティン(エティックス・クイックステップ)だった。
■サブライズな方法で区間優勝してマイヨ・ジョーヌを獲得したフルームのコメント「下りでアタックすることは計画していなかった。明日のために、むしろ守りの走りをしようと考えていた。でも上り坂の最後の2kmで、下りで何かできるんじゃないかと思ったんだ。下りのことは知らなかったけれど、大きなカーブがあってとても加速する下りだと、ビデオを見て知っていた。
チームメートはスタートからゴールまで僕のために全力を捧げてくれた。トイレ休憩する時間すらなかった。その働きに報いるために、上りで何度かトライしたけれど、みんな付いて来てうまく行かなかった。だから下りでトライしようと思った。ちょっと危険を犯したけれど、そんなにたくさんではなかった。クールだったよ。アドレナリンが出まくったよ」
7月10日に行われるピレネー山岳区間3日目の第9ステージは、標高2240メートルでカテゴリー超級のアルカリス山(アンドラ)にゴールする、今年最初の頂上ゴールだ。
184.5kmの第9ステージは、スペインとアンドラ公国が舞台となる。スペインのビエラ・バル・ダランをスタートしてすぐに標高2072メートルでカテゴリー1のボナイグア峠を越え、カテゴリー1のカント峠を越えたあと、アンドラ公国に入り、カテゴリー2のコメッリャ峠、カテゴリー1のベイハリス峠を越える。ゴールのアルカリス山は全長10.1kmで、平均勾配7.2%だ。
■第8ステージ結果[7月9日/ポー~バニェール・ド・ルション/184km]
1 クリストファー・フルーム(スカイ/英国)4時間57分33秒
2 ダニエル・マーティン(エティックス・クイックステップ/アイルランド)+13秒
3 ホアキン・ロドリゲス(カチューシャ/スペイン)+13秒
4 ロマン・バルデ(AG2R・ラモンディアル/フランス)+13秒
5 ロマン・クロイツィーゲル(ティンコフ/チェコ)+13秒
6 ファビオ・アルー(アスタナ/イタリア)+13秒
7 アダム・イエーツ(オリカ・バイクエクスチェンジ/英国)+13秒
8 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター/スペイン)+13秒
9 バウケ・モレマ(トレック・セガフレード/オランダ)+13秒
10 リッチー・ポート(BMC/オーストラリア)+13秒
11 ナイロ・キンタナ(モビスター/コロンビア)+13秒
12 ティージェイ・バンガルデレン(BMC/米国)+13秒
16 ワレン・バルギル(ジャイアント・アルペシン/フランス)+1分41秒
17 アルベルト・コンタドール(ティンコフ/スペイン)+1分41秒
24 ピエール・ロラン(キャノンデール・ドラパック/フランス)+1分45秒
51 ティボー・ピノ(FDJ/フランス)+16分19秒
69 ジュリアン・アラフィリップ(エティックス・クイックステップ/フランス)+25分54秒
86 グレッグ・バンアーベルマート(BMC/ベルギー)+25分54秒
140 新城幸也(ランプレ・メリダ/日本)+34分43秒
■第8ステージまでの総合成績
1 クリストファー・フルーム(スカイ/英国)39時間13分04秒
2 アダム・イエーツ(オリカ・バイクエクスチェンジ/英国)+16秒
3 ホアキン・ロドリゲス(カチューシャ/スペイン)+16秒
4 ダニエル・マーティン(エティックス・クイックステップ/アイルランド)+17秒
5 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター/スペイン)+19秒
6 ナイロ・キンタナ(モビスター/コロンビア)+23秒
7 ファビオ・アルー(アスタナ/イタリア)+23秒
8 ティージェイ・バンガルデレン(BMC/米国)+23秒
9 ロマン・バルデ(AG2R・ラモンディアル/フランス)+23秒
10 バウケ・モレマ(トレック・セガフレード/オランダ)+23秒
18 リッチー・ポート(BMC/オーストラリア)+2分08秒
20 アルベルト・コンタドール(ティンコフ/スペイン)+3分12秒
125 新城幸也(ランプレ・メリダ/日本)+1時間12分27秒
[各賞]
■ポイント賞(マイヨ・ベール):マーク・カヴェンディッシュ(ディメンションデータ/英国)
■山岳賞(マイヨ・アポワ):ラファウ・マイカ(ティンコフ/ポーランド)
■新人賞(マイヨ・ブラン):アダム・イエーツ(オリカ・バイクエクスチェンジ/英国)
■チーム成績(黄ゼッケン):BMCレーシングチーム(米国)
■敢闘賞(赤ゼッケン):ティボー・ピノ(FDJ/フランス)
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