ニュース
スイスの首都ベルンにゴールしたツール第16ステージは写真判定でマイヨ・ベールのサガンが区間3勝目!
レース
2016.07.19
第103回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月18日にモワラン・ザン・モンターニュからスイスの首都ベルンまでの209kmで平坦区間の第16ステージを競い、最後は集団ゴールスプリントになり、写真判定でマイヨ・ベールのペーテル・サガン(ティンコフ)がアレクサンダー・クリストフ(カチューシャ)を下して今大会区間3勝目を上げた。
マイヨ・ジョーヌは英国のクリストファー・フルーム(スカイ)が守った。
スイスの首都ベルンがゴール
「明らかに僕にとって特別な日だ。世界最大のレースであるツールのステージが、自宅からたった4kmしか離れていなかったら、そりゃあ特別さ。このレースでの僕の歴史とマイヨ・ジョーヌの日々を考えるとなおさらね。ベルンに入るには2つのルートがあるが、主催者は石畳のあるルートを選んだ。それは贈り物として歓迎する。主催者には感謝しているよ」と、カンチェッラーラはスタート前に語っていた。
米国のBMCレーシングチームは、チームオーナーの1人であるアンディ・リースがやはりベルンの出身だった。第5ステージで区間優勝してマイヨ・ジョーヌを着たグレッグ・バンアーベルマートは「今年のツールではまだミッションが残っている。リースに感謝するために、第16ステージで勝つことだ」と、語っていた。
そして第15ステージでハーリンソン・パンタノがチームにツールで初めての区間優勝をもたらして活気づいているIAMサイクリングは、UCIワールドチームで唯一のスイス登録チームとして、スイスのステージはどうしても勝ちたかった。
しかし、マイヨ・ベールを着た世界チャンピオンのサガンにも、この日はどうしても勝ちたい理由があった。ベルンのゴールには、故郷スロバキアから大応援団がやって来ていて、祖国の英雄の活躍を楽しみにしていたのだ。そしてそこには、彼の妻の姿もあった。
チームデュオで逃げたエティックス・クイックステップ
フルームはこの日、マイヨ・ジョーヌ着用日数が通算38日目となり、フランスのアントナン・マーニュと並んで歴代5位になった。歴代4位はツールで5勝しているジャック・アンクティル(フランス)の50日だ。
快晴の下を、183選手がスタート。13km地点でエティックス・クイックステップのジュリアン・アラフィリップとトニー・マルティンの2人が集団からアタックし、めずらしいチームデュオの逃げを開始した。
この2人に合流しようとして、ティモ・ローセン(ロトNL・ユンボ)、ローソン・クラドック(キャノンデール・ドラパック)、ニコラ・エデ(コフィディス)、ピエールリュック・ペリション(フォルチュネオ・ビタルコンセプト)が追走に出た。最初の1時間の平均時速は49.5km/hだった。
パンツァー戦車の異名を持つTTスペシャリストのマルティンはアラフィリップを引き続け、83km地点で集団に6分近いタイム差を付けて快調に逃げ続けた。しかし、4人の追走グループは2人に追いつけず、101km地点で集団に吸収されてしまった。
106km地点で国境を越え、スイスに入国。ゴールが近づくとともにマルティンの努力も虚しく、そのタイム差は減り始め、ゴールまで残り50kmで2分半になっていた。集団ではマルセル・キッテル(エティックス・クイックステップ)がパンクに見舞われたが、すぐ復帰した。
ゴールまで残り41.5kmの中間スプリントポイントで、集団はマイヨ・ベールのサガンが先頭で通過し、15ポイントを稼いだ。エティックス・クイックステップ・デュオとのタイム差は、残り32kmで1分を切っていた。
アラフィリップはゴールまで残り25.5km地点に設定されていたカテゴリー4のミューレベルクの丘で遅れて集団に吸収され、先頭はマルティン1人になった。しかしドイツ戦車も残り22kmで吸収され、集団は1つになった。
残り7kmになると集団は一列棒状で追走し、コスタはゴールまで残り4.5kmでIAMサイクリングが引くメイン集団に吸収された。
ベルン出身のカンチェッラーラへの贈り物のように、残り2km地点に設定されていた石畳の坂で飛び出したのはベルギーのセプ・バンマルク(ロトNL・ユンボ)だったが、スプリンターたちを出し抜くことはできなかった。
最後は集団ゴールスプリントになり、アレクサンダー・クリストフ(カチューシャ)とマイヨ・ベールのサガンがフィニッシュラインで差し合い、写真判定の結果、サガンに軍配が上がった。
この日170kmをチームデュオで逃げ続けたアラフィリップとマルティンは、2人揃って敢闘賞を受賞し、表彰台に上がった。敢闘賞を1ステージで2人の選手が受賞するのは異例で、ツール史上初めてのことだった。
■今大会でハットトリックを成し遂げたサガンのコメント「結果を待ってはいなかった。主催者が来て勝ったと告げるまで、僕は2番だったと思っていたんだ。信じられないよ。何度も2位になった後で、僕の番になった。一日中働いてくれたチームに感謝したい。とてもテクニカルでクレイジーなゴールだった。皆が僕の後ろに付きたがった。クリストフはスプリントでミスをしたと思う。彼は差すのが遅かったから、僕が勝てたのさ」
■故郷ベルンで有終の美を飾れなかったカンチェッラーラのコメント「うまくいかなかった。コントロールするのがとても難しかった。最高の選手が先頭で闘っていた。僕は少し力が足りなかったが、最後に全力を出し尽くしてこの結果(区間6位)だ。地元の通りを走るのは特別だけど、今は何よりも疲れているよ。暑いのは苦手で、昨日は5kg失っていた。ベルンは素晴らしいゴールを与えてくれた。明日は休息日だからビールを飲むよ。ワインはシーズンの終わりまで取っておくのさ」
■第16ステージで逃げ切れなかったアラフィリップのコメント「マルティンは本当に特別な選手だ。僕は彼の後ろで苦しんでいた。彼は偉大なチャンピオンだ。今日は僕にとって自転車競技のいいレッスンで、2人にとっては良い思い出になった。僕たちには休息日を取る資格がある。昨日の大きな失望(機材トラブルで逃げのチャンスを失った)から前進した。それは容易なことではなかったけれど、パリにたどり着くまでには、まだチャンスはある」
■アラフィリップと一緒に敢闘賞をもらったマルティンのコメント「賞をシェアできて、僕たちにはハッピーな終わり方だった。優勝はできなかったけれど、とても誇らしいことだ。史上初めてのことで、自分たちがやり遂げたことを誇りに思うよ。逃げは予測していたほど長くはなかったが、明らかに厳しいものだった。ちょっと馬鹿げていたけれど、トライしなかったら勝てはしない。ファンや観衆が楽しんでくれていたらいいね」
20日からいよいよアルプス山岳ステージ!
7月19日は2度目の休養日となり、20日からアルプス山岳ステージを競う最終週がスタートする。スイスで行われる第17ステージはベルンをスタートし、標高1960メートルでカテゴリー超級のフィノー・エモッソンにゴールする頂上ゴール区間だ。
距離は184.5kmで、途中カテゴリー3の峠を2つ越えた後、終盤には全長13km、標高1527メートルでカテゴリー1のフォークラツ峠も越えなければならない。ゴールへと続くフィノー・エモッソン山は全長10.4kmの上り坂で、平均勾配は8.4%だ。
マイヨ・ジョーヌのフルームは「とても疲れているが、アルプスを楽しみにしている。とてもモチベーションが高いし、チームも順調だ。ボクたちが3週目にこんなにいい調子だったことはなかったと思う。ボクたちはまだ9人揃っていて、士気も高い」と、豊富を語っている。
距離は184.5kmで、途中カテゴリー3の峠を2つ越えた後、終盤には全長13km、標高1527メートルでカテゴリー1のフォークラツ峠も越えなければならない。ゴールへと続くフィノー・エモッソン山は全長10.4kmの上り坂で、平均勾配は8.4%だ。
マイヨ・ジョーヌのフルームは「とても疲れているが、アルプスを楽しみにしている。とてもモチベーションが高いし、チームも順調だ。ボクたちが3週目にこんなにいい調子だったことはなかったと思う。ボクたちはまだ9人揃っていて、士気も高い」と、豊富を語っている。
■第16ステージ結果[7月18日/モワラン・ザン・モンターニュ~ベルン(スイス)/209km]
1 ペーテル・サガン(ティンコフ/スロバキア)4時間26分02秒
2 アレクサンダー・クリストフ(カチューシャ/ノルウェー)
3 ゾンドルホルスト・エンガー(IAM/ノルウェー)
4 ジョン・デゲンコルプ(ジャイアント・アルペシン/ドイツ)
5 マイケル・マシューズ(オリカ・バイクエクスチェンジ/オーストラリア)
6 ファビアン・カンチェッラーラ(トレック・セガフレード/スイス)
7 セプ・バンマルク(ロトNL・ユンボ/ベルギー)
8 マキシミリアーノ・リチェセ(エティックス・クイックステップ/アルゼンチン)
9 エドワルド・ボアソンハーゲン(ディメンションデータ/ノルウェー)
10 グレッグ・バンアーベルマート(BMC/ベルギー)
11 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター/スペイン)
13 ロマン・バルデ(AG2R・ラモンディアル/フランス)
14 クリストファー・フルーム(スカイ/英国)
120 新城幸也(ランプレ・メリダ/日本)+2分54秒
■第16ステージまでの総合成績
1 クリストファー・フルーム(スカイ/英国)72時間40分38秒
2 バウケ・モレマ(トレック・セガフレード/オランダ)+1分47秒
3 アダム・イエーツ(オリカ・バイクエクスチェンジ/英国)+2分45秒
4 ナイロ・キンタナ(モビスター/コロンビア)+2分59秒
5 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター/スペイン)+3分17秒
6 ロマン・バルデ(AG2R・ラモンディアル/フランス)+4分04秒
7 リッチー・ポート(BMC/オーストラリア)+4分27秒
8 ティージェイ・バンガルデレン(BMC/米国)+4分47秒
9 ダニエル・マーティン(エティックス・クイックステップ/アイルランド)+5分03秒
10 ファビオ・アルー(アスタナ/イタリア)+5分16秒
130 新城幸也(ランプレ・メリダ/日本)+2時間37分07秒
[各賞]
■ポイント賞(マイヨ・ベール):ペーテル・サガン(ティンコフ/スロバキア)
■山岳賞(マイヨ・アポワ):ラファウ・マイカ(ティンコフ/ポーランド)
■新人賞(マイヨ・ブラン):アダム・イエーツ(オリカ・バイクエクスチェンジ/英国)
■チーム成績(黄ゼッケン):モビスターチーム(スペイン)
■敢闘賞(赤ゼッケン):ジュリアン・アラフィリップ(エティックス・クイックステップ/フランス)&トニー・マルティン(エティックス・クイックステップ/ドイツ)
(http://www.letour.fr/us/)
SAGAN Berne Kristoff !! / @petosagan wins again ! #TDF2016 pic.twitter.com/7UQ5tskb3Z
— Le Tour de France (@LeTour) 2016年7月18日
Un énorme comité d'accueil pour @petosagan / Hundreds of fans for @petosagan #TDF2016 pic.twitter.com/aRRroPACiz
— Le Tour de France (@LeTour) 2016年7月18日
Le Roi / The King #TDF2016 pic.twitter.com/FL78Hg02gq
— Le Tour de France (@LeTour) 2016年7月18日
And the media scrum begins with @f_cancellara in his hometown Bern. #TDF2016 pic.twitter.com/mJocga5zwi
— Trek-Segafredo (@TrekSegafredo) 2016年7月18日