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ツール第14ステージは集団ゴールスプリントを制してカヴェンディッシュが今大会4勝目!
レース
2016.07.17
第103回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月16日にモンテリマールからビラール・レ・ドンブ(パルク・デ・オワゾー)までの208.5kmで平坦区間の第14ステージを競い、英国のマーク・カヴェンディッシュ(ディメンションデータ)か集団ゴールスプリントを制して今大会4勝目を上げた。
カヴェンディッシュのツール通算区間優勝回数は30勝になり、ベルギーのエディ・メルクスが持つ34勝の最多区間優勝記録まであと4勝に迫った。
マイヨ・ジョーヌは英国のクリストファー・フルーム(スカイ)が守った。
今年のツール・ド・フランスはここまでの区間優勝者の国籍内訳が、英国が6勝、スロバキア、ベルギー、オランダがそれぞれ2勝、ドイツとオーストラリアが1勝となり、史上初めて14ステージまでに開催国フランス、イタリア、スペイン、ポルトガルが区間優勝していない不名誉な記録が作られてしまった。
山岳区間を控えたスローペースな移動ステージ
ローヌ谷の向かい風で集団は時速30km/h程度のスローペースになった。最初のアタックは28.5km地点で地元フランスのジェレミー・ロワ(FDJ)が試み、スイスのマルティン・エルミーゲル(IAM)、イタリアのチェーザレ・ベネデッティ(ボーラ・アルゴン18)、米国のアレックス・ハウス(キャノンデール・ドラパック)とともに集団から逃げ出すことに成功した。
4人は50km地点で4分半の差を付けたが、集団はディメンションデータ、ロット・ソウダル、エティックス・クイックステップといったスプリンターを擁するチームがコントロールし、それ以上にはならなかった。3時間走った後の平均時速は33.5km/hだった。
IAMサイクリングでエースナンバーを付けていたスイスのマティアス・フランクは胃腸炎を患い、補給所でレースを棄権した。
145.5km地点の中間スプリント地点で4人の逃げは集団と2分10秒差だった。集団の5位通過争いはマイヨ・ベールのペーテル・サガン(ティンコフ)が勝ち、11ポイントを獲得した。
メイン集団の後方では、デンマークのマッティ・ブレシェル(キャノンデール・ドラパック)が車列に下がった時に落車し、病院へ搬送されてレースをリタイアした。
ゴールまで残り50kmで4人の逃げと集団のタイム差はほぼ1分になり、一度10秒台にまで減って集団は逃げを視界に捕らえた。しかし、逃げはもう一度スピードを上げ、30秒台にまで差を広げ直した。しかし、ゴールまで残り14kmでまずハウスが遅れて集団に吸収された。
4km先でベネデッティも脱落し、先頭は地元フランスのロワとエルミーゲルの2人になった。その2人もゴールまで残り3.4kmでディメンションデータとロット・ソウダルが引く集団に吸収され、区間優勝争いは予想通り集団ゴールスプリントへと持ち込まれた。
そして最後は発射台のファビオ・サバティーニ(エティックス・クイックステップ)に引かれたマルセル・キッテル(エティックス・クイックステップ)が、ゴール手前200メートルで先頭に立ってスプリントを開始した。
しかし、すぐ後方にいたカヴェンディッシュがケタちがいのスピードでキッテルを抜き去り、ライバルたちに大差を付けてフィニッシュラインを通過した。キッテルはカヴェンディッシュに走路妨害があったとアピールしたが、認められなかった。
ドイツチャンピオンのアンドレ・グライペル(ロット・ソウダル)は、この日が34歳の誕生日だったが、区間6位でレースを終えた。彼は今まで自分の誕生日にツールで区間優勝できたことがないのだが、そのジンクスをまた繰り返してしまった。
区間優勝したカヴェンディッシュはこの日、中間スプリント地点と合わせて合計59ポイントを獲得したが、区間3位に入ったサガンは合計31ポイント獲得。ポイント賞総合成績では、まだサガンが2位のカヴェンディッシュよりも62ポイント上回り、マイヨ・ベールをキープしている。
■今大会4勝目を上げたカヴェンディッシュのコメント「大勢の人たちから、トラック競技に復活したことが、ここ数年と比較して僕の成績に違いを生んだのかと聞かれるが、そうではない。肉体的にはまったく同じだ。またトラックを走ってリフレッシュはしたが、キーポイントは、僕が去年よりも辛抱強くなっているということだ。今日見たとおりさ。
かつては本能のおもむくままに、より早く飛び出したものだったが、ゴール2km手前でキッテルがたった2人のチームメートに引かれているのを見た時、それが彼にとって最後は致命的になるだろうと理解した。僕はただ、彼がいくぶんスピードを失うのを待てばよかった。
スプリントのチャンスは、もうベルンとパリの2回だけだと思う。ベルンは簡単なスプリントではないが、スプリントには変わりがない。その後はパリでスプリントをするために努力するだろう。いつも言ってる通り、僕は病気になったり疲労困憊してしまったら、限界を越えたりはしない。オリンビックの前に自殺行為はしないつもりだ。でも、いまは調子がいいし、チームもやる気満々なんだ」
7月17日の日曜日は、アルプス山岳決戦の前哨戦となるジュラ山脈の第15ステージが行われる。コースはブール・ガン・ブレスからキュロズまでの160kmで、頂上ゴールではないが序盤から峠をいくつも越える厳しいレイアウトだ。後半は標高1501メートルでカテゴリー超級のグラン・コロンビエール峠を越えたあと、一度ゴール地点を通過し、ふたたび標高891メートルでカテゴリー1のラセ・デュ・グラン・コロンビエール峠を越えなければならない。
■第14ステージ結果[7月16日/モンテリマール~ビラール・レ・ドンブ(パルク・デ・オワゾー)/208.5km]
1 マーク・カヴェンディッシュ(ディメンションデータ/英国)5時間43分49秒
2 アレクサンダー・クリストフ(カチューシャ/ノルウェー)
3 ペーテル・サガン(ティンコフ/スロバキア)
4 ジョン・デゲンコルプ(ジャイアント・アルペシン/ドイツ)
5 マルセル・キッテル(エティックス・クイックステップ/ドイツ)
6 アンドレ・グライペル(ロット・ソウダル/ドイツ)
7 ブライアン・コカール(ディレクトエネルジー/フランス)
8 ダビデ・チモライ(ランプレ・メリダ/イタリア)
9 クリストフ・ラポルト(コフィディス/フランス)
10 サミュエル・デュムラン(AG2R・ラモンディアル/フランス)
81 新城幸也(ランプレ・メリダ/日本)
■第14ステージまでの総合成績
1 クリストファー・フルーム(スカイ/英国)63時間46分40秒
2 バウケ・モレマ(トレック・セガフレード/オランダ)+1分47秒
3 アダム・イエーツ(オリカ・バイクエクスチェンジ/英国)+2分45秒
4 ナイロ・キンタナ(モビスター/コロンビア)+2分59秒
5 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター/スペイン)+3分17秒
6 ティージェイ・バンガルデレン(BMC/米国)+3分19秒
7 ロマン・バルデ(AG2R・ラモンディアル/フランス)+4分04秒
8 リッチー・ポート(BMC/オーストラリア)+4分27秒
9 ダニエル・マーティン(エティックス・クイックステップ/アイルランド)+5分03秒
10 ファビオ・アルー(アスタナ/イタリア)+5分16秒
137 新城幸也(ランプレ・メリダ/日本)+2時間14分40秒
[各賞]
■ポイント賞(マイヨ・ベール):ペーテル・サガン(ティンコフ/スロバキア)
■山岳賞(マイヨ・アポワ):トーマス・ドヘント(ロット・ソウダル/ベルギー)
■新人賞(マイヨ・ブラン):アダム・イエーツ(オリカ・バイクエクスチェンジ/英国)
■チーム成績(黄ゼッケン):BMCレーシングチーム(米国)
■敢闘賞(赤ゼッケン):ジェレミー・ロワ(FDJ/フランス)
(http://www.letour.fr/us/)
CAVENDISH s'envole à nouveau ! / wins! #TDF2016 pic.twitter.com/5cN1WWircH
— Le Tour de France (@LeTour) 2016年7月16日
Plus que 4 avant le record / 4 wins to go! #TDF2016 pic.twitter.com/TMdJMKiEPM
— Le Tour de France (@LeTour) 2016年7月16日